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[WBS] 中国主導の経済圏「一帯一路」!習主席の野望!?「新段階に」

2017年5月15日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

中国の習近平国家主席が提唱しているのが巨大な経済圏「一帯一路」構想です。これを推進するための国際会議が5月7日から5月8日にかけ開かれました。この一帯一路、中国とヨーロッパを陸と海で結ぶ構想で現代版「シルクロード」とも呼ばれています。

まず陸路が「一帯」と呼ばれて中央アジアを経由します。一方、海のルートのことを「一路」といい南シナ海やインド洋、そして地中海を経由して中国とヨーロッパを結びます。

アメリカ主導の国際秩序を変えたいという中国の狙いも透けて見えるこの「一帯一路」構想。巨額な投資も伴うだけに周辺国も巻き込んで熱気が高まっています。

一帯一路

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北京市郊外の自然に囲まれた国際会議場。5月15日、ロシアのプーチン大統領をはじめ29ヵ国の首脳による会合が開かれました。

会合後、習主席は会見で、各国からの幅広い賛同を得られたとした上で次のように述べました。

「一帯一路」の建設は全面展開に向けた新たな段階に進んだ。

「一帯一路」構想に基づく初めての国際フォーラムには130を超える国などから代表団が参加。習主席は「保護主義に反対する」と強調しインフラ整備を軸に貿易・投資を拡大して中国主導の経済圏を構築する考えを示しました。

これは保護主義的な通商政策に傾くアメリカのトランプ政権を牽制し世界経済の牽引役を担う意欲を鮮明にしたと見られています。

中国は「一帯一路」を推進するために設立した「シルクロード基金」に約1兆6,000億円を追加拠出することを決定。今後、各国との具体的な協力がどこまで進むのか注目が集まります。

日本の代表

中国が推進する「一帯一路」には日本の経済界も熱い視線を送っています。

経済界としても外から眺めるのではなく、一帯一路というフレームワークの中に入り、いろいろな協力・連携ができるかどうか、これから検討していきたい。

中国を訪れている経団連の榊原会長はテレビ東京のインタビューに応じ、日本の経済界としても「一帯一路構想」に積極的に関わっていきたいと意欲を示しました。

そして今回の国際会議に日本政府から派遣されたのは自民党の二階幹事長でした。

経済的な側面が強い今回の一帯一路に関する会議、これに経済閣僚ではなく自民党の二階幹事長が派遣された背景には中国との歩み寄りを図りたい安倍総理の強い意向がありました。

二階幹事長は、

一帯一路がすべての国に開かれたスタンダードに適合した質の高いものとして推進されることを期待している。

中国主催の国際会議で一帯一路への強い期待感を示した二階幹事長。二階幹事長は訪中前の4月、中国のテレビ局のインタビューで中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)について「日本が参加する可能性がある」と突如語り、日本では驚きが広がりました。

この点について二階幹事長周辺は、

「AIIB」や「一帯一路」の話は中国を交渉のテーブルに引き出す材料。安倍総理の強い意向を受けて日中関係改善の地ならしをするのが今回の訪問の真の目的です。経産大臣ではできない仕事です。

中国主導のAIIDや一帯一路に前向きな姿勢を示すことで難しい交渉相手である中国を関係改善の交渉に引き出す戦略です。

総理大臣をはじめ、内閣としても私がお伺いするとすれば、習主席といい会談の結果となれば素晴らしいことだと思い期待している。

こうした戦略が功を奏し5月16日の習近平国家主席との会談が固まりました。二階幹事長は3度目となる習主席との面会で習主席宛ての安倍総理の親書を手渡す考えで、安倍総理と習主席による相互訪問の早期実現など目に見える関係の改善に向け環境を整えたい考えです。

新疆ウイグル自治区

一帯一路構想で中国はその主導権を発揮できるよう各地で着々と準備を進めています。

例えば新疆ウイグル自治区、カザフスタンなど8ヵ国と隣接していて大変重要な拠点となっています。ここで中国はどのようなテコ入れをしてきたのか現地を取材しました。

カザフスタンと国境を接する中国、新疆ウイグル自治区。高速道路を走ると「世界初!中国唯一、中国-カザフスタン国際国境協力センター」のスローガンが現れます。

国境近くには大きな荷物を持つ人々の姿。彼らの向かった先は中国とカザフスタンが力を入れる自由貿易特区です。広さは約5平方キロメートル、すぐに国境が見えてきました。

中国とカザフスタンの国境。普段は入管の手続きが大変厳しいのですが、こちらでは自由にカザフスタンに行くことができます。

カザフスタンに入ってすぐに目についた建物、中にあったのは免税店です。化粧品から腕時計まで世界各国から集められた商品が並んでいます。ジョージア(グルジア)産のワインは1,000円。街で買うと3倍以上の値段がするといいます。

中には、

全て日本の資生堂の化粧品よ。ここにあるのはクリームや化粧液、日焼け止めはもう売り切れたわ。

1人約14万円まで免税となるため高額な商品もよく売れます。値札をよく見ると2つの値段が。

中国の人民元とカザフスタンの通貨が両方使える。

こうした利便性が受けて旅行客も増えているといいます。

ホルゴス金億国際貿易集団

新疆ウイグル自治区はカザフスタンのほか、パキスタンなど8ヵ国と隣接。ヨーロッパへと向かう国際貨物列車が通過する一帯一路構想の陸の最重要地域です。

中国はここに投資を行い貿易拡大への足がかりにすることを目指しています。

その恩恵を受けているのが野菜や果物を扱いう会社、ホルゴス金億国際貿易集団。王永貴副社長は、

あれは全てカザフスタンのトラックだよ。外国輸出向け、今日は少ない方だ。

カザフスタンが海外から輸入する野菜や果物の実に約4割をこの会社が担っています。

「箱には何が書いてある?」

ロシア語で「リンゴ」だよ。

ロシア語なのはカザフスタンを経由し、ロシアなどにも輸出を進めているからです。

この会社は特区の支援を受けています。通関の職員が直接来て検査をするので手続きの時間が半分以下になるといいます。

通関がはやいので鮮度が保てる。鮮度が良いから高く売れるのさ。

また特区内はいま建設ラッシュ。企業を誘致するため思い切った優遇策をとっています。

5月10日、深圳にあるロボットの会社、ホルゴス博士皓電子科技がこの経済特区に支社をオープンしました。扱っているのは高齢者や子どもを見守るサービスロボット。近く生産工場もこの特区に移転させる予定です。

ここまで力を入れるワケを顔桃楊会長は、

第一は税制、法人税が5年間免税。その後5年間は半分。ここは一帯一路の最重要都市。われわれもこの一帯一路の波に乗りたい。

交通の要所に企業の集積を図る中国、一帯一路構想の実現を睨んでその重要拠点では着々と力を蓄えています。

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