アメリカのバイデン大統領が就任し、1月20日でちょうど1年となりました。ここで支持率を見てみましょう。
就任直後は55%の支持がありましたが、そこからどんどんと低下し、今では40%まで下落しています。一方、支持しない人は53%に達していて支持と不支持が逆転しています。
この支持率急落の背景にはバイデン政権が進める気候変動対策に対する強い反発がありました。
バイデン大統領なぜ不人気?気候変動対策でピンチ…
アメリカのバイデン大統領。
挑戦の1年であり、大きく進歩した1年だった。
600万人というかつてない数の新規雇用を生んだ。
就任から丸1年を迎えたバイデン大統領。
ちょうど1年前…
パリ協定に再び参加する大統領令に署名する。
就任したその日に15の大統領令に署名。中でも注目されたのが石油パイプラインの建設中止です。
カナダで採掘した原油をアメリカ国内の製油所が集中するメキシコ湾までおよそ1900キロに渡って運ぶ大型プロジェクト。
トランプ前大統領が押し進めた計画を中止することで環境保護を重視する姿勢をアピールしました。
そして強調したのは…
気候危機は雇用を創出し生活水準を向上させる。
素晴らしい経済的なチャンスをもたらす。
気候変動対策は経済の活性化につながると訴えてきたバイデン大統領。
しかし今、疑問の声があがっています。
アメリカ"脱炭素"で町が廃墟に!?「アメリカンドリーム失われる」
パイプラインが建設されるはずだった中西部のサウスダコタ州。
そこにあったのは…
ワシントン支局の中村寛人記者。
パイプラインが建設される予定だった場所に来ましたが、長さ数十メートルの土管が地面に置かれたままになっています。
建設計画が打ち切られたことで1,000本以上もの土管が野ざらしになっていました。
さらに近くの町を訪ねると…
パイプラインにほど近いメインストリートですがやっているお店が非常に少なくなっていて、こちらの店も中を見てみると真っ暗な状態になっています。
町の景気は大きく落ち込んでいました。
住民は…
経済的に大きな打撃を受けている。
町はパイプラインの建設を当てにしていた。
アメリカンドリームが失われようとしている。
生まれ育った町が滅びるのを見たくない。
町の一角に建つある施設。パイプラインの建設工事に携わる労働者のために建てられたものだといいます。
施設を運営するマイク・アルブレクト氏。
左右に24部屋ずつある。
各部屋にはベッド、テレビ、洗面を設置したが全て新品、一度も使っていない。
最大1,200人が収容できる仮設の宿泊施設。
レストランやコインランドリーも備えていますが建設計画の中止を受けて施設は一度も使われていません。
金の無駄になってしまった。
町を救う「金の卵」が消えてしまった。
活性化をもたらすはずだったパイプライン計画はいま町の経済に深い傷跡を残しています。
地元の電力会社の経営者、ジェフ・バークランドさん。見せてくれたのは…
パイプラインに電気を供給する変圧器で値段は1基で約8,000万円。
あれはブレーカー。
バイデン大統領が計画中止を決めた前日に納品された。
バークランドさんの会社が請け負ったのはパイプラインに電力を供給する変電所の建設。
機材の多くは今回のパイプライン専用の特注品でほかに使い回すことはできないといいます。
われわれの未来だった。多くのチャンスと選択肢が生まれた。
今は出勤するたびに胃を蹴られている感じがする。
いつも「あと少しだったのに」という気持ちにさせられる。
パイプラインが稼働していれば年間20億円の収益を得られるはずでした。
今では使い道のない設備をどう処分するか悩んでいます。
気候変動への対応には賛成だがバイデン大統領の対応は政治的な動機によるものだ。
常識を無視して「ビジネスの淘汰」をしている。
私たちの経済は完全に破壊されてしまった。