インターネットなどのネットワークを使ってデータの保存や分析などを行うクラウドサービス。世界最大のクラウドサービスがアマゾンが提供するAWS「Amazon Web Services」ですが、グーグルやマイクロソフトなどといま熾烈な競争を繰り広げています。AWSの今後の戦略を来日したトップに聞きました。
ネコの"毛づくろい"
クラウドで精度向上
4年前に創業した都内のベンチャー企業「ラボ」。AWSのサービスで事業を大きく拡大できたといいます。
そのオフィスには猫が…
こちらの企業では猫の首に装着するデバイスと専用のアプリを開発。デバイスにはセンサーが埋め込まれていて猫の行動を検知します。
飼い主はアプリでご飯を食べる、毛づくろいをするといった行動を確認できるサービスです。
ラボ
伊豫愉芸子社長
猫という生き物は体調を崩しやすい特性がある。
動物病院に行った際にすでに症状が進んでいて早期発見につながったという声も。
重要なのが猫の行動を検知する精度です。
これまでにデバイスを装着した猫、1万7,000匹から集めた行動データは60億件以上。膨大なデータをAWSのクラウドに蓄積し、AI(人工知能)の機械学習で分析することで行動判定の精度を上げているのです。
AWSを使うことでさらにメリットが。費用はデータの容量を使う分だけ支払う従量課金制で創業時を含めコストを大幅に抑えることができたといいます。
ラボ
伊豫愉芸子社長
スタートアップを始めたときにどのくらいのデータ量になるかや、この後どのくらいの量になるのかが読みづらいところがある。
フェーズに応じたコストをかけることができる。
また自前のサーバーなどを設置する必要もありません。
ラボ
伊豫愉芸子社長
自社でサーバーを建てようとすると何万台、何十万台のパソコンをどこに置くんだというのがあるし、それを管理・運用する人員や体制をつくることは難しいと思うので。
AWSを使わないという選択肢はなかった。
アメリカ アマゾンAWSトップ直撃
日本ベンチャー支援強化へ
こうしたベンチャー企業へのサービス展開を強化しているというAWS。
来日した経営トップが単独インタビューに応じました。
アマゾン AWS
アダム・セリプスキーCEO
クラウド、そしてAWSは採用する企業と消費者の双方にとってとてもメリットがあるため急速な成長を続けている。
最も重要なことは企業に機敏性をもたらすことだ。
企業が実験し、早く失敗を経験し、その失敗を恐れなくなる。
これこそがイノベーションを生む。
今後、大企業や行政部門も含めクラウドサービスの利用はさらに広がるとみています。
アマゾン AWS
アダム・セリプスキーCEO
現在、世界経済には多くの不確実性がある。
サプライチェーンの混乱やエネルギー価格の高騰、ウクライナ情勢やインフレだ。
このような中でより多くの企業や組織がクラウドを活用したいと考えるだろう。