世界最悪のコロナ危機に見舞われているアメリカで新型コロナウイルスの死者数が40万人を超えました。バイデン氏は大統領に就任する前日の19日、犠牲者を悼む追悼式典を開きました。
アズベリ・パーク市
バイデン氏、
傷を癒やすためにも犠牲者のことは忘れてはいけない。
つらい記憶だが、それが傷の癒やし方であり、国を挙げて追憶することが大事だ。
暗闇に光をともし、全ての犠牲者を記憶にとどめよう。
かつてない危機に直面する今こそ国民が連帯することの重要性を訴えました。
このバイデン新政権の動きに合わせて全米の各地でも市民が自主的に追悼行事を実施しました。
ニューヨーク中心部から車で1時間半ほどのアズベリ・パーク市。この街もコロナの悲劇に襲われました。
日が落ちた後の中心部をパトカーや消防車がパレード。新型コロナ犠牲者の追悼です。
住宅地にも追悼の明かりが…
ここに住む元教師のジーニー・トファーさん。特別な思いで参加していました。
この家の前に立てられたロウソクには人の名前が…
コロナで亡くなった人たちですか?
2人のめいといとこだ。
お気の毒に。
私も2週間前に叔母を亡くしたの。
めいは今月1日に亡くなった。
多くの隣人が新型コロナで家族を失っていたのです。
コロナで誰かを亡くしましたか?
はい。
私もよ。
お気の毒に。
同じ気持ちよ。
新型コロナで40万人以上が亡くなった。国民が困難に直面しているのに国はこれまでこの大惨事と恐ろしいほどの死者数を直視しなかった。
ジーニーさんは親しかった叔母を新年を迎える直前に亡くしました。
これが叔母のケイです。
最後にあった時の写真です。
叔母は家族といることが大好きでいつも笑っていたわ。
元気?
新型コロナで亡くなったため参列者は限られ、ジーニーさんは経由で見守るしかなかったのです。葬儀の様子は叔母の孫が撮影。悲しい気持ちを人と分かち合うことの大切さを改めて知ったとジーニーさんはいいます。
私たちはトランプ政権の下でさらに分断してしまった。
皆が同じように悲しんだり、愛したり、家族がいることを忘れてしまったかのよう。
追悼行事は政治的な信条を超えて国民が再び連携するための一歩。
そして犠牲者を追悼する車列が向かったのは街の診療所でした。
地域の新型コロナ対応を担ってきた2人の医師。
エリック医師、
多くの死を見てきた。最悪な日は15人ほどの患者が亡くなった。
多くの患者を失った日、研修医と一緒に芝生に座り、黙って空を見上げた。
生きている限り闘い続けて新たな患者を救うと誓ったんだ。
鍋や食器を叩いて追悼行事に参加したレストラン。
この店を経営するクリス・ビオラさん。今も新型コロナで大きな打撃を受けています。
今は新型コロナの影響で店内飲食の営業を中止している。
280席もある広いレストラン。
しかし今は駐車場に設置したテントの中だけで営業しています。
11月に従業員がコロナに感染した。従業員にとって屋外の方が安全なんだ。
売り上げは1年前の3割ほどまでに落ち込み赤字が続いています。
60人いるスタッフの多くは一時休んでもらい今は18人だけが働いています。
前例もなく、助けもない中で正しい決断をすることに必死だった。
コロナという未曾有の危機の最中に大統領選が行われたことで国の分断は更に深まったと今、街の人達は振り返ります。
この9ヵ月は必要なリーダーシップに欠け、進むべき方向が示されなかった。
マスクの着用など周囲の人への配慮が政治的な立場の表明になってしまった。
信じがたいことで残念だ。
アメリカ社会に深い傷を残した新型コロナ。バイデン新政権の下で克服し、連帯を取り戻すことはできるのでしょうか。