洋服や食品などをインターネットで買うというのは当たり前になっています。
しかし、こちらは桁が違います。

兵庫県にある有名パンケーキ店、譲渡希望価格が1,000万円。
他にも埼玉県にあるイタリアンレストランは250万円、大阪の介護事業会社は800万円と、企業までインターネットで買えるようになってきています。
ここ半年でインターネットでM&Aを扱う会社も増えていて、その専門の会社まで登場しています。
アンドビズ株式会社
[blogcard url="https://andbiz.biz/"]
中小企業のM&Aを仲介する日本M&Aセンターが4月10日、オンラインのサービス会社「アンドビズ」を設立しました。
そのサービスとは小規模企業に特化したオンラインM&A。
インターネットのサイト上で売り手と買い手をマッチングさせようというものです。
例えば新潟県にある割烹料理店、譲渡希望価格は750万円。ただ紹介するだけではなく契約書の書き方まで備わっています。
日本M&Aセンターで4年間、実証実験を行い新会社の設立に至りました。
その背景には後継者不足で廃業に追い込まれる企業が激増していることがありました。
アンドビズの大山敬義社長は、
新しい事業を開いてみよう、イノベーションを起こそうという若い人は多い。例えば後継ぎのいない会社が127万あったとして、彼らに用意されているM&Aの在庫は127万ある。位置から始めなくても独立から開業することができる。
AMD株式会社
[blogcard url="https://amd.tokyo/"]
4年間の実証実験の中でM&Aに成功した会社があります。
金沢市にある広告デザイン会社のAMD。
社内に入ると社員は皆、若い人ばかり。
彼らが買い取ったのが漬物会社。譲渡希望価格500万年未満で売りに出されていました。
年間の売上は約1,000万円の会社です。
その漬物会社が作っていたのは石川県名産の「こんかこんか」。

サバをぬか漬けにしたこんか漬けという伝統の保存食です。
AMDの千布真也社長は、
もともと売れていた商品。一番はこの事業が継続できるようになるか。
広告業が頭打ちになる中、地域と結びつく新事業を立ち上げたかったという千布社長。
そこで目をつけたのが伝統的な漬物「こんか漬け」でした。
ものをつくる会社と組むことはこれからの流れになっていく。日本の大事な技術を残す座組みを作っていける。
千布社長に漬物店を任された社員を訪ねました。
地下に降りていくと、パソコンのある所にビニールシートを敷いた…なんだかアンバランスな部屋。

AMDの撮影スタジオとして使っていた場所を漬物の作業場にしていました。
責任者はグラフィックデザイナーだった中神遼さん。
3月27日に漬けたばかり。
漬物はまったくの初体験だったといいます。
その中神さんに教えるのは譲渡した漬物会社にいた斉藤園さんです。
この状態でどのくらい持つ?
商品化して半年。
中神さんはまず商品作りから教わり、その味を継承していくためにも味を舌に覚え込ませています。
おいしい、甘みがあって。
約9年間、母親と二人三脚で漬物店を切り盛りしていた斎藤さん、なぜ手放さなくてはならなかったのでしょうか?
母が体調を崩して、一人でどうやって続けていこうか会計事務所に相談した。
後継者がおらず、伝統の味をなんとか残したいと思った斎藤さん、オンラインM&Aに登録すると3社から申し込みがありました。
そして一番熱意があったAMDと契約したのです。
若い力で残してもらえるのがすごくうれしい。
商品が完成するのは半年後、中神さんは仕入から作り方まで把握していくことで今後の事業戦略を立てていきます。
やりがいは感じる。継承していくために金沢市民、石川県民に土着させたい。
一見、便利にも思えるオンラインM&Aですが、有利な点ばかりでもありません。
新会社アンドビズの宮原弘樹さん、富山市にある会計事務所から相談を持ちかけられていました。
木林会計事務所の岩瀬世二税理士、
売り手の社長がなかなか本音を言わない。今のオンラインサイトを使っていいのか悩む。
実はここ半年でオンラインM&Aを扱う会社が増えています。
税理士の岩瀬さんは色々なサイトを使っていますが、あるサイトを使ったところ問題が浮上していました。
売る案件の情報だから社長は一切誰にも相談できない。会計事務所にも相談しない。
社長が本当に売りたいのか、本気度が分からないといいます。
またオンライン特有の匿名でやり取りをしてくる場合はさらに困るといいます。
目に見えない関係なのでいいことばかり言ってくる。押さえなければいけない論点を質問してもグレーな回答。
そういったトラブルに対してアンドビズは、
多くのサイトが売り主が売りたいと行った時、自分で考えて買い手側とやりとりをする。全部、自分で考えるという仕組みしかない。われわれはアドバイザーがいるので相談できるネットワークがある。
アンドビズは全国の75の金融機関と732の会計事務所と連携し成約に至るまでの仲介役をつけるなどの作業を行います。
アンドビスの大山社長は、
目指しているのは相手を見つけるサービスだけでなく、きちんと最後まで成約すること。現在500~600の案件を持っているが、これを10倍の規模にしていきたい。