ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] 後悔しない「供養」(2)

2018年2月6日

後悔しない「供養」

大慈山 佛心寺

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東京・豊島区にあるマンション。

ここに供養に悩む人々の拠り所があるといいます。

マンションの一室のはずですが祭壇があります。

ここはホテル法要会を主催した新田嵩信さんの寺「佛心寺 東京布教所」。

それでは徳田さん、ご焼香をお願いします。

この日来ていたのは徳田麻由美さん。大学生の息子と2人暮らし。

3年前、夫を大腸がんで亡くしました。52歳の若さでした。

うちはお墓もない。急に病気が分かって、1年3ヶ月で亡くなってしまった。

闘病生活にかかった費用は約500万円。墓を買う余裕はなく、夫の遺骨を新田さんに預けていました。

費用的にもとりあえず息子が大学を卒業するまでは厳しい。

それまではこっちが大事に守らせてもらって、お参りに来てもらった時にちょっとずつ相談しながら。

新田さんは徳田さんの他にも16体の遺骨を預かっています。

しかしスペースが足りず、これ以上は預かりきれないのが現状です。

7年前にこのマンションを買い、寺を開いた新田さん。

これが滋賀のお寺。

実家は300年続く寺。

東京で寺を開いたきっかけは27歳の時、都内へ修行に来たことでした

墓を持てない人や家族を供養する場がない大勢の人たちと出会ったのです。

そういう事情を抱えている人もなんとか供養はできる。そういう役目がお寺としてセーフティーネットになればいい。

田中有紀さん

都内のとある団地。

ここにも家族の供養に悩む人がいます。

85歳の母と暮らす田中有紀さん(仮名・48歳)。介護士の仕事をしています。

田中さんの父は2017年1月に亡くなりました。

遺骨はまだ家にあります。

こうして自宅に遺骨を置く家庭は首都圏で100万世帯を超えるといいます。

田中家の場合、墓はあるのですが、

長男は墓に入れるけど父は五男なので入れない。私が買える墓を探してきて、やっぱり帰してあげたい。

田中さんは三人兄弟の末っ子。たった一人の娘、父から溺愛されてきました。

生きてるうちはうっとうしい。うっとうしいくらい、私のことが好きだった。亡くなると、私のほうが好きだったかもしれない。

自分が死んだ時のために父は100万円を残していました。

葬式で頼ったのが新田さんです。

この日は墓の相談。

都営墓地ね。

145万円から480万円まであるんですね。

最低でも145万円。

父が残してくれた100万円では到底買えそうにありません。

果たしてどんな供養ができるのか?

納骨堂

1ヶ月後、田中さんは民間の霊園を訪ねました。

墓を建てるよりも安い納骨堂タイプです。

これが60万円の納骨棚です。

金額は予算内です。

しかし霊園が遺骨を預かるのは33年間。遺骨は土に帰さなければいけません。

そのためには18万円の費用が。

さらに納骨をすれば1万円。お布施に5万円。会場の使用料やろうそく代名目の出費も、供養をする度に費用がかさみます。

すごくシステマチック。私や父の人生にはそぐわない気がする。

しっくりこないどころか、違和感。

合葬の墓

その頃、新田さんは埼玉の民間霊園にやって来ました。

ここに大きな墓を作っていました。

僧侶仲間と資金を出し合ったといいます。

供養したくてもできない人に「どうぞ入って」と、霊園にお手伝いいただく分は負担してもらう。2万円。

樹木葬タイプの合葬の墓。400体もの遺骨を中央にまとめて納めます。

そのため費用を1人2万円から4万円に抑えることができました。

コンクリートでできた1メートル四方のスペース。ここに遺骨を納めます。

名前

3週間後、新田さん、田中さんを埼玉の霊園に案内しました。

いいと思います。

完成した合葬の墓を田中さんに提案したのです。

どこから遺骨は入れる?

人工芝の所から納めるようになっている。

ところが、

ちょっと迷っちゃって。

どこかに名前は入ったりしますか?

今、それを考えている途中。

やっぱり名前はほしいです。

名前も残らず、遺骨を他の人と一緒に納める。田中さんは引っかかりを感じていました。

エンディング産業展

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東京ビッグサイトで開かれた供養産業の見本市。

そこに新田さんの姿がありました。

新田さんが足を止めたのは陶器メーカーのブース。

あるものが目に止まりました。

宝石箱のような形で遺骨を入れていただく。

お墓は外部だと思っていたのが家にも置ける。

移動もできますもんね。

遺骨を入れる小さな骨壷。亡くなった人と離れたくない、そんな人が遺骨を手元にも置いておくためのものです。

華見放さず持っておけるのはいいな。

小さな骨壷

12月6日、新田さん、大きな荷物を持って田中家を訪ねました。

何が出てくるんですか?

見本市で手に入れた小さな墓と骨壷です。

手元に持っておける。大事にできる。

田中さんの想いを考えるとペアがいい。

合葬の墓だけでなく、小さな骨壷にも分けて遺骨を手元に置く提案をしたのです。

合葬は放り投げた感じがあると思っていた。

「ちゃんと分かっていますよ」とできる。

納骨

1月14日、あの埼玉の霊園です。

家族を連れた田中さんの姿がありました。

一周忌に合わせて父を合葬の墓に納めることにしたのです。

では、分骨をしていただきます。

遺骨の一部は小さな骨壷に入れて手元に置くことにしました。

家族がそれぞれ持ちます。

残りの遺骨は袋に詰めなおして納めます。

大好きだった父の死から1年。やっと区切りをつけることができました。

みんなが笑顔になった田中家の墓です。

これからは新田さんと僧侶仲間が毎月欠かさず供養してくれます。

納骨から1週間後の1月21日。

今日はにぎやかでございます。お父さん、花がいっぱいになりました。

田中さん、あの小さな骨壷を自宅の仏前に置いていました。

骨自体が田中家のもうひとつの墓です。

別に仏壇はなんとも思わなかったけど、置いたら父がいる感じがする。

遺骨を2つに分けて供養することをどう思っているのでしょうか?

私なりの父の弔い方をずっと探していた。そのためには私が納得しないとダメだった。

私がすっきりしているということは、父も喜んでいるはずだから、供養は両方のためだと思います。父のためでもあるし、私たちのためでもある。

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