東京オリンピック・パラリンピックに向けたさまざまな動きを追うROAD TO TOKYO。
今回取り上げるのは自転車でアクロバットな技を披露し、その完成度を競う「BMXフリースタイル・パーク」です。東京オリンピックで初めて正式種目に採用されました。
日本では知名度がまだまだ高くありませんが実は世界トップクラスの選手もいます、メダルも期待される中、岡山県のあのジーンズメーカーが注目の女性選手とタッグを組みました。その狙いを探りました。
公益社団法人岡山青年会議所
[blogcard url="https://www.okjc.org/public/"]
岡山市のシンボル「岡山城」。
何かの撮影が行われていました。
自転車に乗ったまま、なんと1回転。実はこちらはBMXフリースタイルという競技の選手です。
岡山を舞台に現在作成中のBMXのPRビデオ。一般人に扮した選手たちがさまざまな場所で技を披露するストーリー仕立ての動画です。
制作するのは岡山の青年会議所。
その狙いは…
岡山青年会議所の古市聖一郎理事長、
BMXなら「世界の聖地・岡山」となることが可能なのではないか。
BMXを通じて街が活性化することを望んでいる。
日本のBMXの聖地を目指す岡山県。
北部の津山市にあるカフェ「ボンズランプカフェ」。
隣にはなんとBMXの練習場が。
休日には子ども達も練習に訪れます。
そんな彼らにとって憧れの存在ががこの人。
大池水杜選手
大池水杜選手(22歳)、日本のBMXフリースタイルでは唯一の女性プロ選手です。
岡山県を拠点に練習をしている大池選手、地元企業のCMに起用されるなど注目の存在です。
応援してくれる人も増えている。環境はかなり変わってきましたね。
実は大池選手は去年フランスで行われたBMXフリースタイルの最高峰、ワールドカップで日本人初となる優勝を果たしました。
ノーハンドと呼ばれるジャンプ中に手を離す難易度の高い技を得意としていて、東京オリンピックでは金メダルの有力候補といわれています。
大池選手は以前、東京で活動していましたが去年、拠点を岡山に移しました。
一般社団法人全日本フリースタイルBMX連盟
[blogcard url="https://japanbmx.com/"]
その大池選手を岡山に誘ったのが出口智嗣さん(41歳)、全日本フリースタイルBMX連盟の理事長です。
岡山出身の出口さん自身もBMXフリースタイルの元プロ選手。
引退後の2016年、故郷の岡山を拠点とし、連盟を設立しました。
なぜ岡山にBMXの拠点を置いたのか…
その理由のひとつがスポンサー問題でした。
ナショナル(全国規模の)企業はいろいろな団体に協賛をすでにやっている。
その中にBMX連盟が行っても「結果」も持っていないし、「何ができるのか」といわれるとハードルが高かった。
地方のナショナル(全国規模)になるところと、これからナショナルになっていく連盟が一緒に協力して伸びていくのが今後の形になるのでは。
そうして集めた現在のスポンサーは26社。このうち22社が岡山の企業です。
株式会社ビッグジョン
[blogcard url="http://store.bigjohn.co.jp/"]
メインスポンサーを務めるのは岡山を代表するジーンズメーカー「ビッグジョン」。
実はBMX、選手の多くはTシャツとジーンズで競技を行います。ジーンズはいわばユニフォームなのです。
ビッグジョンは資金提供にとどまらず選手たちに自社の製品を提供。
その特徴は柔軟性。
科学繊維を独自の割合で配合したことで従来のストレッチジーンズよりおよそ3倍伸びるといいます。
ビッグジョンがメインスポンサーを引き受けたのは業界全体が抱える危機感からでした。
ビッグジョンの清水剛社長、
ジーンズ業界を引っ張ってきたナショナルブランドの業績の落ち込みは半減に近い。
BMXの選手が活躍することによって「岡山ジーンズはどんんあものがあるのか」と思ってもらえたら。
岡山全体をBMXで盛り上げるという共通の目的のもと新たな挑戦も始まっています。
「ジーンズプロジェクト」を具体化して選手により良いものを出せるようにした・
取り組んでいるのはBMX専用ジーンズの開発。
このプロジェクトにはビッグジョンだけでなく、ほかのジーンズメーカーも参加。ジーンズの街、岡山の総力を結集します。
この日の議題は大池選手の得意技「ノーハンド」をより安定させるためのジーンズを作ること。
技を決めるときサドルに足が当たっている。
ここで自転車を止めている。落ちないように。
内側に滑らない素材があればすごく魅力的。
出口さんは滑り止めを施すことで大池選手のノーハンドがさらに進化すると考えていました。
株式会社WHOVAL
[blogcard url="http://whoval.com/"]
プロジェクトに参加する会社のひとつ、フーバル。
工場では早速、試作品づくりが…
ジーンズに塗りつけているのはシリコン樹脂。
まずは太もも付近全体に塗りつけ滑り止めになるかどうか検証します。
翌日、出口さんと大池選手のもとに早速、あのジーンズが届けられました。
まずは質感を確かめてもらいます。
全然滑らない。
滑らない。
シリコン樹脂の使用自体は受け入れられた様子。
触った感じだとかたい。
ちょっとかたい?
この辺は薄くしてシリコンの量を少しにして。
改良点も伝えます。
この間の打ち合わせのときに「滑りにくい素材」といって、シリコンが出てくると思わなかった。かなり違う。
断然やる気になってきました。
ジーンズメーカーも手応えを感じていました。
フーバルの石橋秀次社長、
スポーツ選手と直接話をしてモノを作っていくのはなかった。
すごくいい経験。
岡山の良さを世界に発信して、世界での仕事をもっとやっていきたい。
メダル獲得を目指し、猛練習を続ける選手と地元企業との二人三脚は続きます。
東京2020でやっとオリンピックという舞台で選手たちが活躍できる。
BMXを最大限に宣伝できる場所。
そのときに「BMXの聖地は岡山」と岡山を宣伝できる。