2%の物価上昇を目標に日本銀行が異次元の金融緩和を始めてから5年が経ちました。
しかしながら未だ目標は達成できていません。
そもそも、どうして2%なんでしょうか?
街の声
「どうして2%?」
IT関係の男性
全然分からない。
建築関係の男性
全く分からない。全然そんなの分からない。
商社勤務の男性
具体的にと言われると語れないですけど、「物価が上昇するのが嫌だな」という感じ。
日銀が3月、物価上昇率2%の認知度を調べたところ、3割にも届かない状況でした。
物価上昇率2%の認知度(3月) | 29% |
なぜ2%なのかよく分からないという話も多かったのですが、政府と日銀が物価上昇率の目標を2%としたのはデフレから脱却し安定的な経済成長を目指すためで上昇率をアメリカ、ヨーロッパなどの水準に合わせたからです。
4月9日から2期目を迎えた日銀の黒田総裁はこの2%の達成に向けて強い決意を語りました。
日本銀行
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日銀の黒田東彦総裁は、
2%の目標実現への総仕上げを果たすべく全力で取り組みたい。
4月9日、日銀総裁2期目に突入した黒田氏。
2013年に日銀総裁に就任以降、市場に大量のお金を流通させる金融緩和を実施。
2016年には金利を下げることで企業や個人の消費を促すマイナス金利を実行するなどさまざまな策を講じてきました。
物価が持続的に下落する意味でのデフレではなくなった。これまでの金融政策は適切なものだっと思う。
しかし目標とする物価上昇率2%には未だ至っておらず、日銀は達成のメドを2019年頃としています。
物価上昇率
あくまで物価上昇率2%の達成を目指すという黒田総裁ですが、どうして物価上昇率にこだわるのでしょうか?
黒田総裁が出てくる前の日本経済はデフレ不況、いわば水風呂に入ってた状況です。
黒田総裁が行っている金融緩和はお金をどんどん供給することで風呂の下で薪を燃やすような政策です。その結果として徐々に風呂の温度が上がってきているのが現状です。
ですから投資家や経営者の人の中にはそのメリットが出始めています。そういう局面です。
お風呂が温かくなって中に入っている投資家や経営者にとっては良い状況なのかもしれませんが副作用も出てきています。
その副作用で一番大きいのは預金を集めてお金を貸し出している銀行業だと思われます。
2013年3月に黒田総裁が就任して、4月に異次元緩和をして以降、長期も短期も金利の水準が一段と低下しています。
その結果、銀行の預金と貸出の利ざやがグッと縮まっています。そこで銀行が困った状況になっています。
4月9日の会見では金融緩和を続けるとした黒田総裁ですが、任期は2023年4月までの5年間です。
しかし、その任期の前半にある2019年後半に壁が立ちはだかっています。
2019年の壁
日銀の行く手を阻む最初のハードル、それは消費税の増税です。
3月まで日銀の副総裁を務めていた岩田規久男氏、
5年間の経験を通じて消費増税がマイナスの影響を長く与えるのは想像以上。
黒田総裁とほぼ同時期の2013年に副総裁に就任した岩田氏ですが、2014年4月の8%への消費増税が物価上昇を妨げたと指摘します。
デフレ脱却前に消費税を上げた。これが2%に上がらない最大の理由。
そして2019年10月には10%への増税が待ち受けています。
「2019年10月の消費税引き上げはどうすべきか?」
基本的には上げない方がいい。安倍総理は初心に戻るということですね。
一方、黒田総裁は4月9日の記者会見で、
「2019年10月の消費税引き上げリスクをどう捉えている?」
今回、消費税率引き上げ幅は2%で税収の一部を教育の充実に支出する。経済や物価への影響は前回と比べかなり小さいと予想。
加えて、今後物価上昇の行く手を阻むのが東京オリンピック景気の後退です。
日銀の金融政策を司る製作委員会のメンバーだった元日銀審議委員の白井さゆり氏も警鐘を鳴らします。
2019年頃から少しずつオリンピック特需が減る。2017年の成長率1.7%から2019年頃から1%を下回る。
さらにこれまで好調だった世界経済も失速が囁かれています。
白井氏は景気後退に向けて備えておくことの重要性を主張します。
いま景気がいいときに少し国債の購入量を減らし、次の緩和の余地をつくる発想をすべきだ。
黒田総裁の行く手を阻む3つの要因、日銀は目標達成のために現状の緩和策を続けるのでしょうか?
「金融政策の余地を広げておく必要は?」
将来の政策余地を拡大するために引き締めに転換、緩和を減らすのは適切ではない。