新型コロナの影響で苦しい状況が続いているのが航空会社です。
先週決算を発表したアメリカの航空大手3社の赤字額は合計で4,000億円を超えました。

そして4月30日、ANAホールディングスも今年3月までの決算を発表し、4,000億円を超える過去最高の赤字になったと明らかにしました。
しかし、そこから一転この4月からの1年間では35億円の黒字になるとの見通しを発表しました。
感染の終息が見通せない中での黒字の予想、その強気の裏側を取材しました。

全日本空輸株式会社
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4月29日の朝、多くのお客様で賑わいを見せたゴールデンウィーク初日の羽田空港。

緊急事態宣言下の出発ラッシュ、ANAの久沢弘太郎さんは特別な思いで見つめていました。

お客様が増えてくるのは本当にうれしいことだが、お客様が今の時期増えてくるからこそ衛生面の対策を怠らずやっていきたい。

去年のこの時期、羽田で見られたかつてない光景。機体で埋め尽くされた滑走路、動いている機体はほとんど見られませんでした。

航空需要は激減、欠航の文字で埋め尽くされていた案内表示。

しかし今年、状況は大きく改善。予約数は1日あたり平均5.9万人と去年のこの時期と比べておよそ9倍に。感染拡大前と比べると依然として4割程度にとどまるものの、少しずつ回復の兆しが見られています。

しかし、依然として業績は厳しい状況です。
ANAホールディングスの片野坂真哉社長、
最悪の状況を乗り切ったとは思っていない。

まだコロナのトンネルは抜けていない。

感染拡大の影響を受け、今年3月までの1年間の決算で4,046億円の最終赤字になったと発表。

リーマン・ショック後の赤字を大幅に上回り過去最大の赤字となりました。
ただ今年4月からの1年間では35億円の黒字に転換する見通しです。

その根拠について、
国内のワクチン接種が進むことにより遅くとも年内には主要各国における出入国規制の緩和が始まると見ている。

国内線は第2四半期(7~9月)から需要が回復していくと想定。

今年度末には概ねコロナ前の水準に戻るとした片野坂社長。

しかし、足元では感染者数の拡大もあり依然として不透明な状況は変わりません。

去年10月、ANAは経営危機を乗り切るため大型機を含む28機の早期退役を決断。機体の売却を進めてきました。

黒字化を達成するため現場では退役する機体をユニークな形で収益につなげようとしています。

全日空商事の小林あいさん、
今回販売するのがこの操縦桿。

「この操縦感を売るのか?」
はい、以前より航空ファンから人気のある航空部品なので選定した。

なんと実際のコクピットで使われていて操縦桿を販売。
機長席のものは80万円、副操縦席のものは75万円で販売します。


さらに、
こちらスラストレバー、エンジンの推力を調整するレバー。

「いくらで売る?」
こちらが1台120万円とかなり高額だが4台用意した。

ほかにもコクピットの天井部分のパネルは1つ22万円。

飲み物などを配るときに押しているカートも11万5,000円で販売。

これらの販売だけでも合計で2,500万円程度の売り上げが期待できるといいます。

すでにANAでは去年12月から機内食を販売。これまでに49万食を販売し、3億5,000万円以上の売り上げが出ています。

コロナ前のANAの航空事業の売り上げは1兆7,000億円。これに対し非航空事業はわずかに2,000億円です。これを2024年度までに4,000億円まで拡大しようとしています。

そこでANAはマイルを金融商品などさまざまな用途に使用できるANAスーパーアプリの提供を来年度に開始予定。

現在、主に航空券の購入時などに利用されているマイルをアプリを通じて日用品や保険商品など日常の様々な用途に利用出来るようにします。

パンデミックの再来に耐えるためにも航空一本足打法でなく、非航空事業は少し本腰を入れてやろうと。

損はしない、利益を出していく。
