
今回のオリンピックの成功に並々ならぬ思いを持っているのが習近平国家主席です。
国内外が注目する今回の大会は習主席にとってかつてないほどの試練といわれていて今後の政権の行方を左右する可能性があります。

北京五輪から見る政府の思惑!中国・習政権の本音とは…
春節で色づく北京市内の繁華街。

そこにはオリンピックのグッズ売り場が…
北京支局の杉原啓佑記者。
こちらはオリンピックグッズの販売所です。開幕を目前に控えたこのタイミングですがお客さんの姿はまばらです。

大量に並んでいたのはパンダのぬいぐるみ。その名も「ビンドゥンドゥン」。オリンピックの公式マスコットです。

お客さんは…
孫にビンドゥンドゥンを買った。

中国にとってパンダは国を象徴する動物です。半世紀以上に渡って友好の使者として活躍してきたパンダ。これまでドイツやロシア、日本などに貸し出されてきました。

ビンドゥンドゥンが身にまとう透明なもの、公式サイトによると宇宙スーツを模した氷「シェル」で紹介動画ではビンドゥンドゥンが宇宙ステーションの飛行士にハイタッチしています。

今年、中国は独自の宇宙ステーションの稼働を始める計画です。自国の宇宙開発を世界にアピールする狙いもありそうです。

まもなく開催されるオリンピックについて北京市民は…
フィギュアスケートで日本の羽生結弦選手や中国の朱易選手に特に注目している。

期待する一方、こんな声も…
「北京五輪がまもなく開幕だが?」
知っているが興味ない。

あまり関心がない。

実家に帰省するつもりだったが難しくなった。

規制の影響で移動もずっと不便になった。

盛り上がらない理由として上がったのが中国独自の「ゼロコロナ」政策です。

上海では…
上海支局の菅野洋平記者。
現在、こちらの住宅団地が封鎖されているということで門の部分には壁が作られています。

年明けから断続的に感染者が発生。一部はオミクロン株への感染だったこともあり、たった1人の住民の感染で団地全体が3週間封鎖される事態に。

オリンピックの開幕と12億人が移動する見込みの春節の連休が重なっているため、ある地方幹部が感染対策として移動の自粛を呼びかける際、「帰省したら拘束する」と発言。非難を浴びるケースも出ています。


各地で起きているロックダウンに加え、オリンピックそのものも一般客の入場ができなくなるなど一連の厳しい規制に国民からの不満も出ています。

ただ中国政府はより多くの人民の生産活動、生活を保証する「ゼロコロナ」はコストパフォーマンスが高いとして市民生活や経済活動を犠牲にしてでも徹底してゼロコロナを堅持する姿勢を示しています。

この政府の方針を主導するのが…
田口智也記者。
メディアセンターでは習主席のオリンピックへの関わりをアピールする映像が繰り返し流れています。

オリンピックの成功を目指す習近平国家主席。開幕1ヵ月前にも会場に足を運び、げきを飛ばしました。
順調に開催することこそ成功だ。
外国メディアを会場の外に一切出さないバブル方式を実行。

習主席は新型コロナについて最大の試練だと強調しています。
この背景について専門家は習近平政権にとって今回のオリンピックが政治的に極めて重要な意味を持つためだと指摘します。
中国の誠司・経済に詳しいAIS CAPITALの肖敏捷さん。
秋の共産党大会に関する動きが活発化してくる中では細心の注意を払いながらオリンピックは絶対に成功させるしかない。

今年の秋に控える5年に1度の共産党大会。

習主席は長期政権に向けて異例の3期目を迎えようとしています。

オリンピックが開催されるこの時期は党大会に向けて水面下で政治的な駆け引きが激しくなるため神経を尖らせているといいます。
感染対策に最も成功している国であることを国内外にアピールしてきた習主席。

今回のオリンピックでその実績に傷がつけば長期政権への足かせになってしまいます。

当大会前に余計な混乱が起きてほしくない。

コロナのコントロールの失敗など五輪後の国内への影響はとても気になっている。

メダルが何個取れたかは全然気にならない。

とにかく無事に終わらせることが成功。
