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[WBS] ニッポンの橋が危ない!?点検で「通行止め」続出!

2016年9月23日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

撤去された橋

静岡市の住宅街、その川沿いに通行止めの看板があります。

実はここには元々、橋が掛かっていたのです。

2015年に実施された国土交通省が義務つけた調査でレベル4、「緊急に対策をとることが必要」な橋と判定され、橋そのものが撤去されました。

1956年に建設された橋でした。

以前は橋を渡って往来できた住宅地は袋小路になりました。

橋が無いと、すごく不便。こう回らないといけない、そこに行くのに。

不便です。早くどうにかしてほしい。

八幡橋

神奈川・相模原市の山間部でも「車両通行止め」の看板があります。

50年以上も前に作られたと見られる八幡橋。

2015年12月の調査で「緊急に対策をとることが必要」と判定されました。

2016年2月に全面通行止めとなり、8月に人と自転車のみが通れる仮設の橋が架けられました。

住民も以前から危険を感じていたといいます。

いつか落ちるんじゃないかと感じていた。

落ちたらどうだったかと思うだけでドキドキしてしまう。

昨年末から今年の初めにかけて、橋を支える橋台のコンクリートが崩壊。

橋を管理する相模原市は点検が義務付けられるまで本格的な点検をしたことはなかったといいます。

日本の橋

日本に約73万あるとされる橋。

その多くは高度成長期の1960年代から1970年代に建設されました。

橋の耐用年数は約50年が目安。

それを過ぎた橋が増えてきているのです。

国は笹子トンネルでの天井崩落事故を受けて、2014年に全ての橋で5年に1度の目視点検を行うように義務付けました。

これまでに全国の橋の約3割で点検が実施され、250の橋は「緊急対策が必要」と判定されたのです。

小大野川橋

長野県松本市の市街地から車で1時間余り、山間部にかかる小大野川橋。

この橋も崩落の危険性があると判定され、緊急補修が実施されました。

橋桁を支える部品が著しく劣化していたため交換したのです。

長野県松本建設事務所の維持管理課、向山秀樹課長は

約1,100万円かかり、工期は約7ヶ月。

この橋も建設から約40年間、本格的な点検は行われていませんでした。

予算面も含めて厳しい状況にあると考えている。人材の確保とか技術者が不足しているのも事実。

緊急対策は実施したものの、コンクリートの一部が剥げ落ち、露出した鉄筋が錆びていることもあります。

本格的な補修には約7,000万円かかる見込みで、長野県は5年以内に実施するとしています。

小大野川橋の本格的な補修をいつやるか、他の橋との優先順位も含めて検討したい。

産業技術総合研究所

[blogcard url="http://www.aist.go.jp/"]

危険な橋の対策を早く進めるために何が必要か?

茨城・つくば市の産業技術総合研究所。

ここではコストを掛けず、橋を点検するための技術の研究が進められていました。

カギを握るのが「縞模様」。

非破壊計測研究グループ長の津田浩さんによると

この模様をデジタルカメラで撮影すると「モアレじま」を作成できる。

モアレとは縞模様などを重ねた時に見える波のような模様のことです。

この現象を生かして、橋の「たわみ」を調べるといいます。

橋の壁の上に縞模様のパネルを取り付けてデジタルカメラで撮影します。

仕組み

その仕組みを縞模様を貼り付けた橋の模型で表します。

模型を押してみても橋のたわみは肉眼ではよく分かりません。

しかし撮影した映像に画像処理を施すとモアレの動きによって橋のたわみを観察することができます。

このたわみの大きさで橋の危険度を判断するのです。

橋のたわみ

橋のたわみを計測する一般的な方法では橋の裏面と橋の真下に計測値を設置します。

この時、高所作業車など特殊な車両が必要な上、谷に架かる橋などでは計測する時、橋を通行止めにするなどコストが掛かります。

あおの松本市の小大野川橋の点検でもモアレを撮影する方法は役に立つといいます。

橋の道路の上に縞模様のマーカーを取り付けることで、あとはデジタルカメラで撮影することで測定できるので、橋の下が海であれ崖であれ、われわれに技術は適用可能。高所作業車は必要ない。市役所の人や道路の維持に携わる人なら容易に習得できる。

西武建設株式会社

[blogcard url="http://www.seibu-group.co.jp/kensetsu/"]

一方、ドローンを使って効率よく橋を補修する研究も進んでいました。

ドローンを操作しているのは西武建設株式会社の土木事業部、二村憲太郎さんです。

その様子を見守るのが芝浦工業大学の工学部、伊代田岳史教授。

ドローンが噴射しているのはコンクリートの補強材。

4メートルほど先まで噴射できます。

補強材や塗料など2リットルの液体を積むことが出来ます。

古い鉄骨を橋桁に見立てて噴射のテストを重ねます。

こんな感じですか? 距離感が全然わからない。

そうそう、きれいに吹けている。

この方法を橋の痛みがまだ軽いうちに使えば維持管理のコストを減らせるといいます。

大事になって点検を繰り返したり、都度補修をするよりは早い段階の補修でお金も浮く。日本経済全体を見ても早い段階で処理することが大事だと思う。

今後は、橋との距離を保つセンサーなどを開発、1年後には実用化し、日本全国で高まる橋の補修事業を取り込みたい考えです。

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