ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS]電気・水を完全に自給自足!世界初!?究極のエコホテル[株式会社ARTH]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

電気料金のさらなる値上げは避けられなさそうですが、そうした中、電気と水を完全に自給自足することで電気代も水道代も無料、CO2の排出量もゼロという究極のエコシステムを活用した世界初のホテルが12月10日にオープンします。一体どのような仕組みなのでしょうか。

世界初!?究極のエコホテル
電気・水を完全に自給自足

駿河湾を望む伊豆半島の西側。

阿部謙一郎記者

こちらが今月10日にオープンする、世界初の究極のエコホテルだといいます。
一体どのようなホテルなのでしょうか。

出迎えてくれたのはこのホテルを経営するベンチャー企業「ARTH」の社長、高野由之さん(38歳)。

建物は駿河湾を見下ろす傾斜地にあり、広さはおよそ70平米メートルの一棟貸しホテル。12月10日にオープン予定です。

一見普通の建物に見えますが…

ARTH
高野由之社長

照明や空調、キッチンやトイレなどの水回りを雨水や太陽エネルギーで賄っている。

ほかにもIH調理器具や冷蔵庫などを完備。蛇口からは普通に水が出てきます。

これら全てが完全に自給自足できているというのです。

一体どんな仕組みになっているのでしょうか?

まず見せてくれたのがアメリカ・テスラ製の蓄電池3台です。

ARTH
高野由之社長

これ1個でこの施設を通常過ごす約1日分のエネルギーをため込める。

太陽光パネルと蓄電池を組み合わせるだけでなく、高性能な蓄電池とパナソニックの協力を得て開発した独自の電力最適化システムによって電気を十分賄えるようになったといいます。

さらに飲める水を作っているのが浄水システム。

ARTH
高野由之社長

雨水をきれいにして、シャワーや洗面、キッチンで使う浄水を作る。
この特殊なタンクで水をろ過し続ける。

トイレから流れる下水は別のシステムで浄化し、トイレを流す水として再利用しています。

ARTH
高野由之社長

朝に風呂に入ると夜に風呂に入る人でお湯を作るタイミングを最適にマネジメントする。
通常家庭で使うより、エネルギーや水の消費量を抑えながらマネジメントできる。

高野社長が2015年に立ち上げたベンチャー企業のARTH。もともとは古民家を改装し、ホテルやレストランとして再生させる事業を展開してきました。

ただ、地域の再生を手掛ける中で水道・ガスなどの基本インフラの問題に直面したといいます。

ARTH
高野由之社長

この集落、昔はたくさんの家や別荘があって、いろいろな人が住んでいたが、どんどん今、限界集落化していて、片手で数えるぐらいの人しか住んでいない。
住む人が減っていくところは全ての社会インフラを維持するのではなく、セフルスタンディング(自給自足)な形で水や電気を自給できる形に置き換えることで小規模でも社会的な負担なく、その人たちが住むことができる。

今回、ホテルとしてオープンする建物。実は工場で生産したブロックを組み合わせるモジュール方式で、無人島や砂漠といった基本インフラがない土地でも最短2日で組み立てられる特徴も備えていました。

ARTH
高野由之社長

今、行政から「避難所として使いたい」とか「難民キャンプに衛生的な環境を整えたい」、そういうニーズがあるので、公的な目的としても十分可能性がある。

今週、高野社長が向かったのがアフリカのウガンダです。

町では配管から出る水をタンクに貯める住民の姿が。

ホテルでも蛇口から茶色かかった水が出てきます。

実は高野さんの企業が開発した水とエネルギーを完全自給自足するシステム「WEAZER(ウェザー)」が経済産業省の補助事業に選ばれたのです。

ARTH
高野由之社長

4日からウガンダに来ていて、ウェザーを使った途上国の開発支援プログラムを経済産業省と一緒に進めていて、事業の可能性を調査するため、ここまで来た。

大学の先輩が経営する和食レストランなどと協力し、まずは自給型の宿泊施設を建設する計画です。

ARTH
高野由之社長

ウェザーはある程度、製品化されている。
土地とか事業の全体像が固まれば、設置して開業までの時間はそう長くない。1年ぐらいでできればいいかなと思う。

電気や水道のインフラがない場所にも建設が可能で、CO2の排出もゼロだというこのシステム、今後、国内外で普及が進むかもしれません。

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-,