「大浜見聞録」です。
福島県会津若松にある鶴ヶ城で行われているある実証実験の様子ですが、赤く映っているのが観光客です。
人と人との距離が1.5m以内に近づくと人工知能搭載のカメラが自動的に感知して表示してくれる仕組みになっています
プライバシーを守るために人形になっているとのことですが、実は今年の9月からコロナ対策として実験的に導入されています。
会津若松はこういった観光分野だけでなく、いろいろな分野でデジタル化が急速に進められています。
会津若松市、デジタル技術を使って暮らしを向上させるスマートシティに生まれ変わろうとしています。
アクセンチュア株式会社
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人口およそ12万人の会津若松市。
いまスマートシティを目指しデジタル化を進めています。
スマートシティ構想に取り組んでいる真っ最中ですが、その拠点となっているのがこちらの新しい建物です。
ここは市の中心に去年4月にオープンしたIT戦略を進めるためのオフィスビル「スマートシティAict(アイクト)」。
ソフトバンクをはじめ、名だたる大手企業など28社が集まっています。
ITコンサルティング大手、アクセンチュアの中村彰二朗さん。会津若松市のデジタル化を進めている中心人物です。
これは会津若松プラスという市民向けのインタラクティブポータル。
ログインすると必要な情報だけがでてくる。
いま取り組んでいるのは行政の情報を便利にするITプラットフォーム「会津若松プラス」。
個人データを登録と年齢や家族構成などを分析し、おすすめの情報が出てきます。
あいづっこウェブというのがあってデータが家庭と学校でつながっている。
子どもが昼に何を食べたか分かるので夕飯の献立を考えられる。
雪国ならではの情報も。
「除雪車ナビって何ですか?」
雪が降り出すと朝は除雪が仕事に。家を出られなくなる。
市が運営している除雪車がどの辺を走っているのか全部GPSでわかる。
この他、電子母子健康手帳など15のサービスを1つのサイトで確認できます。
同じビルに入居するIT関連のTISはこの新たな行政サービスに魅力を感じている企業のひとつ。
開発を進めているのはキャッシュレス決済アプリ。地域に根ざしたサービスを生み出そうとしています。
「大手のキャッシュレス決済サービスとの違いは?」
TISの小林慶介さん、
決済アプリで支払うだけではなく、例えば買い物をするとタクシーやコミュニティバスが自動的に迎えに来てくれる。
地域のために使うところが大きな違い。
新たな行政サービスを通じ、交通機関と連携することで高齢者などにも優しい町づくりが出来ると考えています。
スマートシティ作りを目指す中村さん、カギを握るのは個人データの集め方だといいます。
市民が自分の意志でデータを出す。デジタライゼーションの成功の分かれ目。
「能動的にデータ供給する環境を作る?」
グーグル・アマゾン・フェイスブックなどはみんなが使っている。
ただ能動的ではなく、サービスを使うためにログインしている。
登録した個人データが使われていることに少し気持ち悪い。
しかし個人データは使って価値が出る。
自分の意志でデータを出して、自分にフィードバックされる方が健全。
実際に個人データを登録している原律子さん。小学生の子どもの様子を知りたかったのがきっかけです。
学校から発信される情報をよく見ている。
先生が撮った写真を載せてもらえるのでうれしい。
すでに人口の2割近くにあたる2万人もの市民がこのサービスを利用しています。
この日、中村さんを尋ねてきたのはあのキャッシュレス決済アプリを開発しているTISの幹部、岡山純也さんです。
商店街の合意状況は?
地域の商店街に説明会をしている。
自社の事業の進展を説明します。
中村さんの手掛ける会津若松プラスと連携し、データの一元化を進めようとしているのです。
連携はこの2社だけではありません。
2週間ごとに30近い入居企業すべての代表者が集まり情報の共有を図っています。
「みんなで取り組める意味は大きい?」
非常に大きい。スマートシティ自体が1社ではできない。
今までできなかったこともできる。
そこは非常に有意義。
企業だけではなく町では大学や商工会などとも連携しながら新たなサービスの実証実験を進めています。
こうした取り組みも企業を惹きつけています。
新しいデジタルのチャレンジをする時、車など自動運転の実証には道路も不要。
手続きや交通量を考えると地方の方がデジタル実証は素早くできる。
フィールドはすごく重要。
デジタルへの移行を進める会津若松市。
他の地域にもこの取り組みが広がることがスマートシティ成功のカギを握ると考えています。
会津若松市の室井照平市長、
私たちの実証がひとつのモデル。
いろいろな地域で横の展開をする。
行政から生まれたものでも、日本の標準モデルに。
世界に持っていける。