12月1日に発表された発表された11月の国内新車台数は半導体など部品不足による減産が影響して1年前に比べておよそ14%減りました。10月より落ち込み幅は小さくなりましたが5ヵ月連続で前年を割っています。

こうした中、政府が脱炭素へ向けて補正予算で打ち出したのがEV(電気自動車)の補助金です。
自動車販売で追い風となりそうですが、ある課題も見えてきました。

EV購入に最大80万円!脱炭素へ普及に課題も…
都内にあるドイツの自動車メーカー「アウディ」の販売店「Audi世田谷」。

いま人気を集めているのが…
アウディジャパンの錦織柊人さん。
新たに10月に導入した「Audi RS e-tron GT」というモデル。

全て電気で駆動する。このモデルの値段は約1,800万円~となっている。

アウディの新型EV「e-tron GT」、ボンネットを開けると中にはエンジンはなく、車体の後部には排気口もありません。


およそ1,800万円と高額ですが富裕層を中心に生産が追いつかないほど受注が伸びているといいます。
今後はさらにEVの車種を増やしていく予定です。
新たなEVモデルを導入するので補助金は大きいと考えている。

補助金の金額が上がり、お客様の興味がEVに向かうことを期待している。

今年度の補正予算案が成立した場合、国からの補助金は現在の40万円から60万円に増えます。

補正予算では最大80万円を補助する内容も盛り込まれました。

例えば車両価格がおよそ400万円の「日産 リーフ e+X」の場合は320円ほどで購入できます。

また530万円ほどトヨタ レクサスのEV「トヨタ レクサス UX 300e」も80万円が補助される見込みで450万円ほどになります。

さらに東京都では独自に45万円の補助金を設けるなど自治体のものと併用できる可能性もあります。

ただ、普及には壁も…
アウディでは一部の店舗に大容量の充電が行える急速充電器の設置を進めていますが、国内に広く設置する必要があると感じています。

充電設備はEV普及と同様に大切であると考えている。

充電設備が行動などに設置させることでEVが普及することにつながっていくる。

政府は充電設備の充実に向け、今回の補正予算でも65億円を計上しました。
一方、これに対しアメリカではインフラ法でおよそ8,500億円を計上しています。

EV普及の壁は充電設備?新型機器の実力は…
充電スタンドと並びマンションでの充電設備も課題となっています。
集合住宅では誰がどれだけ使ったか、どのように料金を徴収するのか、管理が難しく整備のハードルとなっているのです。

そこで東京ガスが始めた新サービス・
東京ガスのデジタルイノベーション戦略部、多久俊平さん。
安価で小型のコンセントを契約駐車場に設置し、この箱のような遠隔制御ユニットで充電の管理ができる。

利用者は駐車場に設置されたコンセントのQRコードを読み取り、スマートフォンで操作。
制御ユニットを通じて利用した人や充電の量を把握し、電気を送るシステムです。

月500キロメートルの走行を想定したミドルプランは月額2,200円です。東京ガスは今後、電力小売事業などとの連携も見込んでいます。

数年後をめどに1,000台規模の充電器を設置。

関東で集合住宅向けのナンバーワンの事業者になりたい。

将来的には東京ガスの電力事業と組み合わせてより魅力的にしたい。

マンションなどへの設置に向けた研究は日立製作所でも。
こちらは急速充電器の試作機。

特徴は設置に必要な場所を従来よりも4割減らせることだといいます。

日立はパワー半導体を使うことにより、場所を取る変圧器を従来のおよそ2割程度まで小さくしたのです。

日立製作所の研究開発グループ、馬淵雄一さん。
既設のビルとか都市部の商業施設とか設置スペースが限られたところでも導入していける価値を提供できる。

現時点で実用化の時期は明確ではないが、実用化を目指し研究開発に取り組みたい。

EVの普及にカギとなる充電器の設置。サービスや技術で広げる取り組みが進んでいます。