北京オリンピックは2月4日の開幕を前に2月2日から一部の競技が始まります。
新型コロナの感染拡大を抑えるため東京オリンピックよりもはるかに厳格な体制で運営されているバブル。つまり外部から隔離されたエリアの中から現在の状況を伝えてもらいます。
田口智也記者。
世界中の放送局や新聞社が集まる拠点"メディアセンター"にいます。この時間は人通りも少なく静かですが、普段は開幕も近いこともあって多くの人が行き交っています。

こちらはオフィシャルグッズが売っている売り場ですが普段は入店待ちのお客様の行列ができるほど人気を集めています。

普段われわれが移動を許されているのはメディアセンターと宿泊しているホテル、そして競技場のみです。このメディアセンターにいる時間が長くなりますが、ここで取材を進めていると中国政府による情報の発信と統制、その両面が見えてきました。

料理の提供は頭上から!?
世界中のメディア関係者の仕事の場となるメディアセンター。

オリンピックの公式放送機関が拠点を構え、競技映像を配信するほか、各国の放送局がスタジオを設置し、ここから生放送などを行います。


こちらはちょっとした売店です。品揃えは日本のコンビニに慣れていると物足りない感じはします。

食品などの日用品を売る店や公式グッズを扱う土産店もあり人気を集めています。
一方でこんな場所も…
こちらは「Beijing Story House」とあります。

「FREE」と書いていますが中国のスーパーコンピューターや現代文化などの本、全て無料で配布しています。

英語やドイツ語など数ヵ国語で翻訳された中国の科学技術などをアピールする本が山積みにされていました。

さらに食堂では…

料理をしていたのは人ではなく中国企業が製造したロボットです。焼きそばやチャーハン、ハンバーガーなど器用に注文をさばいていきます。

注文した際にもらうレシートには「A12」という文字が。

これは座席番号で指定されたテーブルに座ります。

料理が完成するとお客様の頭上をロボットが行き交い、注文した料理を届けてくれます。

届きました。チャーハンを注文しましたが見た目は普通です、ロボットが作ったようには見えません。美味しそうです。

こちらの座席番号を自動で認識して上から運んでくれるかたちです。注文してから10分足らずで届きました。

こうしたロボットで中国の技術力だけでなく人との接触を減らし、コロナ対策が万全であることもアピールしたい考えです。

中国政府アピールの裏に…
組織委員会が発行している新聞ですが、食堂のロボットの写真が一面にあります。安全な大会ということを強調しています。北京が世界に自信を与えるという見出しを打って、コロナを抑え込んだ大会運営は可能だということを強く打ち出しています。

「中国の方は厳格に管理されているバブル方式を支持しているか?」
メディアセンター内はボランティアなど多くの中国人が働いていますが、実は彼らもバブルの中の生活を義務付けられています。北京に住んでいる方でも家に帰ることはできません。
そうした環境をどう思っているか聞いてみても、勝手に取材に答えることはできないと言われます。カメラが回っていない場所でも本音を聞き出すことはできていません。
中国側への取材は自由にできず、事前に大会組織委員会にテーマや質問内容を申請して、その申請を受けて組織委員会側が選んだ人物が対応してくるかたちになっています。
今回のオリンピックは人権問題や外交ボイコットなど政治的なトピックも少なくない中で見せたい中国と見せたくない中国、その使い分けにコロナ対策と同じ用に非常に神経をすり減らしていると感じます。
24人感染"厳格バブル"実態は?
「取材に来ている各国の記者はバブルの環境のことをどう捉えている?」
メディアセンター内は自由に動けるが、一歩外に出ると建物の周りは高い柵で囲まれて、警察が常に監視している。あるメディア関係者は「まるで囚人だ」と話すなど賛否が分かれています。

オーストラリア人記者。
理解はしている。とても大変な状況であることは。

いまはオミクロン株が広がっているし、東京のとき以上に慎重な対応が求められる。

ロシア人記者。
やりすぎだね。

ホテルの外に出ようとしても大きな柵があって何もできない。

動けないから健康にも悪い。

こうした特殊な環境でストレスを感じているという声もあり、やはり息抜きも必要ということなのかメディアセンター内にはお酒も販売しています。

食堂ではカクテルを作るロボットも稼働していて、非常に人気を集めています。
気になったのは先日食堂で海外のメディア関係者が10人近くで集まってマスクを外して缶ビールなどを片手に大声で盛り上がっている姿も目にしました。

2月1日もバブル内で24人の感染が発表されましたが、この先、競技が始まると記者に移動もさらに活発になります。感染状況が悪化したときに中国政府がどのように情報を発信していくのか、そのあたりも注目されます。