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[WBS]1ヵ月後に迫る"一騎打ち"!アメリカを分断する争点とは

ワールドビジネスサテライト(WBS)

アメリカのバイデン大統領。リベラル派、民主党大統領として2年前に当選を果たしました。そのバイデン大統領を支えているのがアメリカ議会です。現在は上院・下院ともにバイデン大統領と同じ民主党が多数を占めていて政権基盤は盤石な状態です。そんなバイデン大統領の4年間の任期が折り返しに近づく中、この上院・下院の議員を決める中間選挙が11月8日と1ヵ月後に迫っています。リベラル派の民主党と保守派の共和党による一騎打ちとなるこの中間選挙ですが、バイデン政権の今後を左右しかねないこの選挙で大きな争点となっていて、いまアメリカを二分しているある問題を取材しました。

中絶問題で相次ぐデモ
なぜ?アメリカ中間選挙の争点に

アメリカ東部ペンシルベニア州の州都ハリスバーグ。

デモ参加者

中絶を禁止しろ!

中絶禁止を訴えるデモがペンシルベニア州で相次いでいます。

ニューヨーク支局
手塚明日香記者

私はいまハリスバーグの州議会議事堂の前に来ています。
多くの人たちが集まっていますが、これから中絶に反対する人たちの大きな集会が開かれます。

この集会には1,000人以上が集まったとされています。

ネルソン・ペレス大司教

妊娠の瞬間から自然に死ぬまで、命を守るために声を上げている。
胎児の権利のために。

ステージの近くにはトランプ大統領が支持する保守派の共和党候補、ダグ・マストリアーノ氏の姿もありました。

記者

なぜここに来ている?

共和党
ダグ・マストリアーノ知事候補

私は次のペンシルベニア州知事になる。だから"命"を支持するために来た。
連邦最高裁は命の判断についてペンシルベニア州民に委ねた。
11月は「命を選ぶ投票」をするべきだ。

アメリカで広く認められていたはずの人工妊娠中絶。前のトランプ政権下で連邦最高裁の多数が保守派になったことで今年6月、中絶の権利を認める判決が覆されました。これにより判断は州政府に委ねられることに。

中絶の是非がいま中間選挙の大きな争点として浮上したのです。

集会を計画した中絶反対派団体の代表、マリア・ギャラガーさん。団体は40年以上、共和党と協力。中絶ができる施設の運営状況を厳しくし閉鎖に追い込むなどしてきたといいます。

ブッシュ前大統領からの手紙も。

中絶反対派の団体
マリア・ギャラガー代表

ブッシュ前大統領に中絶規制への姿勢をたたえる賞を贈ったら感謝の手紙をくれた。
人間の命は妊娠の瞬間に始まる。
そしてすべての命は守られるべきだ。
女性の中絶は必要ない。ペンシルベニア州、そして全米で中絶を考えられないものにしたい。

アメリカ50州のうち12州ではすでに中絶が原則禁止に。ペンシルベニア州を含む14州で中絶を規制する動きが見られています。

ペンシルベニア州では州議会の上下両院で共和党が多数派になっている一方で知事は民主党。知事が拒否権を使うことで中絶を規制する新たな法律が阻止されている状況です。

しかし、11月の中間選挙で共和党のマストリアーノ氏が知事になった場合、中絶の規制が一気に進むと見られています。

中絶の是非をめぐり対立が激化するペンシルベニア州。数少ない中絶施設では…

アレンタウン・ウィメンズセンター
ジョン・ロイジン院長

医師の名前を公表し、殺すように指示した人もいた。

アメリカ分断する中絶問題
脅かされる施設 一体何が?

ペンシルベニア州の州都から東に1時間半ほどにある街ベスレヘム。数少なくなっている中絶ができる施設「アレンタウン・ウィメンズセンター」がありました。

ニューヨーク支局
手塚明日香記者

こちらは中絶施設ですが、中に入るともう一つドアがあってロックされています。
そして、呼び鈴を押して名前と診察時間を伝えないとロックは解除されない仕組みです。かなりの厳重ぶりです。

さらに中の診察エリアもロックされていて、スタッフが同行しないと入れません。

婦人科医で施設のオーナーでもあるジョン・ロイジン院長は…

アレンタウン・ウィメンズセンター
ジョン・ロイジン院長

クリニックに抗議しに来る人たちがいる。特に手術をする日に私の家にも抗議しに来るんだ。

ニューヨーク支局
手塚明日香記者

自宅に?

アレンタウン・ウィメンズセンター
ジョン・ロイジン院長

そう、自宅に。

中絶を巡る対立が激化する地域では中絶患者や施設、さらに医師を含むスタッフなどに対し、嫌がらせ行為が行われており、身の危険を感じることもあるといいます。

アレンタウン・ウィメンズセンター
ジョン・ロイジン院長

ここに毎日来て、スタッフや患者にトウガラシ・スプレーをかけた人もいた。
中絶をする医師のリストを公表し、殺すよう呼びかけようとした男を訴えたこともある。

いま中絶が禁止された州から訪れる患者が急増しています。ロイジン氏はできるだけ多くの人を助けたいと話します。

アレンタウン・ウィメンズセンター
ジョン・ロイジン院長

中絶は女性にとって必要で提供されるべき医療サービスだ。
私の助けが必要とされているのに中絶をやめることなどできない。

顔を映さないという条件で2人の女性が中絶の経験を語りました。

10代で中絶をした女性

中絶はするべきではないとする社会にいる中、私の中で葛藤があった。
偏見のせいで中絶をするのが怖かった。

避妊をしていたものの19歳で妊娠をしてしまったといいます。

10代で中絶をした女性

万が一、妊娠をした時に中絶の選択肢がないと思うと不安。

10代で中絶をした女性

民主党が選挙で勝つと信じている。

中間選挙の争点 中絶問題
両党激突…追い風になるのは?

中間選挙の大きな争点となった中絶問題。

「中絶を原則禁止にするべき」とするアメリカ国民は全体の3割程度。

中絶の問題は民主党の追い風になる可能性があると政治学者は指摘します。

アメリカ政治に詳しい
ドレクセル大学
ウィリアム・ローゼンバーグ教授

実際に選挙を動かすのは無党派層の動きだ。
民主党に登録する有権者が共和党よりはるかに増えている。
これまで有権者登録をしなかった人々が民主党に登録しているのだ。
中絶の権利擁護派によるプラスの動きとみられている。

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