新型コロナ対策として飲食店に要請している時短営業や酒類の提供の制限が首都圏1都3県で週明けから解除される見通しとなりました。
新型コロナで落ち込んだ経済活動が本格的に再開しそうですが、ただその足かせになりそうなのが原油価格の高騰です。
不安を抱える現場を取材しました。
有限会社船宿あみ達
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埼玉県の大野知事。
イベントなどの開催制限を除き24日で段階的緩和措置の終了を決定した。
神奈川県の黒岩知事。
1都3県同じような気持ちで慎重だったが24日をもって解除することになった。
埼玉、千葉、神奈川の3県は10月20日、週明けの25日から飲食店の営業時間短縮などの制限を解除することを決めました。
東京都も定められた感染対策を取った認証店については酒の提供や営業時間の短縮要請を解除する方向で調整していて首都圏の飲食店の営業がおよそ1年ぶりに大きく緩和されることになります。
制限の解除で本格的な経済再開へ。多くの人たちが期待を寄せています。
屋形船あみ達の高橋悟社長。
ここに泊まっているのがうちの船。
江戸川区に流れる新中川に停泊していたのは屋形船。
創業100年の船宿あみ達が所有しています。
現在の営業は金曜から日曜までの3日間。
緊急事態宣言が解除されお客様からの予約が入り始めているものの2年前と比べると1割にも満たないのが現状だといいます。
屋形船は飲食業だが観光と飲食が合わさったような事業なので、すぐにお客様が戻るというのは難しいが新しい魅力を発信していきたい。
女性客向けに船体をピンク色に染めたり、これまで利用が少なかった若者客を取り込むためバーベキュープランを導入するなど客層の拡大に努めています。
さらにこれから迎える忘年会シーズンは屋形船にとっても大きな書き入れ時。
年末に期待していますが、一方である懸念も…
やっと少しずつ回復していけるかなというところで燃料が高い。正直厳しい。
10月20日に発表されたガソリン価格は1リットルあたりの全国平均が164円60銭と先週より2円50銭値上がりしました。
屋形船の燃料である軽油も値上がりが続いていてコロナ前の2倍ほどになっているため、船の稼働が増える今後はその負担は計り知れません。
これ以上原油が上がり続けていくと値上げも頭に置いておかなければいけない。
頑張るしかない。
奥貫仁美記者。
こちらは観光バスなどを運行するバス会社です。燃料費高騰の影響はどうでしょうか。
東京・東村山市にある創業22年のバス会社「銀河鉄道」。
従業員40人ほどで路線バスと観光バスを運行しています。
緊急事態宣言中には1桁台だった観光バスの運行台数も10月は152台と再開の兆しが見え始めていました。
しかし…
銀河鉄道の山本宏昭社長。
1年半以上コロナで苦しんで、ようやく動き始めたかなと思ったら原油原価がガーッと上がってきて利益が圧迫されると。
ダブルパンチ、トリプルパンチ。
バスの燃料となる軽油は地元のガソリンスタンドから購入していますが、今年に入って値上がりの通達が10回来ました。
1週間ごとに5円、7円上がりますと。そう言われちゃうとどうしようもない。
燃料がないと動かせない。
原油価格高騰の影響は身近な場所にも。
杉並区にある創業72年の銭湯「第二宝湯」。壁に大きく富士山の絵が描かれた浴槽が特長です。
お湯は地下から汲み上げた天然の地下水。
地下水をお湯にするのに欠かせないのが…
第二宝湯の伊藤徳司店主。
重油のボイラー。いまお湯を沸かしているところ。
重油の仕入れ値が来月から1割5分くらい上がる。
年始めから3割以上は間違いなく上がっている。
重油の仕入れ値がどんどん高くなっていました。
コロナ禍で利用客も減る中、価格高騰は経営を圧迫しています。
さらにこれから寒くなるにつれてお湯の温度を保つためには夏場の2倍近い燃料が必要になるといいます。
冬場の燃料費は月に40万円くらいだが、今年は月5~6万円は負担が増える。
かなり苦しい。
入浴料金は大人が480円、自治体の規定で決まっているため料金の値上げはできません。
同じく値上げができず困惑しているのが運送業です。
年中無休で24時間対応している軽急便に話を聞くと…
軽急便の水谷豊執行役員。
急なガソリン価格高騰で利益率も下がる中、お客様に料金の値上げをしにくい環境で大変困惑している。
値上げが相次いでいるものの12月の家庭向けの電気・ガス料金は原油やLNG(液化天然ガス)の高騰により大手電力10社と大手都市ガス4社で値上げをする見通しで、値上げは4ヵ月連続です。
1月の水準と比べると東京・中部などでは標準的な家庭で1,000円以上の値上がりとなります。