東京都心のオフィスの空室率のグラフです。7月8日に発表された6付きの空室率は16ヵ月連続で悪化し、6年10ヶ月ぶりに6%台となりました。
新型コロナを機にリモートワークが急速に普及し、オフィスを縮小する企業が増えていることが背景にあるのですが、実は今オフィス回帰という逆の動きが出ています。
一体どういうことなのか取材しました。
株式会社ベネッセコーポレーション
[blogcard url="https://www.benesse.co.jp/"]
東京・多摩市にオフィスを構えるベネッセコーポレーション。
社員の出社率を現在の3割から最大5割に増やすための大規模リニューアルを行いました。
ベネッセコーポレーションの増本勝彦経営管理本部長、
以前はこの固定テーブルが向こうまで続いているようなオフィスだった。
今はオープンスペースを中心としたレイアウトになっている。
固定席を廃止し、フリーアドレス制を採用。共有の打ち合わせスペースをおよそ3倍に拡大し、リモートワークの弱点だったコミュニケーション不足を補えるようにしました。
さまざまなタイプの部屋も用意し、会話が弾みやすい空間作りを目指したといいます。
人と人が話し合うことで一緒に作り出す"共創"。これが生まれるのがオフィス。
"共創"が生まれるスペースをできるだけ多く作るようにした。
これまで朝礼などで活用していた大ホールも共有の机がずらり。今日ここで打ち合わせをするチームがありました。
進研ゼミチーム、
ここの枠から外しちゃって。
上で概要を伝えて、下は日程の話を。
進研ゼミ中学講座のオンラインライブ授業で使うテキストのチェック。
オンライン上の打ち合わせだとサラサラ流れてしまったことが、今まで気づかなかった観点の意見が出るようになった。
ベネッセは今後、リモートと出社を半々にした"ハイブリッド型勤務"に力を入れていく考えです。
会社で社員が集ってお客様のために何がベスト化を考えならがやるのがわれわれの根幹なので、それを大切にしていく。
新たに方法でオフィスを充実させる動きも。
今年3月にオフィスをリニューアルした人材コンサルティング会社「経営者JP」。
中に入ると本棚が並んでいます。
経営者JPの井上和幸社長、
本棚はもともとなかった。新しく作って本を入れた。
これまでセミナーや会議をしていたスペースをおよそ500万円かけて自由に使える執務スペースにリフォーム。
本棚にはビジネスや経営に関する本などおよそ4,000冊が並んでいます。
図書館が好きなので本に囲まれた環境は仕事しやすい。
ネットより本を読む方が情報として信頼度もあって面白い。
困っていることのヒントがありそうなとき、本を手に取ることが多い。
東京都に再び緊急事態宣言が出されることから出社率は当面3割程度に抑えるもののオフィスの縮小や廃止は考えていないといいます。
コロナ前にイメージしていたリモートワークの価値観が実際やってみると、それだけだとつたい。
何かのときに集まる、情報を取りに来る、集中できる場があることがこれからのオフィスの存在価値。
一方、アメリカでもオフィス回帰の動きが出ています。
ニューヨーク支局の宇井五郎記者、
アップルでは従業員に対し、週に3日はオフィスで勤務するよう求めています。
アメリカのIT大手アップルのティム・クックCEOは対面で仕事することの重要性を説き、9月から週3日間出社するよう従業員に要請しました。
テレビ会議で距離が縮まったのは確かだが、対面での活発なやりとりや創造性、われわれがこれまで築き上げてきたものの感覚を失っている。
しかし、これに一部の社員が反発し、勤務形態をより柔軟にすべきとする意見書をクックCEO宛に提出しました。
街で聞くと、
チームワークを維持するためにはオフィスで過ごす時間を増やす必要がある。
ただ、在宅勤務には明らかに利点がある。それは通勤する必要がないことだ。
オンライン会議は通常はできないアメリカ全土の顧客とのコミュニケーションを可能にしてくれた。
その一方でオンライン会議は対面での会議を正確に再現しているとは思わない。
対面の方がより生産的なことが多い。
正直に言うと家ではあまり仕事ができていない。
私には1歳と2歳の子どもがいるから家で集中するのは難しい。