中国のテクノロジーの最先端をシリーズでお伝えする「中国Tech」。
EV(電気自動車)の普及が進む中国ではEVの弱点でもある充電を補うある新技術が注目を集めています。

Aulton
中国・上海でタクシードライバーとして働く肖士華さん。この道10年のベテラン。


3ヵ月前からEV(電気自動車)に乗り換えました。

ガソリン車を運転していた時は毎日のガソリン代は約200元(3,400円)。

電気自動車だと毎日60元(1,020円)しかかからない。

毎日100元(1,700円)以上のコストを削減できた。

1ヵ月の収入が日本円でおよそ5万~7万円も増えたといいます。

EVがおよそ500万台まで普及した中国ではタクシーのEV化も急速に進んでいます。

肖さん、航続可能距離が100キロを切った所である場所へ向かいます。

そこには赤い建物が。
中に車を停めるとそのまま車内で待機。

何をしていたのでしょうか…
電池交換式の車は本当に便利。

交換スピードもガソリンの給油より早い。

実はここAultonという会社が開発したEVのバッテリー交換ステーション。

車を停めると両側から出てきた黄色いアームが車体を固定。すると車体の下に特殊な装置が入り、底にくっつくと突起がある黒いものを外しました。これがバッテリーです。

右から出てきた新しいバッテリーを取り付けて交換作業は完了。
全自動でわずか20秒でした。

早さの秘密は車の底に。ボルトを一切使わず特殊な留め金を使うことで短時間での交換とおよそ1万2,000回の着脱が可能な高い耐久性を実現したといいます。


Aultonの黃春華さん。
左右の倉庫の中にはそれぞれ30個の電池がある。

交換された電池がまた交換に出るまでおよそ2時間。

通常1日600~700回の交換をしている。

倉庫では使用済みの電池を常に充電。取材したタクシーの車種の場合、1回の交換でおよそ300キロ走ることができます。

ドライバーはスマートフォンのアプリで充電済の電池がどこのステーションにどれだけあるか確認することができます。

Aultonは交換ステーションを上海や北京など23の都市で338ヵ所展開。

最大手のガソリンスタンドチェーンとも提携するなど設置場所を拡大しています。

14社の主要自動車メーカーと提携し、22車種の電池交換バージョンを開発。

自動車メーカーはAultonが定めた規格に合わせて電池や車両本体を開発する仕組み。

現在はタクシーなど業務用が中心ですがさらなる普及を見据えて一般ユーザーにも試験的に販売しています。

北京に住む程さん、Aultonの電池交換技術を採用したEVのユーザーです。
電気自動車の電池の消耗はとても激しい。

充電スタンドで急速充電すると電池の消耗が激しい。

2~3年で電池の価値が下がる。

電池が劣化しても交換することができるため車の買い替えが電池の寿命に左右されなくていいといいます。
そして、電池交換式を買った最大の理由が程さんの住む住宅団地に。
案内された先には充電スポット。

しかし、3,000世帯もの大きな団地にもかかわらず10台分しかありません。

充電スタンドは少ない。満充電になったらすぐに出さないといけない。

夜は特に多くて満車。他の場所に行って充電する車が多い。

EVの増加に住宅の充電設備の整備が追いつかず、大きな問題となっているのです。

こうした社会問題に対処すべくAultonは2025年までに交換ステーションを1万ヵ所に増やす目標を掲げるほか、海外市場への進出も検討しています。

日本の日産、ホンダ、トヨタ、三菱、われわれは彼らと接触して交流している。

日本に電池交換のモデルを導入したいメーカーもある。

中国市場での電動化で電池交換の導入を検討するメーカーもある。
