イギリスで開かれている地球温暖化対策などを話し合うCOP26でイギリスのリシ・スナック財務相が持ってきた緑色のカバンです。
イギリスの財務大臣は国の予算案を赤いカバンに入れて運ぶのですが、今回は緑色にして環境への投資を増やすと決意を示しました。
国も民間もこぞって環境への投資を増やす中、その環境マネーは一体どこへ向かうのでしょうか。
アバディーン・ジャパン株式会社
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イギリス北部グラスゴー。
COP26で先週、イギリスの中央銀行の前総裁、マーク・カーニー氏がある発表をしました。
グレタ・トゥンべりさんは「夢を子ども時代を奪った」と私たちを責めた。
いまここでわれわれ金融業界はけじめをつける。
カーニー氏が明かしたのは環境への投資、環境マネーを準備した金融機関の世界同盟。
資金総額は130兆ドル、およそ1京4,800兆円。巨額なマネーを用意していると明かしました。
この同盟の主要メンバーに名を連ねる第一生命。そのヨーロッパ法人トップ、牧内秀直社長に話を聞きました。
GFANZという組織は(CO2排出)ネットゼロ、(気温上昇を抑える目標)1.5度を達成するには今のままでは足りない、民間も資金を入れられるようにというのが大きなテーマ。
GFANZとはネットゼロのためのグラスゴー金融連合の頭文字。世界45ヵ国から450以上の会社が参加しています。
日本からは第一生命のほか、大手生命保険、大手銀行グループ、大手証券なども加入しました。世界の金融資産の4割をカバーするこの同盟、具体的には何をするのでしょう。
資金を必要なところにどう使うかが今ない。新興国向けで一番打ち出されているのは「カントリー プラットフォーム」。ネットゼロに向けた金融業界の1つの柱。
現在は各国での投資判断を各社が個別にしていますが、カントリー プラットフォームと呼ばれる国ごとの環境マネーの受け皿作りを促そうとしています。
政策や商習慣が違う途上国でも効率よく投資するためのものです。
例えばインド向けプロジェクトに資金を振り向けるプラットフォームを1個か複数作ってGFANZとして「このプラットフォームがいい」と公認する。
インドがうまくいけば他の国に展開してやっていく。
ロンドン支局の中村航記者。
これから金融の世界でカントリー プラットフォームというワードがもしかしたらキーワードになってくるかもしれない。
世界規模の枠組みが始まる一方、各金融機関の取り組みは…
資産運用学およそ81兆円のファンド、スコットランドのアバディーングループ。
気候変動分析の責任者、エバ・ケアンズ氏に聞きました。
気候変動は極めて重要だ。
ESGつまり環境、社会的責任、ガバナンスを統合し資産を決定する。
このリスクを管理することは長期的に企業のリターンに関わり、重要だからだ。
COP26に合わせ自社の資産あたりのCO2排出量を2030年に2019年と比べ50%削減すると発表。
そのために独自の気候変動分析もしています。
2050年までの収益にどんな影響があり、そこから現在の資産価値への影響も考え、シナリオごとに企業へのプラスの影響とマイナスの影響を分析している。
さまざまな気候シナリオを予測した結果、2100年には気温上昇3.2度となる可能性が高く、COP26の目標1.5度以内は難しいと見ています。
そしてセクター別で敗者となる可能性が高いのはやはり石炭に関する事業だといいます。
2050年までに78%までが化石燃料以外のエネルギーになると予想している。
移行の速さが問題だが、最終的に立ち往生する資産だといえる。
石炭火力発電について世界が厳しい目を向ける中、日本は2030年時点で2割残す計画。
逆風は強まっているはずですが、世界的シンクタンクの専門家家からは意外な答えが…
チャタムハウス(王立国際問題研究所)のアントニー・フロガット氏。
他の国が石炭発電廃止を推進する中、日本がCO2削減目標を達成しながら、そのレベルの石炭火力を本当に残すという可能性は低いのではないか。
日本が4月にCO2削減目標を引き上げたことを受け、石炭火力を計画通りに残さないのではと予測。
カギはCOPの会場でも展示された水素発電やCO2の回収などの先端技術だといいます。
環境マネーの投資先としても注目されるかもしれません。
日本は技術開発での素晴らしい歴史がある。だからこそ日本は注目されている。
日本が目標を引き上げたことで技術開発の果実を他国にも分けられる。