企業から"バズらせ依頼"が殺到
ヒット請負人 今瀧健登氏とは
スマートフォン向けのマッチングアプリ「タップル」。グルメや映画など共通の趣味から恋愛の相手を探すことが可能で累計会員数は1,500万人を超えます。
アプリを運営するタップルは去年、Z世代と呼ばれる若者たちに人気のTikTok向けに公式アカウントを立ち上げました。
タップル
飯塚勇太社長

「東京グルメデート編集部」というアカウントをやっていたことがあった。
全く見られていない。
デートに使える飲食店を紹介する内容でしたがフォロワー数は2,300人ほどと思うようにバズらず、すぐに閉鎖となりました。
タップル
飯塚勇太社長

このアカウント自体の引きがない。
やってもやらなくても変わらなかった。
若者へのSNS戦略で苦い経験を味わったタップル。ある人物に支援を頼むことに…
それが今瀧健登氏。Z世代向けの企画やマーケティングを専門とする企業「僕と私と」の代表です。
僕と私と
今瀧健登代表

最近ではクライアントのほとんどが上場企業。
圧倒的に僕たち自身がZ世代というのもあって「餅は餅屋」「Z世代にはZ世代に」。
その今瀧氏が手がけたタップルの新しいアカウントはすぐにフォロワー数27万人を突破。
動画の再生回数も軒並み100万回を超えています。動画のタイトルは「おさ活」。幼なじみが共同生活するショートドラマです。
一体なぜ、この「おさ活」がZ世代の心に刺さったのか?
数々の企業から依頼が殺到するヒットの請負人、今瀧氏にZ世代を攻略する方程式を聞きます。
ヒットのカギは金魚と花火!?
佐々木明子キャスター
今瀧さんはおいくつですか?

僕と私と
今瀧健登代表

24歳です。
佐々木明子キャスター
今回は「ヒット請負人の"ゼット式"に学ぶ」というテーマでお話を伺っていきたいと思います。
「僕と私と」という名前もユニークですが、具体的にはどんな事をやっている会社ですか?

僕と私と
今瀧健登代表

Z世代に向けて潜在的顧客に対する企画をやっている会社。
具体的にはSNSのプロモーション、商品をZ世代向けにリブランディングしたり、そういったマーケティングを行っている会社です。
佐々木明子キャスター
マーケティングをする上でZ世代とほかの世代は違うんですよね。
事前にポイントを伺いました。それが「金魚すくい」「花火」「餅」。
これは何ですか?

僕と私と
今瀧健登代表

「金魚すくい」はZ世代マーケティングは金魚すくいに似ている。
Z世代は1人1人、自分の正解を持っていたりする。
そこに群がっている人たちに対して、どうしても自分の正解で離れてしまう。
なぜなら金魚すくいのように大きくすくうと結局1匹もすくうことができずに、もったいないマーケティングになってしまう。
1匹ずつすくっていかなければいけないってところがZ世代のマーケティングなんだと思っている。
佐々木明子キャスター
丁寧にやらないといけない気がしますね。
「花火」は?

僕と私と
今瀧健登代表

例え話ですがZ世代のトレンドは花火に似ていて。花火が打ち上がってすぐに消えてしまうように、Z世代のトレンドも気付いたら消えてしまっている。
Z世代にこれが流行っているぞといって、それを作ってリリースしたときには、もうZ世代にはダサいと思われたりするというのがZ世代のトレンド。
佐々木明子キャスター
移り変わりが激しいということですね。
「餅」は?

僕と私と
今瀧健登代表

餅は「餅は餅屋」「Z世代にはZ世代に」ではないが、自分たちがZ世代ということもあり、当事者目線で同世代に向けてマーケティングを行うというところで餅があります。
佐々木明子キャスター
TikTokの「おさ活」、これが再生回数が伸びてバズったわけですが、今回、今瀧さん流のゼット式と題して、なぜ「おさ活」がここまでバズったのか教えていただけますか?

