東京ビッグサイトは年間300の展示会やイベントが開かれている日本最大の展示会場です。
この東京ビッグサイトである深刻な問題が浮上しています。
東京ビッグサイト
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朝9時過ぎ、東京ビッグサイトに向かう大勢の人たち。お目当ては20年以上続く同人誌の展示販売会「SUPER COMIC CITY 26」。2日間で10万人を動員する人気イベントです。
しかし2年後には開催できない可能性があります。
参加者は、
えーそうなんですか?知らなかった。
他でやるとしたらどこでやるんだろう?なくなっちゃったら嫌。
実は東京ビッグサイトが2年後から使えなくなるのです。
理由は2020年の東京オリンピック・パラリンピック。東京ビッグサイトを国際放送センターやプレスセンターとして使うのことになったのです。
2016年2月に発表された計画によると東側の展示棟は放送機材設置のため2019年4月から2020年11月まで使えません。また新設される南展示棟と西展示棟も2020年4月から10月まで使えません。
そこで代替施設として青海仮設展示場が作られますが、こちらも2020年4月以降使えなくなるといいます。東京ビッグサイトの全館閉鎖。
これは特に中小企業にとって死活問題だと日本展示会協会の石積忠夫会長は危惧します。
大幅縮小によって展示会を通じて生まれる約1兆円の売り上げがなくなる試算。出展企業の99%は中小企業。非常に大きな問題。
東京ビッグサイトの総展示面積は約9.6万平方メートル。国内最大の展示場です。年間の来場者は1,600万人以上。
東京モーターショーや産業ロボットの展示会や年間300件のイベントが開催され、企業の販路開拓や新商品を発表する重要な商談の場です。
出展企業
多くの展示会などが中止や縮小を余儀なくされる事態に出展企業は?
年4回、東京ビッグサイトの展示会に出展するというメトロームの松橋卓司社長、工作機械を使う時、正確な位置決めができるセンサーを作っています。
エンジニアや生産技術のの方は地方の工場にいるので訪問すると1日に1~2件しか行けない。展示会では1日に100人とか来てもらえる。
鋳造機メーカー、吉田キャスト工業の吉田稔社長も怒りをあらわにします。
下支えになっている産業をダメにしてまで五輪特需を大切にするのかと。経済効果の上乗せでなく、すげ替えをやろうとしているので違和感がある。
株式会社しまや出版
[blogcard url="http://www.shimaya.net/"]
影響を受けるのは出展企業だけではありません。
従業員20人の印刷会社「しまや出版」。東京ビッグサイトのイベントで販売される同人誌の印刷を多く引き受けています。
今回の問題はどれくらい売り上げに影響するのでしょうか?
小早川真樹社長は、
3~4割の売り上げ減になると考えている。小さな零細企業は倒産も考えなきゃいけないかも。
他にも会場の設営や撤去を始め、東京ビッグサイトの展示会に関わる中小企業は約1,000社。今回の問題は重くのしかかるといいます。
代わりの展示会場
代わりの展示会場は東京ビッグサイトに次ぐ広さの幕張メッセも競技会場として使われるため2020年4月~9月は使えない予定。近郊のパシフィコ横浜やさいたまスーパーアリーナは展示面積が狭い上、他の展示会やコンサートなどで空きは少ないといいます。
説明会
こうした中、東京ビッグサイトが4月末、関連企業への説明会を開催しました。
日本展示会協会の石積忠夫会長もやって来ました。
今までと同じように展示会が開催できるような発表があるといい。
会場には約500人が集まりました。ただ報道陣が入れたのは冒頭のみで説明会自体は非公開。
WBSが入手した説明会の音声データでは、
関係者との調整を進めた結果、利用制限の軽減が図られた。使用できない期間は2ヵ月短縮され2020年の5月~9月。
西と南の展示場が使えない期間を従来の7ヶ月から5ヶ月に短縮。仮設の青海展示場を使える期間を5ヵ月延長すると発表しました。
しかし7月~9月は全て使用不可のまま。
利用者側は、
根本的な解決になっていないと正直落胆している。たくさんの中小企業の声が毎日届く展示会ができないとつぶれてしまう。
東京ビッグサイトをメディアセンターとして使わないということは考えられないの?
利用者側は東京ビッグサイトをメディアセンターとして使う事自体の見直しを求めましたが、東京ビッグサイト側は現段階で会場の見直しはないとの一点張り。
東京ビッグサイトを管轄する東京都の中小企業を応援する東京都産業労働局商工部、中小企業振興対策の伏見充明担当課長は、
東京オリンピック・パラリンピックを成功させるためということもありますし、中小企業振興のため展示会の開催しなくてはならない。最適方法を模索しつつあり、それを提示している。
展示会に関わる企業などが会場の見直しを求める署名サイトを立ち上げ、現在14万人以上の署名が集まっています。
署名サイトを立ち上げた印刷会社の栄光の岡田一社長は、
個人の方に分かりやすく、かみ砕いて問題を広めていくために始めた。
小池百合子都知事
先週、漫画やアニメファンが多く集まるイベントに参加した小池都知事に参加者からこんな質問が飛び出しました。
東京ビッグサイトの利用が制限されることでコミックマーケットなどのイベントは通常通り開催できるのか?
小池都知事は、
確認しておきます。イベントは仮設の会場を使うんですよ。
イベント終了後、記者の質問に対しては、
「出展業者からは1兆円の損失が出るという話を聞くが?」
仮設対応でちゃんと準備しています。
「仮設会場などは面積が3万~4万平方メートルレベル。使える会場が実質ゼロの期間もあるが?」
よく皆さんの声を聞いていきたい。
東京オリンピック・パラリンピックに影に潜む新たな問題。その解決策はまだ見えていません。