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[モーニングサテライト]「中国焦点」ANTA その実力は[安踏体育用品有限公司]

2021年11月25日

モーニングサテライト

新コーナー「中国焦点(チャイナフォーカス)」です。

このコーナーでは中国について気になること、またよく分からないことについて焦点を当てて現地の取材や専門家へのインタビューで解き明かしていくコーナーです。

1回目の今回、焦点を当てるのは「ANTA(アンタ)」です。これは中国企業の名前ですが、これは中国のスポーツアパレル企業です。

時価総額でいうとナイキ、アディダスに次いで世界第3位の規模感になります。存在感を高めています。

ところが絶好調見えるANTAですがいま曲がり角に来ているろいう見方もあります。一体どういうことか取材しました。

中国流消費 成長は続くか

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11月の北京市内。

市の北部にあるANTAの直営店を訪ねました。

北京支局の佐藤真人記者。

こちらは中国最大のスポーツ用品メーカー「ANTA」の店に来ています。北京オリンピックに着るユニフォームを手掛けていて店の前に陳列しています。

「スポーツを愛し、中国にはANTAがある」と誇らしげに掲げられています。

ANTAは北京冬季オリンピックのオフィシャルスポンサーとして中国の国旗をデザインに取り入れたジャージなどを多く取り扱っています。店頭ではオリンピックのロゴとともに選手が着用するモデルの商品など全面に押し出します。

ランニングシューズは中心価格帯がおよそ1万700円ほど。

オリンピックのロゴの付いたジャンバーはおよそ5万4,000円ほどで展開しています。

早速、記者も試着してみました。

暖かくて軽いです。動きやすい。

子ども用の服を買いに来た女性。

スポーツ用品はアンタの商品を買います。価格もほどほどですから。

中国企業の商品を支持しています。ナイキやアディダスは買いません。

よくのこの店に来ます。アンタの商品は以前の方がよかったと思います。

ANTAの中国市場での戦略は欧米メーカーとは戦わず購入層のすみ分けを図るというものです。

中間層をターゲット層と位置づけ価格は3~4割ほど安い、品質についてもほぼほぼの評価を得ています。

ANTAの運営会社である安踏体育用品は1991年に福建省で創業、2007年には香港証券取引所に上場しました。

安踏体育用品の株価です。2019年以降に大きく上昇、今年6月には200香港ドルに迫りました。店舗数は1万2,000店を超えています。

ANTAの足元の成長を読み解くキーワードが国潮消費です。

国潮消費とは自国の伝統文化や老舗ブランド、それに企業を再評価する動きです。

中国では今「中華民族の偉大なる復興」を掛け声に母国の文化や伝統への強い誇りが目立っています。

私たちはANTAの店舗の前である男性と出会いました。アディダスの洒落たジャンバーを来ています。

「中国企業とナイキなど欧米企業、どちらが好きですか?」

買い物に来た高校の体育教師。

どちらを好むというよりはフィット感やデザインで決めている。

しかし、男性と話を進めているとANTAの真っ赤なトレーナーを着ています。

この服は赤色で「中国」という文字も入っているので着ている。

外には外国ブランド、しかし中には中国ブランドをしっかりと身にまとっています。

中国の政治経済が専門の東京財団の主席研究員、柯隆さんです。これまでのANTAの事業戦略を評価しつつも、ANTAは立体画像分析によるシューズ製造など技術レベルでまだ欧米に追いついていないと見ています。

そして今後の成長のキーワードをこう見ています。

実力をふまえた事業展開を

富裕層が外国ブランドを買うが、中間所得層以下は欲しいけど手が出ない。

国産ブランドのアンタにいく。

消費者の数を見ると中間所得層以下の方が圧倒的に多い。

リーズナブルなシューズを作って大量に売るのが当面の国際戦略。

人口の多いインド・東南アジア・中東・アフリカ・南米などをおさえて。

しばらくの間は薄利多売でいくしかない。

習近平路線 民間企業はどうなる

しかし、柯隆さんは中国の民営企業の先行きは不透明だと強調します。

習近平氏が中国を毛沢東時代へと戻そうとしているのではないかと見ているのです。

中国共産党の重要会議「6中全会」の決定事項は柯隆さんの懸念をさらに強めました。

すべてが中国共産党のものに、中国のあらゆる資産は中国共産党に帰すると謳っているようだと…

習近平国家主席が国内の演説で繰り返すのは「国有企業 より大きく より強くする」。

「民営企業 より大きく より強く」一度も言ったことがない。

国有企業を強くすると言った以上は国有銀行は国有企業により多くの資金を供給する。

国有企業が上場しやすい環境をつくる。民営企業は置いていかれる。

アンタやアリババなど巨大化した民営企業の今後の可能性として国有企業が民営企業を買収する。

国進民退、国有企業を発展させて民営企業を導く。

民営企業が国有化される可能性が十分にある。

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