僕と私と
今瀧健登代表

TikTokは2~3年前まで女の子が踊ってというイメージがあったかもしれないが、今はダンスだけでなくノウハウや料理など色んなジャンルで動画が投稿されたりする。
そういったところで実際にTikTok上のアルゴリズムに対してしっかり動画を作る。
携帯で撮ると簡単に見えてしまうが、だからこそ逆に難しい。
小さい尺の中でちゃんとオチを作っていく。加えてみんなが共感するような仕掛けをするところが非常に重要だと思っている。
佐々木明子キャスター
若者は最近恋愛をしないと言われている。そこを掘り起こさないといけないということですね。
Z世代の声を取り入れたいといういろんな企業があると思うが最近はどうですか?

僕と私と
今瀧健登代表

Z世代を取り入れたいという企業は多くて、ありがたいことに2年間営業をしたことがなく。ずっと口コミや紹介などリピートでお仕事をいただいていて、いま30社くらいのクライアントが同時に動いていて、十数社が順番待ちという形。
社内のリソースがまだまだ未熟で追いつかない。
佐々木明子キャスター
具体的に進んでいるところもあるということですがどんなところが?
KDDIは?

僕と私と
今瀧健登代表

KDDIさんとは渋谷モディの「auミニッツストア渋谷店」で機械がピッキングするものがあるが、そこでSNSでバズが起きた商品を仕入れてバズを見た人たちが実際に買えるような場になっています。
佐々木明子キャスター
ほかにも?

僕と私と
今瀧健登代表

花王さんのバブだったり、エッセンシャルのプロジェクトや湘南美容さんとご一緒にさせていただいている。
ニッポンの消費の主役に!?
Z世代"多様な価値観"とは
X JAPAN
YOSHIKIさん

これからの世の中、特に日本、Z世代の人たちにかかっている。
今後、日本の消費の主役になると期待されるZ世代。彼らをメインのターゲットにした商品やサービスが続々と登場しています。
そのZ世代とは1990年代半ばから2010年代の初頭に生まれた10代から20代の若者たちのこと。世界の人口の3割を占めているとされます。
生まれた時期の1998年にはWindow98が発売され大ヒット。
幼少期にはTwitterなどのSNSが登場し、iPhoneなどスマートフォンも普及しました。
幼い頃から様々な場面でデジタル機器に触れ、日常的に使いこなすことからデジタルネイティブ世代とも呼ばれます。
例えばネイルサロン「KANGOL SALON東京遷都っる店」では爪をカラーリングする男性の姿が。
大学4年生、デジタルネイティブならではの価値観があるようです。
お客さん(大学4年生)

自分の指に自信が出る。
SNSで食べ物とかを撮る時、指も写るじゃないですか。
その時に自分の指がきれいだと写真映えする。
カンゴールサロン
ヘアスタイリスト
小幡大貴さん(21)

僕らZ世代は自己肯定感や周りに承認されたい欲求がすごく強い。
"多様な価値観"への対応法は
佐々木明子キャスター
ネイルは流行っていますか?

僕と私と
今瀧健登代表

徐々に男性でもネイルをする人が増えていて、リモートワークでOKになったからネイルができるとか、ファッションのひとつだったり、アイデンティティとしてもネイルをする人は増えていると思う。
佐々木明子キャスター
Z世代について興味深いデータがあります。

田中瞳キャスター

Z世代が1日の自由な時間の中でどんなことに一番時間を使っているか分析してみました。
Instagram、YouTube、TikTokなどが目立ちます。
佐々木明子キャスター
気になったのがGoogleやYahooなどの検索サービスが入っていません。
私たちはググると言って使っていますが、Z世代はググらないんですか?

僕と私と
今瀧健登代表

Z世代はググらないわけではなく、SNSごとの特徴を使い分けている。
SNSの特徴があり、Z世代は目的に合わせて検索媒体を細かく選ぶということで、トレンドのお店はTikTok、旅行先はInstagramなどSNSの特徴に合わせて使い分けている。
佐々木明子キャスター
田中さんもZ世代ですが、使い分けています?

