ネット通販で買った商品が原因で火災となった場合、販売する場所を提供していた通販サイトの責任はどこまで問えるのでしょうか。その責任を争点とした裁判の判決が東京地裁で言い渡されました。どのような判決となったのでしょうか。
アマゾンで買った商品で火災!販売場所 通販サイト 責任は?
画面の半分が焼け落ちたテレビ、クーラーはひしゃげ、壁はすすで真っ黒です。
宇都宮市の会社員、加藤尚徳さんは2017年に当時住んでいたマンションが火事になりました。
家財道具の大半が使えなくなり、被害総額はおよそ1,000万円に上るとしています。
原因はネット通販のアマゾンジャパンを通じて買った中国メーカーの充電式のバッテリーが発火したことでした。
このバッテリー、実はアマゾンが直接販売したのではなく、マーケットプレイスと呼ばれるアマゾンのサイト内で中国メーカーが売っていたものでした。
アマゾンを提訴した加藤尚徳さん

メーカー側にコンタクトをとりたいと思いアマゾンの連絡先に連絡をした。
ところがメールしか連絡先がない。
唯一の連絡手段はアマゾンのシステムを通じたメールでのやりとりのみ。
その後、中国の弁護士を雇いましたが平行線が続きました。
最終的にはメーカー側から「責任は認めないが見舞金を支払う」といわれこれ以上費用をかけられないと考えた加藤さんは見舞金を受け取りました。
アマゾンを提訴した加藤尚徳さん

個人的には納得がいかない。
私からみたらアマゾンで物を買ったという認識。
アマゾンに責任がないのはおかしなことではないかと思った。
加藤さんはアマゾンを相手取り損害賠償を求め東京地裁に提訴。
裁判ではアマゾンには消費者が安心・安全に取引できるよう出店・出品に際し審査する義務があるなどと主張しました。
一方、アマゾン側は主張は具体性がないもので義務違反はないと反論していました。
そして迎えた4月15日の判決。
東京地裁

主文、原告の請求をいずれも棄却する。
判決で東京地裁は加藤さん側が主張した出店・出品審査義務について…
東京地裁

そのような審査を加納な限り講ずることが望ましいという指摘を超えるものとは認め難い。
出品者と和解が成立していることも考慮すれば義務違反があるとは認められない。
アマゾンを提訴した加藤尚徳さん

義務として認められないということは消費者に責任、リスク、コストが転嫁されている。
そこは改善しないと消費者が泣き寝入りになってしまう。
加藤さんは控訴する方針です。
一方、アマゾン側は判決について「今回コメントは差し控えさせていただきます」としています。