ビジネス関連 モーニングサテライト 輝く!ニッポンのキラ星

[モーニングサテライト]【輝く!ニッポンのキラ星】高品質の接ぎ木で日本一!愛媛・宇和島市 野菜苗メーカー[ベルグアース株式会社]

モーニングサテライト

地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。

今回は愛媛県宇和島市からです。接木苗という技術を武器に農業を稼げる産業に産業に変えようと取り組む企業を取材しました。

高品質の接ぎ木で日本一!

愛媛県南部に位置する温暖な気候の街、宇和島市。

大きな一軒家のように見えるこちらがベルグアースの本社です。

2001年に設立し、現在は283人の従業員を抱えています。

前期の売上は53億7,200万円、純利益は1億2,200万円でした。

野菜の苗を製造する会社ですが、なかでも主力の事業が2種類の植物を人工的に接ぎ合わせた接ぎ木苗です。

トマトやきゅうりといった実をつける苗は穂木、それを土台となる台木と接なぐと接ぎ木苗ができます。

接ぎ木苗を土に植えると台木の部分が根を張り、穂木の部分が実をつけます。

甘くて大きいトマトができる品種の苗を穂木とし、病気や害虫に強い品種の苗を台木とすることで両方の長所を兼ね備えたトマトができるというワケです。

接ぎ木苗はトマトやきゅうりのような野菜類の生産ではすでに欠かせない技術となっていて、日本全国で生産されるきゅうりのおよそ95%が接ぎ木苗を使ったものだといいます。

ベルグアースが作る接ぎ木苗はその品質の高さが売りです。

まずは接ぎ木苗の根の部分となる台木の茎を斜めにカット、次に実をつける穂木の茎も同じ角度で斜めにカットします。

苗木と穂木、2つの苗の切り口がぴったり合うように固定すれば接ぎ木苗のできあがりです。

かつては農家がそれぞれ自前で作っていたこの接ぎ木苗、その生産販売に特化しようとベルグアースを設立したのが山口一彦社長です。

ベルグアース
山口一彦社長

もともと兼業農家に生まれて、農業を一生懸命頑張って働いてもなかなか収入が得られなかった。
その農業をなんとかするためには自分で値段が決められるものを作る。
そこで出会ったのが野菜の苗。接ぎ木という付加価値を付けられる苗。

若くして農家を継いだ山口さんですが、作物を作って農協に販売しても価格の決定権がなく、稼げませんでした。

そこで得意だった接ぎ木苗を農家に売るビジネスに進出したのです。

すると農家の高齢化や農業の大規模化の流れに乗り、接ぎ木苗を購入する農家が増えていったのです。

会社は成長し、2011年にJASDAQへの上場を果たしました。

いまでは年間およそ3,100万本の接ぎ木苗を生産し、その量は日本一に。

日本で生産されているきゅうりのおよそ1割はベルグアースの接ぎ木苗を使ったものだといいます。

こちらは栃木市にあるトマト農家「和総農園」。いままさに収穫の最盛期を迎えていました。

7年前に農家を始めた物江直人さんは当初からベルグアースの接ぎ木苗を使っています。

和総農園
物江直人さん

苗が作柄の半分を決めるという「苗半作」という言葉がある。
苗はとても大事。
ベルグアースは接ぎ木苗の品質がかなり良いので新規就農してから毎年使っている。

農家の声に耳を傾けた商品開発

ベルグアースは茨城県や岩手県など日本全国に6ヵ所の直営農場を持つほか、27ヵ所の農場とパートナー契約を結んでいます。

ベルグアースが作った接ぎ木苗はこれらの農場に運ばれ、商品となる大きさに育ててから農家に販売します。

生産者に近い農場で苗を育てることでその土地の風土に適した強い苗が育つといいます。

また接ぎ木苗の開発以外にも商品には細かい工夫を加えています。

アースストレート苗は根鉢を生分解性の不織布で包み、そのまま植えられるようにしたもの。

作業効率が上がるだけでなく、従来の苗のようにポットを廃棄する必要もないので環境にも優しいのだといいます。

また山口社長がいま一番力を入れているのがウイルスガード苗という商品です。

きゅうりの栽培では長年、虫が媒介するウイルスに悩まされていたため、ベルグアースでは自らワクチンを開発。

そのワクチンをあらかじめ接種した苗を販売することで感染病の拡大を予防できるようになったといいます。

顧客である農家の声に耳を傾けた商品開発の結果、売上が右肩上がりで伸びているのです。

ベルグアース
山口一彦社長

「農業に革命を起こす」という企業理念の中で"製造業としての農業"を目指している。
農業で生計を立てて、そのことで消費者がおいしい野菜を食べられる。
そういう世の中にしていきたい。

-ビジネス関連, モーニングサテライト, 輝く!ニッポンのキラ星
-,