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[WBS] 事故直前の動きを記録!「EDR」の実力とは…!

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車線をはみ出した車がバスに接触、そのままスピードを緩めずにセンターラインを超えてぶつかってきました。

そして続いては、駐車場に入ろうとした車に対向車線の車がぶつかり2台を巻き込んだ事故です。

決定的瞬間を捉えたこの映像は車に取り付けられていたカメラの付いたドライブレコーダーで撮影をされたものです。

あおり運転による死亡事故などをきっかけにその市場は急成長しています。

ただ、なぜ事故が起こったのか、その真相を究明するには映像だけでは十分ではありません。

そこでいま注目されているのが、すでに車に搭載されている装置から事故直前の車の状態を記録したデータを抜き出して解析するという取り組みです。

株式会社ダイエー自動車販売

[blogcard url="http://www.daie-jidousha.com/"]

埼玉県にある自動車修理工場。

作業場には修理を待つ車が1台。

その前に回り込むとボンネットは大きく歪み、ヘッドライトはあらぬ方向を向いています。

バンパーにも大きな傷が…

交差点で衝突事故を起こした車です。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

[blogcard url="https://www.aioinissaydowa.co.jp/"]

そこにやって来たのは2人の男性。

損傷した部分の写真を撮ったり、タイヤの空気圧を測ったり、車の状態を詳しく調べているのは損害保険会社の事故調査員です。

あいおいニッセイ同和損害調査の中屋敷剛史さん、

事故の状態と損傷の状態を比較し確認することで迅速に保険金の支払いにつなげる。

損害保険会社は交通事故の保険金を支払う前にこのように部品単位で被害の状況を調べ保険金の金額を算出します。

ただ、こうした調査はあくまで車の損傷から事故の状況を推察するもの。

そこで事故が発生した原因についてより詳しく把握するために新たに取り入れたのがこの装置です。

この装置を車に接続してEDRのデータを読み出す。

EDR=イベント・データ・レコーダーの略。

飛行機でいうフライトレコーダー、自己記録装置。

EDR

車両の中央に搭載されているこちらの部品。

エアバッグの展開を制御するものです。

EDRはこの部品に内蔵されています。

衝突などで強い衝撃が加わった瞬間から5秒前までの車の状態を記録します。

記録されたデータは専用の装置で読み出します。

日本では法律によるEDRの装着義務はありませんが、すでに多くの車に搭載されています。

EDRから読み出したデータ

では、読み出したデータからはどのようなことが分かるのでしょうか?

これがプリクラッシュデータ、衝突前の車の挙動を示しているもの。

ゼロが衝突した時間。そこから1秒間隔で記録されている。

これを見てみると3.2秒前から数値が0.78、これはアクセルを離している状態。

0.2秒前にはブレーキがONになっている。

今回事故を起こした車のEDRには車速はもちろん、ブレーキやアクセルの操作など、事故を起こす前の運転状況が1秒間隔で記録されていました。

こうしたEDRのデータは事故の真相究明に役立ち始めています。

公益財団法人交通事故総合分析センター

[blogcard url="http://www.itarda.or.jp/"]

さまざまな事故の調査を手掛けている交通事故総合分析センター。

EDRのデータを元に痕跡等作成したPCクラッシュ(再現CG)。

ここでもEDRのデータを解析、CGを使ってリアルな事故の状況を再現することで原因を科学的に検証しています。

交通事故総合分析センターの伊藤達也さん、

これまでわからなかったことがEDR情報でわかるので、事故前の運転者の挙動などが把握でき、かなり精度が高くなってきている。

警察庁でもEDRのデータを交通事故の捜査に活用。

2016年に起きた乗用車の暴走事故ではアクセルとブレーキの踏み間違いを解明するなど、これまでに180件の実績があります。

では冒頭に登場した埼玉の修理工場の事故車をEDRのデータで解析すると…

事故発生の4.2秒前、衝突地点の手前およそ37メートルをアクセルを踏んで走行。

1秒後にはアクセルから足を離しました。衝突地点からはおよそ28メートル手前です。

アクセルを離したまま車は進み衝突の0.2秒前、ブレーキを踏みましたがほとんど減速せず30キロの速度で相手の車両に追突していたことが分かりました。

30キロで住宅街の道路を一定の速度で走っている。

アクセルも早いタイミングで離している。

ブレーキを踏むタイミングは遅れているが十分に安全を意識しながら走ってきた状況が確認できる。

あいおいニッセイ同和損保では現在、EDRのデータを解析できるアナリスト15人が事故の調査にあたっています。

いち早くEDRに注目したのは将来の自動運転化に対応するためです。

あいおいニッセイ同和損害保険の金杉恭三社長は、

従来は本人、相手に確認できたが自動運転になると確認は人間にはできない。

自動化に伴って事故原因を客観的につかんでいく必要性が高まる。

将来の自動運転化を見越して政府もEDRのような走行記録装置の義務化を検討しています。

ボッシュ株式会社

[blogcard url="https://www.bosch.co.jp/pt/"]

EDRデータの読み取り装置を提供しているのが大手部品メーカーのボッシュです。

この日はその装置を使い損害保険会社の調査員などに向けてEDRのデータを読み取る研修をしていました。

車速は変わってくる。誤差がある場合にその原因を調べる手掛かりになる。

ボッシュはこうした講習会を実施し、精度の高いデータ分析の出来る専門家を育成しています。

部品メーカーとして自動運転の実現に向け最先端の安全システムの提案していくためにもEDRのデータは有効だといいます。

ボッシュの里廉太郎さんは、

精度の高いデータが取れると活用範囲が広がる。

データを今後の安全のための糧にできるような仕組み作りがボッシュの役目。

特に自動運転にかけて記録データは重要なので、そこを伸ばそうとしている。

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