いまアメリカでは銃乱射事件が相次いでいます。5月24日にはテキサス州の小学校で銃乱射が起きて児童19人を含む21人が殺害されるという痛ましい事件が発生しました。
銃規制をめぐってアメリカ社会の分断が再び浮き彫りになっています。
アメリカが再び分断!?銃規制が中間選挙の争点に
アメリカの首都ワシントン。街の中心部である集会が開かれていました。
銃乱射事件の生存者
デービッド・ホッグ氏

全てのアメリカ国民には「撃たれない権利」「安全の権利」がある。
4年前、銃乱射事件が起きた高校に在学していた学生らが主催し、銃規制の強化を訴えていたのです。
被害者への黙祷が始まったその瞬間…

銃を持っている!撃つぞ!
不審者が乱入し会場は騒然。集会が終わる前に多くの人が立ち去る事態に。

男がフェンスを飛び越えた。警備員がすぐに取り押さえたけれど…
アメリカでは今年に入って300件近い銃乱射事件が発生しています。
アメリカ
バイデン大統領

一体これ以上どれだけ殺りくが繰り返されればいい?
あと何人の罪のないアメリカ人が死ぬ必要があるのか?もう十分だ。
11月に投開票される中間選挙でも銃規制は大きな争点に浮上しています。
2年前の大統領選挙で激戦地となったペンシルベニア州。民主党支持者が多い最大都市フィラデルフィアでも異変が起きていました。
植村友里記者

この地域では何度か銃撃事件が起きていて、複数の弾痕が残っています。
取材する2日前にも銃撃事件が発生、3人が死亡、11人が負傷しました。
近くに住む市民に話を聞くと…
フィラデルフィア市民

ひどい状況だ。犯罪が制御できなくなっている。
夜に犬の散歩をするときもとにかく怖い。
フィラデルフィア市民

アメリカで起きている銃による危機にはいら立ちを感じている。
「アサルトウェポン」などを禁止すべき。必要ない。
アサルトウェポンとは殺傷力の高い銃のこと。銃乱射事件で使われることも多く、規制強化を訴える声も高まっています。
一方、フィラデルフィアから車で北に2時間ほどの郊外に向かうと、共和党のトランプ前大統領への支持をアピールしている住宅も。
こちらは町の重販売店「ロール・コール」。
植村友里記者

こちらの重販売店では月に500丁ほど売れているといいます。
三段重から規制強化が議論されている半自動ライフル銃「M16A2 ライフル」までさまざまな銃が売られています。
一番売れているのが「Sig Sauer P365」、およそ5万円のピストルです。
重販売店 ロール・コール
デービッド・ラッセル氏

売り上げが伸びている。
今多くの人が銃を持ち歩くことで安全を確保したいのだろう。
銃乱射事件が相次いだことから護身用に銃を買う人が急増しているのです。
銃規制についてお客さんに聞いてみると…
お客さん

ハンドガンの方が隠しやすい、ライフル銃の購入を規制しても意味がない。
銃を持つ権利をなくすことも問題の解決にならないと思う。
植村友里記者
中間選挙で「銃規制しない」はポイントか?

お客さん

もちろん「銃を持つ自由」を誇りに思うから。自由に反対する人は投票候補ではない。
銃規制をめぐり分断する激戦州。
政治学者は銃規制に賛成する民主党と反対する共和党の攻防が中間選挙まで続くとみています。
政治学者
ドレクセル大学
ウィリアム・ローゼンバーグ氏

銃規制の賛成派も反対派もロビー活動家が多大な資金や時間、労力を費やしている。
どちら側も説得力のある主張で相手をおとしめる能力がある。
中間選挙の投票率は上がるだろう。