今年のマーケットは米中貿易摩擦に揺さぶれ続けました。
そうした中でも株価が大きく上昇した企業をランキングで取り上げます。
今年も残すところ3週間を切りました。
今年は戌年でしたが、株式市場では相場の格言で「戌笑う」といわれ、縁起の良い年とされてきました。
実際に過去3回の戌年を見てみると日経平均株価の年間の上昇率はいずれも上昇していました。
ただ今年はどうだったかというと米中貿易戦争などで株価が下落して12月12日時点では5%減となっています。
こうした相場の中でも株価が上昇したのはどんな銘柄なんでしょう。
株価上昇率ランキングで上位に入った企業を見ていくと意外な共通点が見えてきました。
朝日インテック株式会社
[blogcard url="http://www.asahi-intecc.co.jp/"]
愛知県瀬戸市にある医療機器メーカー、朝日インテック。
一体、何を作っているのでしょうか?
朝日インテックの新規事業開発グループの下神学グループマネージャー、
心臓の血管の治療に使う「ガイドワイヤー」。
この細い針金、朝日インテックの主力商品、ガイドワイヤーです。
しなやかな形状で細さはおよそ0.3ミリメートルです。
心筋梗塞など血管が狭くなって起こる病気では太ももなどからカテーテルと呼ばれる管を体内に入れ、その中にこのガイドワイヤーを通し、血管を広げる処置を行います。
一般的なガイドワイヤーは動かくとねじれてしまうため、医師の手元の捜査とワイヤーの動きにズレが生じます。
朝日インテックはガイドワイヤーの成形や加工で高い技術を持ち、そのズレが少ないのです。
作り方は分かっていても他社はできないと思う。
ノウハウの部分がかなり強い。
朝日インテックは国内でガイドワイヤー市場の75%を独占。世界でも108ヵ国で平均40%ほどのシェアを持ちます。
先週出来たばかりの研究開発センターには手術室も設置。
そこにはなんと透明の人体模型。
中には血管も…
ここに医師を招いて新製品を使ってもらい開発のスピードを上げる計画です。
朝日インテックは2018年7-9月期に過去最高益を更新、9月には東証2部から1部に昇格しました。
株価も今年1年で5割近く上がり上場来高値を更新。
今年の株価上昇率ランキングでは8位に入りました。
専門家は…・
UBS証券の小池幸弘アナリストは、
売上高の10%を研究開発費にあてており、他メーカーの平均8%より高い。
研究開発に積極的だ。
「株価上昇率ランキングで8位。」
朝日インテックの宮田昌彦社長は、
あまり意識してこなかったが結果8位はうれしい。
国内は少し厳しい環境下だが海外展開が好調に推移しているので、そういったところを加味するとある程度は堅調に推移していける。
今年、株価が上昇した企業はどんな銘柄なのか?
コモンズ投信株式会社
[blogcard url="https://www.commons30.jp/"]
コモンズ投信の井伊哲朗社長に話を聞きました。
世界景気の影響を受けにくい国内を中心とした「ディフェンシブ銘柄」。
具体的には医薬品・小売りなどの内需企業で業績が良かったところが大きく上昇している。
2018年株価上昇率ランキング(6位~10位)
JPX400を基にした今年の株価上昇率ランキングを見ても生活に欠かせない衣食住に関する商品やサービスを提供するディフェンシブ銘柄が目立ちます。
6位 | 神戸物産 | 52%高 | 卸売業 |
7位 | ゼンショーHD | 50%高 | 小売業 |
8位 | 朝日インテック | 46%高 | 精密機器 |
9位 | 京阪HD | 45%高 | 陸運業 |
10位 | キッコーマン | 41%高 | 食料品 |
WBSが注目したのは6位の神戸物産。
株式会社神戸物産
[blogcard url="https://www.kobebussan.co.jp/"]
低価格を売りにした業務スーパーを全国におよそ800店展開しています。
名前は業務スーパーでも来店するのはほとんど一般客。
この辺やったら、ここが安い。
牛乳・卵はずっと同じような値段で安い。牛乳はいつも157円くらい。
安さの秘密は店の運営方法にあるというので沼田博和社長に案内してもらうと、入ってすぐに目につくのが積み上がった段ボール。
「段ボール陳列」で商品を並べる手間を削減し、少しでも安く提供できるようにしている。
商品を陳列する手間を省く事で人件費を抑えているのです。
さらに効率化は品揃えにも。
商品の数自体がかなり少ない。これはマヨネーズだがよく見るマヨネーズがない。
取扱商品を一般的なスーパーの10分の1にしぼる代わりに同じものを大量に仕入れているのです。
日持ちする冷凍食品の割合が多いのも特徴です。
さらに、
この商品はグループ工場の商品。
店内で目立つのが「国内グループ工場」の文字。
神戸物産は採算の悪い食品工場を割安な価格で買収。その工場で自社製品を大量生産することで生産効率を上げてきました。
こうした効率的なM&Aも市場で評価され上場来高値を更新。
2018年10月期は最高益を更新する見通しです。
今後は一層の効率化を進め、さらなる低価格を追求するといいます。
一番進めたいのはグループ工場の生産効率化。
ロボット導入などでいかに人に頼らずモノづくりができるか考えている。
株式会社MonotaRO
[blogcard url="https://www.monotaro.com/"]
3位に入ったのが工具のネット販売を手掛けるモノタロウ。
およそ1,700万点という豊富な品ぞろえから「町工場のアマゾン」とも呼ばれています。
地方の中小企業に至るまで多くの企業が簡単に使える。
非常に裾野が広がっていて業績にも反映されている。
売れ筋の商品は「ブレーキ&パーツクリーナー 魂」。自動車整備などで大量に使うといいます。
こちらの軍手も売れています。商品名は「綿特日本一軍手600g(キナリ10ゲージ)」。
有名メーカーの商品からプライベート・ブランドの商品まで品ぞろえを重視しています。
2018年株価上昇率ランキング(1位~5位)
1位 | 大日本住友製薬 | 2.2倍 | 医薬品 |
2位 | ユニー・ファミリーマートHD | 2.1倍 | 小売業 |
3位 | MonotaRO | 79%高 | 小売業 |
4位 | 東邦ガス | 55%高 | 電気・ガス業 |
5位 | エーザイ | 53%高 | 医薬品 |
その他に大日本住友製薬など医薬品メーカーやユニー・ファミリーマートHDといった小売業など景気に左右されにく銘柄が上昇した2018年。
来年の注目テーマについて井伊社長は、
5Gに関連するような銘柄。来年のひとつのテーマ、それからインバウンド。
さらに、
ことし半導体関連銘柄が大きく売り込まれた。5Gを含めて需要がもう一度戻る局面に注目。