日本政府は2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする方針で、クリーンエネルギー関連への投資を成長戦略に掲げ、190兆円の経済効果を見込んでいます。
今回、日本での事業拡大を狙う外資系企業が初めてテレビ東京の取材に応じました。
Amp
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福島市の中心部から車で25分。
山肌に現れたのは巨大な太陽光発電所。広さは東京ドーム4個分で6,000世帯へ電力を供給しています。
そこに現れたのは…
美しいね!
マーティン・シュタインさん、カナダの再エネ発電会社「Amp(アンプ)」の日本事業の責任者です。
アンプは2009年に創業。アメリカをはじめ世界8カ国で事業を展開しています。
アンプが日本に参入したのは5年前。
国から認可を受けた他の業者の用地を買収し、現在国内4カ所でメガソーラーを運営しています。
アンプの背後にいるのが27兆円の資金を運用する世界最大級の投資ファンド「カーライル・グループ」。
今年1月、アンプはカーライルからおよそ400億円の出資を受け、日本での事業拡大を狙っています。
日本は巨大な電力市場だからわれわれはここに来た。
FIT制度の後押しもあって、日本に巨額の投資ができた。
2011年3月、福島第一原子力発電所の事故後、再生エネルギー普及の起爆剤として導入されたのが固定価格買取制度(FIT)です。
FITとは再生可能エネルギーを国が決めた固定価格で電力会社が一定期間買い取り続ける制度。実は買取に掛かる費用は再エネ賦課金という形で電力を使用する家庭や企業が負担しています。一般的な家庭で月に平均900円弱です。
都内で暮らす菅原順子さん。
家族3人、オール電化で掛かる電気は月1万4,000円ほど。
そのうち賦課金はというと…
2,348円が賦課金。
よく知らない間に上がっていた。
実はこの賦課金、再エネの発電量が増えるにしたがって価格が上昇。現在は当初の14倍、1kWh当たり2.98円となっています。
専門家によると賦課金はこの先、まだまだ上がっていくといいます。
電力中央研究所の上席研究員、朝野賢司さん、
2030年度に買い取り総額は5.1兆円になる。
買い取り総額が上がると賦課金も自動的に上がっていく。
経産省が2015年に出したエネルギーの需給の見通しによると2030年度、再エネの買い取り総額は4兆円に抑えるとしていました。
しかし、電力中央研究所の試算では1兆円以上も増えるというのです。
買い取り総額を抑えながら再エネを増やしていくという効率性の欠けた制度運営となっていた。
FITが導入された2012年、太陽光の買い取り価格は40円に設定。当時のヨーロッパのおよそ3倍でした。しかも20年間、固定で買い取り続けてくれるため新規参入する事業者が殺到。
太陽光バブルが起きました。
その後、買い取り価格は年々下落し、現在は十数円とバブルは収束。
そこで、これまで高い買い取り価格に頼っていた業者も新たなビジネスに乗り出そうとしています。
買い取り価格はどんどん下がっている。
今後はさまざまな企業に直接グリーン電力を売っていきたい。
太陽光の買い取り価格が下がり、賦課金の上昇がこれでおさまるかと思われたのですが、国民の負担がさらに増えかねない動きも…
梶山経済産業大臣、
洋上浮力は2050年のカーボンニュートラルに向けた重点分野。
再エネの主力電源化の鍵。
経産省は2030年度までに洋上風力を1,000万kW、原発10基分の発電量を目指す方針です。
今月開かれた風力発電の展示会。緊急事態宣言中でもこの人だかり。
会場では洋上風力で先行するヨーロッパの企業も。
こちらは風車の部品を製造するスペインのメーカー。
エウスカルフォルジング日本代表のミゲル・フィゲラスさん、
日本市場をすごく狙っている。
我々にとっては大きなチャンス。
洋上風力も20年間、固定価格で買い取る方針。
仮に政府が2030年に目標とする1,000万kWの洋上風力が全て稼働すると賦課金は一体いくらになるのでしょうか…
電力中央研究所の試算によると2030年度の賦課金は4.5円。現在の1.5倍になるといいます。
月に2,300円ほどの賦課金を支払っている菅原さん、2030年に払う賦課金の額は…
3,546円。すごい額ですね。
使い放題という感覚でやられたら困る。