こちらの映像は四国を走っているバスですが普通のバスではありません。
実は世界初を掲げて経済効果は2億円を見込む、ある取り組みの切り札です。
どんあ秘密があるのか取材しました。
線路も道路も走る乗り物!?経済効果2億円 DMVとは
海沿いを走る青色のバス。普通のマイクロバスのようですが…
向かった先にあったのは鉄道の線路です。線路のレールの上のバスがそのまま入っていきます。一体これは…
よく見るとタイヤの前に別の車輪が出てきました。なんとバスから鉄道に早変わり。その間わずか15秒。
実はこの車両、道路と線路の両方を走れるデュアル・モード・ビークル。略してDMVと呼ばれる乗り物なんです。
去年12月、徳島・高知の第3セクターが運営する阿佐海岸鉄道がDMVを導入。本格的な営業運行は世界初だといいます。
徳島と高知をまたいで走る阿佐海岸鉄道は30年前に開業。わずか3駅、全長8.5キロの小さな路線でした。
最盛期には年間17万人いた乗客は人口減少などで4万人に減り、赤字が続いていました。
そこで乗客を増やすため目をつけたのが道路と線路を走る二刀流のDMV。
今までの鉄道路線に加え、バスで走る新たなルートを開設。
さらに土日祝日は徳島と高知の室戸半島を往復します。
DMVはトヨタ製のマイクロバスを改造。
鉄道用の重い車輪を装備するためボンネットの骨組みは手作りです。
阿佐海岸鉄道はディーゼル車両を引退させ、DMVを3台導入しました。
総額16億円のプロジェクトです。
巨額な投資に見合うリターンが期待できると事業責任者の井原豊喜さんは話します。
この地域を変えるチャンス。
世界初の乗り物がこの田舎で発進する。
話題性で集客効果を狙える。
阿佐海岸鉄道が走るエリアは山あり海ありの自然の宝庫。しかし、交通アクセスが悪く、その魅力は知られていませんでした。
DMVを目的に観光客が来れば地域の魅力も知ってもらえると認知度アップを狙います。
地元も期待を寄せています。老舗の菓子店「山田宝来堂」では新商品を開発していました。
箱の中に入っていたのはDMVの車体を模した最中の皮とつぶあん。
これを自分で組み立てて食べるというユニークな商品です。
タイヤに乗せれば…
バスモードの完成。
さらに…
モードチェンジ!
バスから鉄道モードに早変わり。
山田宝来堂の山田直人社長。
世界初の画期的なものが来る。それに乗っかり地域が潤えばいい。
今月、徳島にある停留所「阿波海南文化村」を訪れると次々バスに乗り込んでいきます。
東京から来た。
千葉から来た。
DMVを体験しようと全国からお客様が訪れていました。
さあ、いよいよバスから鉄道に切り替わります。
その間、社内には阿波おどりのお囃子が…
あっという間にモードチェンジが完了。鉄道として走行します。
乗客たちは線路の旅を楽しみながら高知へ。
再びバスに切り替わり地元の名産品が揃う海の駅「海の駅 東洋町」に到着。
こちらの自慢は水揚げされたばかりの新鮮な地魚です。高知特産のかつおもずらり。
こちらの観光客が手に取っていたのは…
お買い上げ。
あのDMVの最中です。
面白いなと思った。
阿佐海岸鉄道はDMVによる地元への経済効果は年間2億円以上あると試算しています。
海の駅を出て再び徳島へ。海沿いにある道の駅 宍喰温泉に向かいます。
ここでの目立は道の駅の隣に建つこちらのホテル「ホテル リビエラししくい」。
客室から太平洋を一望することができます。今後は自慢のオーシャンビューと天然温泉、そしてDMVを堪能できる宿泊プランも検討しているといいます。
ホテル リビエラししくいの濱田紀州臣総支配人。
DMVの認知がまず最初。
「今度は魚釣りをやりたい」「キャンプをやりたい」など、そこへ行ってプラス何かがあればお客様はリピーターになると思う。
足元の乗車率はおよそ5割、コロナの感染拡大の中でのスタートとなりましたが二刀流DMVは地元の期待を乗せて走ります。