アメリカのダウ平均株価のここ40年間の動きを見てみると約10年ごとに株価が大きく下落しています。
1日で株価が2割以上下落した1987年のブラックマンデー。アメリカの財政と貿易収支などへの心配が株安の引き金です。
2000年のITバブルの崩壊。
そして10年前の2008年、リーマンショックが起きました。背景にあるのはアメリカの不動産バブルの崩壊でした。
こうしてみると要因は様々です。
今年は2018年でリーマンショックから10年目、そして2月からは株価は下落しています。
こうなるとこの10年の節目、新たな危機が起こるリスクというのはないのでしょうか?
10年前の震源地、ニューヨークで探ってみました。
リーマンショック
ニューヨーク・タイムズスクエアのすぐ近くのビル、リーマン・ブラザーズの本社があったビルです。
リーマン・ブラザーズが破綻する前日、リーマン・ブラザーズの従業員が何人もダンボールを抱えてこのビルから出て行っていました。
今から10年前に起こったリーマンショック。
住宅市場がバルブ状態にある中、金融機関は返済能力が低い人でも借りられる「サブプライムローン」の融資を拡大。
しかし住宅バブルが弾け、ローンが返せない人が続出。世界経済は金融危機に陥りました。
リーマンショックのような金融危機は再び起こるのか?
ニューヨーク証券取引所
金融の中心地、ウォール街にあるニューヨーク証券取引所。
30年以上、ここで働く名物トレーダー、クアトロ証券のピーター・タックマン氏は、
あの時は戦争に行く気分だった。1分1秒、集中して株価を見つめお客様のお金を守った。
「ダウは今年も上がる?」
そう思っている。雇用、減税、企業業績、全て好調。
「新たな金融危機のリスクは?」
バーチュ・ファイナンシャルのマシュー・チェスロック氏は、
全く無い。企業も銀行の規制も変わった。市場を牽引しているのはテクノロジー分野、主な経済指標はどれもいい。まったく心配していない。
金融危機は起こらないと断言。しかし、次の危機の予兆はないのか?
BlackRock
[blogcard url="https://www.blackrock.com/"]
滝田洋一キャスターは世界で最も巨額のマネーを動かす人物に会えることになりました。
ニューヨークの一等地にそびえ立つ巨大なビル。資産運用会社ブラックロック。
ブラックロックの運用部門、運用資産はなんと700兆円と世界最大。日本の国家予算の7倍にもあたります。
今回、このブラックロックを率いる人物が取材に応じるといいます。
待つこと約30分、現れたのはブラックロックの創業者、ラリー・フィンク会長。
世界の金融界に強い影響力を持ちます。
私のオフィスにようこそ。
「いいオフィスですね」
そうですね、でも間もなく引っ越します。
リーマンショックから10年、アメリカが再び金融危機に直面する可能性をどう見ているのか?
「リーマンショックから10年ですが?」
金融危機は皆にとってショックでした。市場はバブル状態とは言われていたが、弾けた時にここまで大きなものになるとは予想していませんでした。
リーマンショックで我々は大きく変わった。金融市場の構造的なリスクは10年前に比べて低くなったと思う。規制当局は銀行の合併を促したり、規制を強化したりしました。この10年間で市場がこれだけ大きく成長したところを見ると金融システムは格段に安全になったといえる。
「リーマンショックのような金融危機は再発するか?」
そうは思わない。サブプライムローンのような不良債権は今はないからです。
リーマンショックのような危機は起こらないと否定したフィンク会長。
「今後のアメリカ経済は?」
大型減税と巨額な政府予算によって経済は加速すると見ている。18年から19年は3~3.5%の経済成長を見込んでいる。
ただ2月には株価が1日で1,000ドル以上下がるなど市場は不安定さを増しています。
不安定さを増したのは市場に資金が投入されすぎていたから。私からすれば株価が10%下がることはよくあることで景気が大きく変わったとは思いません。
しかし本当の変化は1~2年後に起こるとみている。