ナイキ
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陸上男子1万メートル決勝。
選手の足元を見るとほとんどが黄色いシューズ。
実はこれ、全てナイキのシューズです。
世界No.1のスポーツメーカーです。
ナイキはリオデジャネイロ・オリンピックに合わせて競技用のシューズの色を統一。
ひと目でナイキを分からせてPRする作戦です。
それに対しNo.2のアディダスは赤い統一カラーで対抗。
いかに自社の製品をPRするのか、ほかのメーカーもあの手、この手を考えています。
株式会社アシックス
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この戦い、日本のメーカーも負けてはいません。
8月18日、女子レスリングの試合。
食い入るように見ていた一人の男性がいました。
強いチームが着ているウェアというのは大きな意味がある。
日本最大のスポーツメーカー、株式会社アシックスの尾山基社長です。
今回、株式会社アシックスはレスリング日本代表にシューズを提供しました。
そしてウェア、胸元には大きくアシックスのマークが描かれています。
女子レスリング日本代表は伊調馨選手の4連覇を始め、4つの金メダルを獲得。
世界中に配信された写真や映像の広告効果は計り知れません。
世界最大のスポーツのベントであり、いい印象を与える1つのツールだと思う。
その株式会社アシックスがPRの舞台として狙いを定めたのは100分の1秒を競うオリンピックの花形競技でした。
石川逹也さん
兵庫県神戸市、その郊外にある株式会社アシックスのスポーツ工学研究所。
スプリントスーツはここで開発されていました。
開発責任者の次世代技術開発チームの石川逹也さん(30歳)。
服は体を生地が覆うわけだが、その生地の力をいかに速く走るために活用できるか。
スプリントスーツ
2016年2月、そのスプリントスーツの検証実験が行われようとしていました。
世界選手権にも出た元陸上選手に着てもらいます。
筋肉が体の中心に集まっている印象。
大手繊維メーカー、東レ株式会社と共同開発した生地を使用。
ゴムのように強く伸び縮みするのが特徴です。
ゴムは伸びた分だけ力を発揮する。動いた時に生地が伸びる、伸びた生地の力を注ぎの動きに生かす。無駄なくしっかりと動きをアシストする。
そのゴムのような生地は太腿や肩、そして背中や腰に使われていて、他の部分は軽くて柔らかい生地を使います。
早速、実験開始。
このスプリントスーツ、生地が縮む時に最大のポイントがあります。
まずスタートの時、背中にフィットしたゴムのような生地が伸びています。そして体を起こす時に生地が縮みスタートダッシュをアシストします。
一方、足は着地した時に生地が伸びて、上げた時に縮み太腿を楽に引きつけてくれるのです。
実験では100mで換算すると約0.1秒速くなることが分かりました。
そこで株式会社アシックスはこの服をある大物選手に託そうとしていました。
クリストフ・ルメートル選手
アルプスの麓に位置するフランスのエクスレバン。
5月、株式会社アシックスで陸上競技用のスプリントスーツを開発する石川逹也さんがやってきました。
ある選手に会いに来たのです。
その人はクリストフ・ルメートル選手。フランス代表の短距離選手です。
白人で初めて100m、9秒台を出したフランス陸上界のエースです。
石川逹也さんが取り出しのたのは
今回、これを試着してもらいます。
あのスプリントスーツ。
早速、着てもらいます。
オリンピックで結果が期待できるクリストフ・ルメートル選手に白羽の矢を立てたのです。
実際に走ってチェック。
果たして気に入ってもらえるのか?
すると
太腿のフィット感はいいけど、腹の締め付け感が良くない。
少し違和感があったようです。
リオで決勝に残り、メダルを取るため0.01秒でも速くなる製品を使いたい。
スポーツは、その一瞬によって選手の一生が変わったりするので「これ以上のものはない」と言い切ったものを渡したい。
メイド・イン・ジャパン
福井県越前市、株式会社アシックスの工場があります。
スプリントスーツはここで作られています。
特別に改造したミシンを使用。
100人いる職人の中から選抜された3人だけが縫えるのです。
やわらかい生地と硬い生地で縫うと、針の入り方が違うので難しい。
この日、作っていたのはフランス代表のものです。
石川逹也さんが様子を見に来ていました。
生地がすごく選手から好評で、肩を触って「気持ちいいね」って。
縫製者泣かせじゃないけど、作る方はすごく大変だなと思う。
クリストフ・ルメートル選手の意見も伝え、体にフィットさせていきます。
素材も縫製も全てメイド・イン・ジャパンのスプリントスーツ。
そして迎えた、株式会社アシックスの命運を掛けた舞台。ライバルはあのウサイン・ボルトです。
陸上男子200決勝
8月18日、リオデジャネイロ・オリンピック陸上男子200mの決勝。
株式会社アシックススプリントスーツを着たフランスのクリストフ・ルメートル選手。準決勝を4位で通過しました。
ライバルは隣を走る世界最速、あのウサイン・ボルトです。
その頃、日本では開発責任者の石川逹也さんが同僚とテレビで観戦です。
1位、2位は確定。
しかし3位は3人が横一線で飛び込みました。
結果を待ちます…。
フランス、ルメートル、20秒12。ルメートル銅メダル獲得、オリンピックでは初めてのメダルです。
テレビで観戦していた石川逹也さんは
震えが止まらない。
4位とは0.003秒差。わずか数センチの差の勝利でした。
100分の1秒とか、1000分の1秒だけでいいから支えたい。もしかしたらそれが、ちょっとでも効いていたのかな。この4年間、苦しみ抜いた結果として最高ですね。
オリンピックは一瞬で選手の人生を変えますが、スポーツメーカーにとっても一瞬でその名を世界に知らしめる最高の舞台なのです。
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