1月13日に去年1年間に倒産した企業数が発表されました。6,030件です。
これは1964年以来、57年ぶりの低水準です。
コロナ禍でなぜ倒産が少ないかというと背景にはゼロゼロ融資という実質無利子・無担保で融資が受けられる政府の支援策がありました。
しかし今後、融資を受けている企業は優遇期間が終わり、本格的な返済が始まるため厳しい状況に陥りそうです。
"ゼロゼロ融資"を受け…旅館女将の苦悩続く
東京・台東区にある行燈旅館。
女将の石井敏子さんが取り出したのは宿泊の予約台帳です。
こんなのない。全然入っていない。
今月の予約はほとんど入っていません。閑散期とはいえ1月に予約が少ないのはこれで2年連続、今後の予約も期待できないといいます。
ここがシングルの部屋。畳に布団。
行燈旅館のお客様の大部分が外国人です。オリンピックを見据えて2020年2月にリニューアルしました。しかし、直後に新型コロナの感染拡大を受けて日本政府が水際対策を強化。その結果、訪日する外国人観光客がほぼゼロといった状況が今も続いています。
こうした新型コロナで売上が減少した企業に対する支援策として政府は2020年3月から金融機関を通じてゼロゼロ融資といわれる特別貸付を始めました。
資金繰りに苦しむ企業は無担保で、さらに条件によっては無利子で融資を受けることができます。
行燈旅館も2020年4月に日本政策金融公庫から900万円ほどを借り入れました。ただ無利子の優遇策は3年、その期限とともに返済時期が迫っています。
3年の返済猶予がついているので来年の1月から返済が開始される。
「返済のめどは?」
めどは全然立っていない。
外国人が入国できないというのがうちにとっては致命傷なので。
倒産減少 コロナ禍でなぜ?今年は「息切れ」が増える?
コロナで苦しむ企業が増える中、1月13日に意外なデータが発表されました。去年の倒産件数は前の年に比べ2割以上減少。1964年に次ぐ、57年ぶりの低水準となりました。
その理由は…
東京商工リサーチの松永伸也さん。
政府による資金繰り支援策が絶大な効果を発揮したと言える。
国の施策により倒産が抑えこまれている。
もともと経営難の企業もゼロゼロ融資を利用し、倒産を免れてきたのです。
しかし、今年はその反動から倒産件数が増えると予想します。
6~7割は今年、返済期を迎えると言われている。
資金が枯渇し、息切れ的な倒産が増える可能性はある。
苦境を迎えた旅館女将!"コロナ後"に抱く希望
苦しい経営が続く行燈旅館。しかし、活路を見出そうと去年から朝だけでなく昼と夜にも食事の提供を始めました。日々の収入確保だけでなく、外国人観光客が戻ってきた時に家庭料理を味わってもらうためです。
女将さんがあるものを見せてくれました。
今年の年賀状みたいなものでアメリカから2通もらった。
毎年来てくれるお客様。
コロナが落ち着けば、ぜひ日本に行きたいという外国人客からの便りが女将の心の支えになっています。
普通はつぶれる。
おかげでなんとかやっているが普通の状態だととっくに諦めている。
インバウンドが戻るという希望があるから少しでもそれを頼りにしている。