10月27日、アメリカの実質GDP(国内総生産)の速報値が発表されました。7-9月までのGDPは前の期と比べて年率換算で2.6%の増加で市場予想を上回り、3四半期ぶりのプラスに転じました。ただ、世界的に景気減速の懸念が高まる中、世界経済を牽引してきたアメリカ経済を堅調だと見ていいのでしょうか。
アメリカ 7-9月GDPプラス2.6%
3期ぶりプラスも…
ニューヨーク支局
滝沢孝祐記者

3四半期ぶりのプラス成長ではあるものの要因は企業の在庫調整や輸入の減少といった統計上の理由が中心です。
内容を詳しく見てみるとアメリカの景気は減速傾向にあるようです。
項目別に見ると住宅ローン金利が上昇しているため、住宅投資は前の期から26.4%減少とマイナス幅を拡大しています。
設備投資は拡大したものの、GDPのおよそ7割を占める個人消費は伸びが減速しています。
とは言えニューヨークの街中を歩くと月末にハロウィーンが迫っているため店頭にはカボチャを使った装飾品などが並んでにぎやかな様子です。
全米小売業協会の調べによると今年のハロウィーンの支出額は過去最高だった去年を上回る106億ドル、日本円で1.5兆円に上る見通しです。
ハロウィーン後は年末商戦が本格化するため個人消費が再び盛り上がりを見せるのか注目されます。
佐々木明子キャスター
アメリカの中央銀行にあたるFRBはこれまで物価上昇を抑えるために大幅な金利の引き上げをしていて、それが景気減速にもつながっているといわれています。
来週には金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれますが、大幅な利上げは続きそうか?

ニューヨーク支局
滝沢孝祐記者

来週のFOMCでは4会合連続となる0.75%の大幅な利上げが有力視されています。
そのため焦点はその先、12月以降の利上げペースです。
先週末のウォール・ストリート・ジャーナルの一面でFRBが「利上げのペースの減速を検討している」と報じられています。
アメリカの物価上昇率は依然高いままですが、この先低下する兆しも見え始めています。
アメリカのお隣、カナダの中央銀行は10月26日に政策金利を0.5%引き上げると発表しました。利上げ幅は7月は1%、9月は0.75%でしたが、景気減速を懸念し、利上げ幅をさらに縮小したのです。
こうした動きもあり、来週のFOMCでは金融政策の転換に向けた発信があるか注目が集まっています。
ECB 0.75%の大幅利上げ
背景に物価高騰…景気減速は?
世界経済の先行きに影響を与える発表はヨーロッパでもありました。
ECB(ヨーロッパ中央銀行)は10月27日に主要な政策金利を0.75%引き上げると発表しました。
ECB
ラガルド総裁

2%のインフレ目標に沿うように今後盛り上げを続けていく意向だ。
ECBは7月に0.5%、9月に0.75%の利上げを行っていて今回の利上げは3会合連続となります。
ECBはインフレの水準が高すぎるとし、利上げについては今後も続けることを想定しているとしています。
今回の利上げの背景にあるのはユーロ圏の歴史的な物価高です。9月のユーロ圏19ヵ国の消費者物価指数は1年前と比べて9.9%の上昇と伸び率は5ヵ月連続で過去最高を更新し、アメリカの水準をも上回っています。
ECBは大幅な利上げで物価上昇を抑えたい狙いですが、同時に景気を減速することが懸念され難しい舵取りが求められています。