地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は鳥取県倉吉市からです。品質やデザインが評価され、価格が手頃なバッグを世界に発信するメーカーを取材しました。
「高コスパ」バッグ 世界に発信!
鳥取県倉吉市。江戸・明治期の風情が残る町並みです。
その倉吉の田んぼの真ん中にポツンと建物が。
バックブランド「バルコス」の本社ショールームです。
海外で高く評価されているというバッグを見せてもらいました。
バルコス デザイナ
坪内雅人さん

こちらのバッグです。
なんでも日本のある文化がモチーフになっているそうです。
バルコス デザイナ
坪内雅人さん

折り紙をモチーフにした形が変化するバッグ。
平らなものからボリュームがある形。
折り目に合わせて折り紙のように畳むことで5つの形に変化。
斬新なデザインと日本らしさが受け、27ヵ国で販売。これまで累計3万個を販売しています。
バルコスは1991年に大都市にいなくても良いものはできるという思いから倉吉で創業。
従業員は59人。
去年の売上高は46億円余り。純利益は1億8,300万円です。
レディースバッグがメインのブランドで品質・デザイン・機能に優れ、価格は1万円前後からと学生にも手が届く水準。
ニューヨークやミラノ、パリなどの展示会にも出展し、デザイン賞を3度受賞するなど世界で高い評価を得ています。
海外でも通用するバッグブランドとして成長し、2020年に東証プロマーケットに上場。
世界で売れる 価格の秘密
海外展開で最も苦労したのが価格への厳しい要求でした。
バルコス
山本敬社長

比較的海外の場合はマーケットプライスが最初に決まっていて、まずいはそこに当てはめるのが一番需要になってくる。
国際的な価格競争力を得るためにこだわるのが素材の仕入先。
バルコス
山本敬社長

できるだけ早く現地化することを真剣に考えていて、現地に行って現地の人と同じように値段、コストを下げる体質を作ってきた。
輸出用の価格ではない本当に現地の人たちが買っている価格。
また製造面での特徴は生産工場を持たない、いわゆるファブレスメーカーであること。
製品ごとに、また時期によって外部の工場に発注することでコストを抑えています。
その一方で大きく投資しているのが…
バルコス
山本敬社長

サンプル専門工場だけは。抱え抱えている。
サンプルはすごく付加価値がの高いものだと認識している。
バルコスは倉吉で新たなデザインを生み出すと、まずは中国にあるサンプル用の自社工場でサンプルをすぐに作ります。
月に500個も作るサンプルがバルコスの競争力の源です。
実物があることで生産工場との交渉がスムーズに進むといいます。
バルコス
山本敬社長

うちの場合は全て「形はこれです」「パターンはこれです」「これを渡します」「納期はいつです」「価格はこれです、できますか?できませんか?」
非常にシンプルになっていく。
このスピード感が高品質と低価格を実現するのです。
コロナ逆風化で販売改革
近年は販売園でも大きな変化が。
コロナ禍、来店客の減少により店舗での売上が大きく減りました。
そこでテレビ通販、ネット通販に一気にシフト。
これら店舗以外の売上比率は90%まで高まりました。
この取り組みが功を奏し、コロナ禍にも関わらず2021年12月期まで増収を続け、利益も黒字を確保しました。
そしてコロナで客足が遠のいた店舗では新たな試みが。
バルコス
山本敬社長

店舗のショールーム化どんどんどん進めていかなければいけない。
バーコードをスキャンすると商品の使い方が見える。
その場で注文できる。
バルコスの物流センターからダイレクトにお客様の自宅に届く。
実現すれば倉庫やレジ業務の縮小につながり、店舗スタッフはより接客に集中できるようになります。
「高コスパ」バッグ 世界に発信!
生き残りをかけ変化を続けるバルコス。
変わらないのは倉吉発へのこだわりです。
バルコス
山本敬社長

フィレンツェも非常に小さい街。
でもこんな街(フィレンツェ)にグッチの本社があるんだったら、例えば倉吉にバルコスがあっても全然成り立つんじゃないか。
ここから世界に向けて発信し続けたい。