東京オリンピック・パラリンピックに向けた様々な動きを追う「ROAD TO TOKYO」です。
2020年、東京オリンピック・パラリンピック組織員会は7月19日、ボランティアなど大会スタッフ11万人以上が着るユニフォームを発表しました。
WBSでは選考委員を務めた香取慎吾さんに独占インタビューをしたほか、アシックスのユニフォーム開発の裏側に密着取材しました。
株式会社アシックス
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7月19日に発表されたオリンピック・パラリンピックのボランティアユニフォーム。
日本らしさにこだわったというデザインは伝統色「藍色」のグラデーションにオリンピックとパラリンピックのエンブレムがあしらわれています。
開発を担当したのはアシックス。
香取慎吾さんが選考委員を務めました。
このユニフォームを着て活躍するボランティアを思いつくったユニフォーム。
皆さんの活躍で東京2020大会が素晴らしい盛り上がりをみせることを期待している。
実はこのユニフォームのデザイン、当初600あったデザインの中から香取さんなど25人の選考委員の激しい議論の末に決まったものだといいます。
その選考過程について香取さんがWBSの独占インタビューに応じました。
意見がうまくまとまらず、割れたものをそこからどうもう一回形にしようかと。
すごく真剣に白熱した選考会で。
エンブレムの入れ具合もセンターを超えるのか超えないのかでも、体のスタイルの見え方も変わってくる。
見た目もファッショナブルさにもみんなで意見を言い合って。
僕も細く見えたほうがうれしいので、「その方がいいと思う」と賛同の意見を言った。
またこのユニフォーム、選考委員が特にこだわったのは暑さ対策でした。
ボランティアは最長で8時間近く外で働くこともあるからです。
すごく着心地よく涼しい。
暑さ対策はすごく議題になった。
着てみると涼しげでこだわったデザインも自分としては気に入っている。
アシックス スポーツ工学研究所
香取慎吾さんも絶賛したボランティアユニフォーム。
それが開発されたのは神戸市にあるアシックスの研究開発拠点。
WBSは開発の裏側を独占取材していました。
開発チームの中核メンバーは4人。与えられたミッションは「ボランティアを熱中症から守る」。これまでにないポロシャツの開発です。
風を当てると背中の温度が逆に上がることもある。
チームが立ち上がったのはおよそ3年前。生地の形状や素材を研究するスペシャリストたちです。まさに社運をかけた重要プロジェクト。
去年と一昨年の夏にはメンバー自ら何十種類の生地のサンプルを着用しシャツの内側の温度を計測。
実際に競技が行われる会場の周辺を歩いてデータを取るなど文字通り体を張った開発を続けてきたのです。
アシックスの落合理子さん、
限られたスケジュールとコストの中で、たくさんの人が使う商品の開発はプレッシャーがあった。
夜中に眠れず起きたり。
試行錯誤を繰り返し、開発チームはある形状の生地にたどり着きました。
アシックスの松本竜文さん、
「通気度」や「吸汗性」のバランスの面で従来の「格子状」や「点」でメッシュを開けるなど比較した結果、この「六角形」が生地として優れていた。
よく見ると六角形の縁に沿って大きめの穴が開いています。この形状ならば肌が透けず通気性は十分確保できるといいます。さらに六角形の内側で汗を吸い取る仕組みです。
生地の裏にははっ水加工を施しサラサラ感を高めました。
人の皮膚の温度を再現できるマネキンを使った通気性テストでは従来品と開発品に風をあてて服の中の温度を測ると、開発品の方が平均で1.1度低くなるとデータを得られたのです。
スポーツ選手向けの肌が透けるウェアには通気性の高いものはありますが、街で着られることを想定した肌の透けないシャツでここまで性能を高められたのは初めてだといいます。
アシックススポーツ工学研究所の松本直子さん、
「通気度」「吸汗性」「透けにくい」を備えているものは他社にはない。
7月3日、開発品の実力はどれくらいのものなのか、事前に情報を聞かされていない相内優香キャスターに体験取材をしてもらうことに。
従来品と開発品のどちらを着るのか分からないようにアイマスクをして…
まずは従来品に着替えました。
むわっとします。暑い。
トレッドミルの上を歩いてもらいます。太陽光に模したライトをつけます。
人工気象室の中は気温30度。夏に近い状態を再現し、10分間歩きます。
10分ほど歩きました。背中と脇に汗をかきましたが、あまりベタつくような感覚はなくサラッとしています。
従来品の性能にも満足した様子の相内キャスターでしたが、開発品に着替えて歩きだすと…
素材が全然違います。こちらは軽いです。涼しさでいうとこちらのほうが涼しいです。
10分経過…
「正解はどちら?」
こちらです。着心地が軽くて何かまとっている感覚がそんなにない。
正解はこちらです。
アシックスジャパンの本社。
今回開発した暑さ対策の技術を生かした次なる戦略が練られていました。
ボランティア向けのユニフォームをベースに新商品を作り、東南アジアなどで売り出したいといいます。
アシックスの松下直樹取締役、
一般的なものづくりの3倍以上の手間がかかっていることは間違いない。
こういう機会にわれわれは成長しなくてはいけませんし、成長する糧として今回の大会はわれわれにとっても非常に重要。