来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてホテルが次々と建設されています。しかし、その裏でホテルに欠かせないあるものが不足する危機が迫っていました。
アメニティー
東京・港区。
医療関係のコンサルティング会社に勤める村上舞さん。
あるものを集めるのが趣味だといいます。
この間、ディズニーランドに遊びに行って、その時泊まったホテルの部屋に置いてあったもので。
村上さんの趣味はホテルのアメニティー集め。宿泊した時に必ず持ち帰ります。
特に1番のお気に入りは3年前に友人といったロサンゼルス旅行のホテルのアメニティーです。
これはすごく匂いが良くて一緒に行った友達と争奪じゃんけんした。
ホテル選びもアメニティーが決め手です。
「アメニティーを集めるのは楽しい?」
楽しいです。旅行したときのことを思い出す。
アメニティーはホテルにとってお客様の満足度を高める重要なアイテムなのです。
しかし、いまこのアメニティーをめぐってある問題が浮上しています。
アパグループ株式会社
[blogcard url="https://www.apahotel.com/?version=ja_jp"]
全国210以上のホテルを持つアパホテルでは…
アパグループの坂田浩二購買戦略室長、
資生堂から業務用アメニティーを一切打ち切る、販売しませんという通知があった。
これまでアパホテル全店で資生堂の備え付けのアメニティーを使用していました。
しかし昨年7月、アメニティー業界最大手といわれる資生堂が事業構造の見直しの一環としてこうしたアメニティーを12月に販売修了すると通知したのでした。
半年もない短い間に代わりとなる商品を準備しなければなりませんでした。そこで急遽、潜在やせっけんなどを製造するメーカーに依頼し、オリジナルのアメニティーを開発したのです。
新築のホテルから随時導入をいうことで、既存のホテルは7~8月から切り替えが始まっている。
メディカルスペース株式会社
[blogcard url="https://www.apahotel.com/?version=ja_jp"]
資生堂の撤退は他のメーカーにも大きな影響を与えています。
メディカルスペースの難波勝也専務、
ホテル向けアメニティーの包装作業をしている。
もともと入っている注文にさらに追加で入ってきている。
資生堂の撤退が明らかになって以来、代わりにアメニティーを作って欲しいという問い合わせが殺到。生産数は前の年に比べ2倍になったといいます。
しかし、大量の受注を行う場合、アメニティー業界特有の課題がありました。
やはり業務用(ホテル)関係は薄利多売な部分がありますので、いかにその中でコストを抑えて利益を出せるのかという状況。
大手ホテルチェーンなどの大きな需要に対応するには手作業中心の製造では追いつかず、中小企業では安定した供給が難しいケースもあるのです。
この会社では2億円をかけて工場の増設を決め、利益が薄い商品でも大量生産で全体としての利益を上げるために製造ラインを強化します。
株式会社バルクオム
[blogcard url="https://bulk.co.jp/"]
こうした中、アメニティー業界に新たな風を吹かせようと参入した企業がありました。
都内のオフィスビルに本社を構えるバルクオム。
男性用の洗顔料やスキンケア製品を販売しているベンチャー企業です。
バルクオムのアメニティ事業部、木下達哉部長。
こちらが弊社のアメニティー。
箱の中には朝と夜の2回使えるよう洗顔料と化粧水、そして乳液が2つずつ入っています。
現在、全国70のホテルでこのアメニティーを使用しています。
「資生堂が撤退したアメニティーに参入したのは?」
大手の化粧品会社が撤退したので、これを機に新しい商機を見いだしている。
今までの薄利多売から、より高品質で継続して使ってもらいやすく、使いたいと思えるものを作っている。
バルクオムは去年から試験的に高級ホテルを中心にアメニティーを提供。
その結果、デザインが良く高品質であれば価格が多少高くても受け入れてもらえることが分かったといいます。
バルクオムの製品開発部、西村ナツメ部長、
たばこの箱をイメージしている。
男性にとってなじみがあるようにした。
実は現在、バルクオムはスキンケア製品以外のアメニティーの開発にも取り組んでいます。
アメニティーのサンプルをお持ちしましたのでご確認お願いします。
東京・竹芝に来年4月に開業予定の高級ホテル「メズム東京」。
バルクオムはこのホテル専用のシャンプー、トリートメント、ボディソープを納入することが決まっています。
メズム東京の生沼久総支配人、
だいぶ香りが良くなったね。
バルクオムとしては初めてとなる男女兼用のアメニティー製品。評判も上々です。
バルクオムは自社のブランドをより多くの人に知ってもらうため、来年までに新たに70のホテルへの納入を目指しています。
早くに目をつけてもらい、声をかけてもらっているホテルもあるので、そういったホテルと一緒に取り組んで新しいホテルのアメニティーというものを作り出していきたい。