1月27日の新型コロナの感染者は7万8,000人を超えて3日連続で過去最多を更新しました。
こうした中、いま懸念されているのが検査キットの不足です。政府は1月27日に医療機関などに優先的に供給する新たな方針を打ち出しましたが、検査キットの増産を急ぐメーカーには課題も生まれています。
医療機関に優先供給へ!不足する「抗原検査キット」
東京・足立区にある東京電機大学の校内で1月27日にから始まったのは…
大熊智司記者。
こちらの大学のキャンパス内でも今日から無料の検査場が設けられています。
無症状の人を対象にPCR検査と抗原検査、合わせて1日500件の検査が可能ですが、すでに3日先まで予約が埋まっているといいます。
検査をした人は…
40代男性。
毎日朝、電車に乗って出勤している。コロナの感染者が増えているし、不安があって受けに来た。
30代女性。
音楽イベントに出演するので心配だったので念のため受けに来た。
いま感染への不安から無症状でも検査をしたいという人が増えている一方、こんな問題も…
千葉市にあるクリニック「東京ビジネスクリニック」には検査待ちの行列が。
東京ビジネスクリニックの内藤祥医師。
抗原検査キットは先週の初めぐらいから不足の状況が続いている。
発注した数や納期がその数だけ納品できないなど期日に納品できないことが発生している。
東京や千葉に3ヵ所の発熱外来を設けているこのクリニックには1日およそ300人が検査に訪れます。検査キットの数はギリギリの状況で今後に不安を抱えています。
これだけ感染が拡大している中では優先順位をつけて陽性になる可能性が高い発熱外来での検査キットの使用が社会全体として必要になってきている。
こうした中、政府は1月27日に検査キットの供給について新たな方針を打ち出しました。
後藤厚労大臣。
医療機関向けが最優先。
確実に検査キットが供給できるよう優先度に応じた物流を確保する。
有症患者に対して検査を行う医療機関に安定的に供給できるようにした上で自治体が主導で行う無料検査は現状の数を維持。一方、一般薬局が販売する分については過度な発注をしないよう要請する考えです。
今回の措置は発熱等の症状が出た場合に確実に検査を受けられるようにするためのもの。
抗原定性検査キットの供給が増加するまでの当面の措置。
ぜひご協力をいただきたい。
メーカー検査キット増産!輸入増目指すも課題が…
増産の要請を受けたメーカー側は体制の整備を急ぐものの新たな課題が見えてきました。
抗原検査キットを製造・販売するこちらの医薬品メーカー「アドテック」。
これまで1日の製造は5,000回分程度でしたが、年明けからは2万5,000回分まで引き上げたといいます。
販売先は薬局などが中心ですが…
アドテック 企画開発部、小林薫部長。
医療現場から本当に困っていますと直接電話をもらう。
直接部門に電話かけてくるのはよっぽど。
助けてほしいと思っている人がいると思うと製造を頑張らなければ。
工場の稼働時間も毎日6時間延長し、土曜日も操業。今後さらに増産をするため体制を整えていますが、いま課題になっているのが…
一番の課題は生産をする人員の確保。
特に今、濃厚接触者になった家族が急きょ出勤が難しくなって人員を確保できない。
そういった事態が今後さらに増えていく。
国内メーカーだけでなく海外メーカーへの引き合いも強まっています。
抗原検査キットの輸入販売を行うこちらの会社「マルコム」にも厚労省から輸入を増やすよう要請があったといいます。
マルコムの原田学社長。
年明け前は月1万回分だったが厚労省からもたくさん輸入してもらえないかと依頼を受けて、月2,000万キット、2月中に輸入して販売する。
こちらの会社が取り扱っている検査キットは韓国のメーカーが製造したもの。
このメーカーでは1ヵ月で4億回分以上にキットを製造していますが、輸出先は世界125ヵ国に上ります。世界的にオミクロンの感染拡大が続く中、今後の輸入については不透明な部分もあるといいます。
SDバイオセンサー(=韓国の製造メーカー)には数億テスト分、常に注文が入っている。
主にアメリカ・カナダ・シンガポール。奪い合い以上、死に物狂いで入手しようとしている。
引き合いがあるような話を聞いている。