田中瞳キャスター

使い分けは自然にしていました。TikTokは使いこなせていませんが、Twitterはいま起きている出来事、Instagramは次に行ってみたいごはん屋さんや髪型を検索したりなど、そういうふうに使っています。
佐々木明子キャスター
使い方が分かれていると企業も活用しようと思った時に間違ってしまうこともありそうですね。

僕と私と
今瀧健登代表

それぞれのSNSの特徴があるので、例えばTikTokであればできるだけ万人受けするような動画を作って認知に踏み切る。
Instagramは画像だったり、それぞれのSNSの強みを使い分けて、SNSごとの掛け算をしていくことが重要。
佐々木明子キャスター
ターゲットを絞ると伸びないというのは面白い。
共感も関わっている?

僕と私と
今瀧健登代表

TikTokの仕組みは共感していいねを押すと、他の人にも広がっていき、バズるという仕組みになっている。
そういうところからTikTokはできるだけ共感をいろんな人に持ってもらうのが大切。
"ゼット式"で働き方が変わる!?
「僕と私と」メンバーの秘密とは
Z世代向けのマーケティングや企画を手掛ける「僕と私と」。
原宿のカフェで行っていたミーティングを覗くと…
僕と私と
今瀧健登代表

シーシャ吸っています。
参加者たちが吸っていたのはシーシャ(水タバコ)と呼ばれる嗜好品です。
僕と私と
今瀧健登代表

社内ミーティングではご飯食べながら、シーシャ吸いながらでも基本的に仕事ができていれば何でもオーケーというスタンス。
月に一度はサウナに集まってサウナミーティングも実施しています。
2年前に設立された僕と私と。現在メンバーの数は45人。9割が20代のZ世代です。
実はメンバーたちにはある秘密が、話を聞いてみると…
僕と私と
中澤一彰さん(25)

6月に新しく会社を立ち上げた。コーラの酒を販売している会社。
僕と私と
伊藤大憧さん(23)

今年2月に法人化して、会社を立ち上げて。
僕と私とで働く傍らで自分の会社を立ち上げるメンバーが続出。一体どういうワケなのでしょうか?
次々と"社長誕生"の狙いは
佐々木明子キャスター
自分で会社を経営している人が多いようですが?

僕と私と
今瀧健登代表

僕自身が一番最初に起業したときが勉強のために起業しようと思った。
その時、自分で経営とか法律とか知識など勉強しながら進んだが、法人化して起業することが一番自分事化して、一番教育になると思っていて、メンバーのはできるだけ起業して欲しいと伝えている。
その結果、2~3ヵ月に1社のペースで会社が増え続けている。
佐々木明子キャスター
メンバー1人1人がいろんな企業をしているということで、コーラのお酒?

僕と私と
今瀧健登代表

コーラのお酒の会社を作っていて、もともとはうちのブランド事業部で売上げが一定数になったら法人化するという形で。
コーラはウイスキーで割ってコークハイなどもあるが、これは炭酸でそのままコーラのお酒になるようなものを海外のZ世代に向けて作っている会社。
佐々木明子キャスター
1人1人スペシャリストなことを持っている?

僕と私と
今瀧健登代表

僕にとって組織は強みで弱みを補うためのものだと思っている。
それぞれの強みを生かしあって、弱みをさらけ出して組織として、チームとして助け、より良いものをつくっていくところを大切にしている。
佐々木明子キャスター
Z世代のマーケティングや分析は大変という話だったが、皆さんがそれぞれプロフェッショナルなジャンルで情報を持って広がっていくということ?

僕と私と
今瀧健登代表

情報を持って当事者目線で同世代に向けてマーケティングしている。
佐々木明子キャスター
自立した自由な働き方、ジョブ型の働き方、そういう感じ?

僕と私と
今瀧健登代表

ジョブ型でまた新しい好きな場所で、好きな時間でというところで、北は北海道、南は石垣島までメンバーは色んなところで働きながら自分らしく働くという感じ。