台風19号は日本の収穫の秋を直撃しました。各地で農作物への被害が出ています。農林水産省によると全国の農林水産関係の被害額は10月17日までにおよそ250億円に上ります。この被害はどこまで広がるのでしょうか。

台風19号
安倍総理は10月17日、台風19号の被害を視察するため宮城と福島を訪れました。

河川の氾濫、土砂災害の現場を実際に見て発表されたのは…
生活再建に向けた動きを後押しするため今回の災害を特定非常災害に指定する。

特定非常災害に指定されると被災者は飲食店の営業許可の期限延長などの特例措置を受けることができます。

今回の台風19号では70人以上が亡くなっています。

轟拓人記者、
福島県郡山市の上空にいます。氾濫した水によって出荷前の稲が押し倒されたように見えます。

町独自でコシヒカリのブランド米を作るほど米作りが盛んな福島県の鏡石町。

台風の影響で阿武隈川の堤防が3ヵ所決壊し、町に広がる田んぼに大きな被害が出ました。

林智博記者、
福島を流れる阿武隈川です。台風19号の影響で川が増水し堤防が決壊、その結果多くの土や岩が田んぼに流れ込んでしまいました。中には1メートルを超えるような大きな岩も見受けられます。

収穫間近の稲穂を次々と飲み込みなぎ倒していった川の氾濫。
田んぼには簡単には動かせないような大きな岩が転がっています。

阿部忠雄さん
鏡石町の隣、福島県須賀川市で9代コメ農家を続けている阿部忠雄さん。

深夜から明け方にかけてのわずか2~3時間で水が1階部分を完全に飲み込み、畑で育てていた野菜、倉庫に入れてあったコメ、トラクターなど農機具が全てダメになってしまいました。

阿部春江さん、
これを見ると食べられるかなと思うけど、臭いが発酵しているよな臭いでダメだった。

水浸しになってしまったコメは何度か洗浄したものの腐ったような臭いが取れず売り物にならないといいます。

「被害総額は?」
1,000万円の上じゃないか。車は3台ダメ。

農機具も全部ダメだから。

阿部テル子さん、
情けない。涙だけが止まらない。

家具を買い直しするには年金だけではできない。

福島県によると県内の農業被害は現在までで46億円を超えていて、さらに増える可能性があるということです。

株式会社神明
[blogcard url="https://www.akafuji.co.jp/"]
今年の新米の出荷に影響はないのでしょうか?

コメ卸の最大手、神明を訪ねました。

先週台風があったと思うが…

台風の直後から農協や農家に電話尾をして被害状況を調査しています。
人的被害はない?

水が引いていないというのは土砂の流入もある?

刈り取りを断念しないといけない可能性が出てくると…

神明は全国の農家などからコメを買い取り、小売店や一般の消費者向けに販売。

単一の銘柄だけでなく、品質や価格を安定させるためさまざまな産地のコメを独自の配合で混ぜたブレンド米も販売しています。

台風の被害で特定の銘柄が不足した場合、ブレンド米に切り替えるなど調達や販売の計画を見直す必要も出てくるといいます。

神明の森脇暁取締役、
どのくらいの被害が出るかは分からない。すごく心配しているところ。

僕らはしっかりコメを買って売るのが一番のサポートになると思っている。

茨城県産白菜
一方、茨城県ではある野菜に被害が…
宮下由佑里記者、
こちら鬼怒川の河川敷です。白菜が栽培される畑になっていますが川の増水によりこの辺り一面が水没して被害を受けたいうことです。

この白菜は濁流などで同じ方向に傾き泥が付いてしまっています。

茨城県は生産量国内トップの白菜大国。


11月から1月に東京都中央卸売市場に出荷される白菜の9割近くが茨城産です。

今回の雨や風の影響で茨城県の農作物の被害は8億円に上り、そのうち白菜の被害額は3億円以上。

鬼怒川近くに白菜畑を持つ長塚さんも被害を受けました。

白菜の葉っぱがいじめられている。

ただの風ならブリブリの葉っぱにはならない。

この先どうなるかわからない。

これらは12月に収穫する予定だった白菜。外側の葉っぱを取り除き成長するのを待つため例年より小ぶりになり収穫時期が遅れる可能性があるといいます。

結構雨が多かったのでこれからの天気次第で病気のリスクもある。

消毒をして病気にならないようにするしかない。

細野商店
消費者への影響はあるのでしょうか?
都内の青果店では…

白菜がずらりと並んでいますが今の時期多いのは長野県産です。

茨城県産の白菜は例年10月末からが出荷のピーク。

もし出荷量が減ることがあれば値上げは避けられないといいます。
細野商店の細野幹人店長、
店でも値段を上げざるを得ない。

売り方を変えなくては、半分に切るなど。

白菜は鍋にも使うので採れなくなるのは心配。
