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[WBS]40年ぶりの高い伸び!アメリカ 消費者物価プラス8.5%

ワールドビジネスサテライト(WBS)

アメリカの3月の消費者物価指数が発表されました。詳しくはアメリカの手塚明日香記者に伝えてもらいます。

ニューヨーク支局
手塚明日香記者

アメリカの労働省が発表した3月の消費者物価指数は1年前と比べて8.5%のプラスとなり前の月からさらに加速しました。

アメリカ 消費者物価8.5%上昇!40年ぶりの高い伸び

ニューヨーク支局
手塚明日香記者

食品とエネルギーを除いたコア指数は6.5%のプラスとなっています。ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、エネルギーが32%上昇したほか、家賃などの住居費は5%、食品価格も8.8%上昇しています。
実は私が今いるのはニューヨークで食料支援活動を展開するフードバンクの倉庫です。パスタやひよこ豆の缶詰、ピーナッツバターなどの食品を袋詰しているところですが、これらの商品全て寄付されたお金で購入しています。あちらの窓口から食料が必要な方々に配っていて、今日も朝から人が途絶えることはありません。
いま歴史的なインフレがこうした生活困窮者の方々の暮らしを直撃しています。

アメリカ 歴史的な物価高騰!生活困窮者に大打撃

40年間、食料支援活動を続けてきているフードバンク「セントジョンズ・ブレッドアンドライフ」で今ある異変が…

ニューヨーク支局
植村友里記者

こちらのフードバンク、朝8時から始まりますが常に十数人が並んでいます。

食料を求めて訪れる人の多くは低所得者や貧困家庭の人々。

実はその数が1日500人以上とこの1年でおよそ30%増えているのです。

背景にあるのはアメリカで急激に進むインフレです。

フードバンク利用者

今はモノが高い、家賃が高い、全てが高くて何も買えない。

こちらの女性は収入を少しでも増やすため20年間続けている今の仕事に加え、もう一つ仕事を探す予定だといいます。

ニューヨーク支局
植村友里記者

将来は不安か?

フードバンク利用者

はい、インフレのせいで。

また子どもを連れたこちらの女性も…

フードバンク利用者

働いているが今年給料は上がらなかった。その上、モノは値上がりしている。
このフードバンクがあるおかげで食べていける。

このフードバンクの運営に携わるキャロライン・ツイーディーさん。

フードバンク運営者
キャロライン・ツイーディーさん

配給している温かい弁当はここで作っている。

1日およそ1,000食の弁当を作っています。

また家庭で料理できるように食材の配給もしています。

フードバンク運営者
キャロライン・ツイーディーさん

缶詰や食用油、野菜や果実を提供している。

インフレが進んだことでこうした配給食品の仕入れ価格も上昇しています。

牛乳はこの1年で20%以上値上がり。また缶詰や冷凍食品の魚なども10%ほど値上がりしたといいます。

フードバンク運営者
キャロライン・ツイーディーさん

予算は次第に厳しくなっている。もっと寄付金を募る努力が必要。
一人一人に配る量を減らす時が来るかもしれない。

予算のおよそ9割を占める寄付金も減り始めていて、厳しいやりくりを迫られています。

フードバンク運営者
キャロライン・ツイーディーさん

献金者とのつながりは大事。いつも手書きで感謝の思いを伝える。

いまアメリカではフードバンクの寄付金が減少する一方、利用者が増えていることが問題となりつつあります。

背景についてエコノミストは所得の低い層と高い層とのインフレ率の格差があると指摘します。

エコノミスト
ジェイコブ・オーチャード氏

低所得層は家計支出に占める食料品などの割合が大きい。今は食料品やエネルギー価格のインフレ率が特に高いため低所得層の実質的なインフレ率は0.5ポイント以上高い。

所得の低い人の方が食料とエネルギー価格が特に上昇する現在のインフレの打撃を受けやすいというのです。

今後については…

エコノミスト
ジェイコブ・オーチャード氏

ウクライナ侵攻などの世界情勢によって食料品やガソリンの価格はさらに上昇し、格差は広がっていくだろう。

アメリカ 広がる経済格差!FRB インフレ抑制急ぐ

アメリカの経済格差は相当根が深い問題です。

ニューヨーク支局
手塚明日香記者

こちらのフードバンクを訪れ、配給を受けた人の中には配給のおかげで子どもを養う事ができると話す人もいるほど生活に困った方がいて、非常に深刻な問題だと感じました。
もともと一部の富裕層に富が集中するアメリカですが、国民の所得に大きな差がある中、インフレ率の格差が広がっています。
こうした中、FRB(連邦準備制度理事会)のブレイナード理事は5日にウクライナ情勢が食品や原油の価格をさらに上昇させるリスクに触れ、低所得者層の生活に打撃を与えるインフレの抑制を急ぐ姿勢を強調しています。

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