「強制貯蓄」あまり聞いたことのない言葉ですが、旅行や買物など本来あったはずの消費が新型コロナで抑制されて強制的に貯蓄に回されているという意味です。
総額は20兆円にもなり、今この消費のマグマがいつ爆発するかに注目が集まっています。
一部ではその兆しが出てきていますが、4度目の緊急事態宣言で遠のいてしまうのでしょうか。現場を取材しました。
株式会社ビックカメラ
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「お金を最近使っているか?」
使ってないっちゃ使ってないか。
「気づいたらお金がたまっているか?」
お金がたまっていた。
コロナ渦前と比べて貯蓄額が2倍ぐらい。
お金を使うところは減っている。明らかに。
国内旅行も海外旅行もそうだがいろいろなところに行ってお金をたくさん使っていきたいと思う。
街の人の消費意欲が高まる中、消費爆発のカギを握るのは日銀が強制貯蓄と名付けたお金の行方です。
強制貯蓄とは新型コロナの影響がなかった場合の個人消費の水準から実際の消費水準を差し引いたもので総額は20兆円に上ります。
強制貯蓄の向かう先を取材すると…
ビックカメラ有楽町店の川瀬大店長、
いろいろなチャンネルでの競技を録画して好きな時間に見られるのでレコーダーが非常に人気。
期待以上に売り上げが伸びている状況。
家電量販店「ビックカメラ」では東京オリンピックによる駆け込み需要で大型テレビのほか、レコーダーを購入する人が急増。
先月下旬から今月上旬の売上高はいずれも1年前と比べて1割ほど伸びているといいます。
77インチの大型テレビとレコーダー、およそ80万円ほどを購入した夫婦は、
せっかう買うならオリンピックに間に合うように。
入場行進もきれいに見られるかなと。
東京オリンピックの開催が首都圏で無観客に決まったことも今後の消費を後押しすると見ています。
競技が始まってからもっと需要が伸びると期待している。
苦戦していた百貨店でも消費回復の兆しが。
案内されたのは…
日本橋高島屋の阿保和美さん、
色石を使ったリングが人気。
日本橋高島屋では7月に入りアクセサリーの売り上げが25%増。特にルビーやサファイア、アメジストに代表される色のついた宝石のリングが人気だといいます。
昨年来高額なジュエリーやマジックリングは好調でしたが、最近の傾向として普段使いのアクセサリーの人気が高い。
コロナ禍ではこれまで30万円以上する高級ブランドのカバンや時計などが売れていました。
しかし今、購買層が広がり10万円台の商品も売れ始めているといいます。
旅行など控える人がいる中で自分のご褒美としてアクセサリーを買う人がいる。
このまま消費爆発となるのでしょうか。
ワクチン接種が一足先に進むアメリカやイギリスなどの消費活動を分析したところ、ワクチンの接種率がおよそ1ポイント上がる毎に消費のために動く人では1%上昇するという分析結果もあります。
日本でも1回目の接種はおよそ28%、徐々にワクチン接種は進んでいますが、懸念も。
7月8日、4度目の緊急事態宣言が決定。消費爆発へ向けブレーキがかかる可能性があると専門家は指摘します。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長、
休業要請が出ていた4月と比べると少しはましになる。
ただもともとの水準からは遠い売り上げ。長い目で見ると非常に厳しい業界。
宣言による外出自粛の影響が特に大きい旅行業界。4度目の宣言の対応に追われています。
阪急交通社の国内営業二課、高橋成美さん、
7月15日からの旅行申し込みを頂戴していたが、ツアーを中止とさせていただきました・
こちらの旅行会社では宣言が発令される東京と沖縄発着の添乗員付き団体旅行は中止します。
「お客さまはなんと言っていた?」
「残念」とそれだけ。
中止の連絡をすると「もう2回ワクチンを打って準備万全」というお客様もいる。
7月中の中止が決まった星野リゾートの2つの施設に泊まれるプラン。
人気の宿でゆっくり温泉に浸かり、自然を楽しむ日程が組まれていて、値段は1人8万9,900円からと安くはありませんが人気が高いといいます。
すでに9月と11月上旬はキャンセル待ちの状態。7月の団体旅行は中止としましたが今後の旅行意欲は高まると見ています。
個人旅行についてはお客様が参加の判断をしているが、以前に比べてキャンセルする人が減ってきている。
秋には2回目のワクチン接種も進むので、より一層旅行需要の回復を見込めるのでは。
専門家も消費は緩やかに回復すると見ています。
コロナ慣れという面もあるので宣言が出ても人手が大きく減ることは幸か不幸かない。
緩やかながら消費は全体として回復に向かう。
ただ本格的な開始には行動制限の解除が必要で強制貯蓄による爆発的な消費までにはまだ時間がかかると指摘します。
本来はこれだけ貯蓄があるので行動制限が仮になくなっていれば消費は短期間の内に爆発的に増える。
勢いは残念ながら落ちることは避けられない。