阿部牧場
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2016年4月、阿蘇市の阿部牧場。
番組では地震直後に牧場主の阿部寛樹さんを取材していました。
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阿部牧場の牛乳は食品のミシュランガイドと評される国際コンクールで日本初の三ツ星を獲得。
しかし観光客が激減したため売れ残りが相次ぎ浄化槽に廃棄する作業が続いていました。
そんな中、地震から1週間後に子牛が誕生。
震災直後はずっとおなかで守っていたお母さんが。すごいなって。
牧場の一筋の希望となっていました。
そして2017年4月。再び阿部牧場を訪ねてみると、
この子です。
あの子牛がもうすぐ1歳になろうとしていました。あと1年ほどでミルクを出すようになるといいます。
いいお母さんに育ってほしい。
大きな被害を免れた工場では以前と同じように三ツ星ブランドの牛乳を生産。熊本県外にも販売ルートを広げることで売り上げを回復させたといいます。
銀行から5,000万円の融資を受け新たな設備投資まで行っていました。作業効率を上げるため牛乳を絞る機械を最新の設備に。
さらなる販路課題を目指しています。
一見順調に見える阿部牧場ですが、阿部寛樹さん、見せたい場所があるといいます。
ここも牧草地だった。
そこには今も巨大な地割れが。
質のいい牧草を十分に確保するためこの草原の復活が今後の課題なんです。
阿蘇を応援しようという人たちがたくさんいる。引き続き頑張らなきゃいけないという気持ち。
パン工房 豆の木
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もう一人、地震直後に出会った人がいます。
泊伸一郎さん、当時、余震で家が倒壊するのを心配し庭先にテントを張って家族6人で寝泊まりしていました。
ここに6人。子供はまだ小さい。ぎゅうぎゅうですけど。
地震の恐怖は子供たちの心にも。
家で寝ようか?
やだ!こわい!
あれから1年、再び泊伸一郎さんを訪ねました。
泊伸一郎さんは阿蘇で人気のパン屋さんを営んでいます。手伝うのは妻のみゆきさん。
店一番のおすすめは阿蘇の小麦で作るフランスパン。毎日、約30種類のパンを作て
配達はみゆきさんの仕事。やって来たのは「道の駅 阿蘇」です。
観光客は地震によって3割以上減っています。
泊伸一郎さんの店は売上の大半を道の駅に頼っています。この冬は売り上げが半分まで落ち込みました。
これは余り、売れなかったもの。引き上げて帰ります。少なく作っていても余る時があって、夜ご飯になることも多々ある。
観光客減少の主な要因は交通網の寸断。熊本市内と阿蘇を結ぶ国道は土砂崩れにより通行止めに。
迂回路を通れば時間にして30分も違わないのですが、客足は遠退いたままです。
一方、鉄道を見てみると、熊本市内から阿蘇を通り、大分に向かうJRは一部の区間でストップ。大分から阿蘇までは行きますが、阿蘇と熊本市内は未だ行き来できません。
この鉄道の寸断が泊伸一郎さんの家族にも大きな影響を与えていました。
店を覗くと手伝ってくれるのは息子たち。慣れた手つきでカレーパンを揚げるのは長男の優太君(中学3年生)です。
揚げることはできます。
日曜日とか忙しい時は小学校何年生くらいからかな。4年生くらいから、下の子も1年生から手伝ってくれている。
中学3年生の優太君は熊本市内の公立高校にJRで通う予定でした。しかし鉄道が未だに復旧していないため学生寮のある私立高校に入ることにしたということです。
家族みんなで暮らせるのも残り数日です。
売上が減った上に優太君が私立高校の寮に入れば毎月5万円出費が増えます。
泊伸一郎さん、販売回復に向けたアイデアが必要でした。
日持ちがして、作りだめができて、流通がかけられる。そういう商材を持ってないと戦えない。
熊本県産業技術センター
3月下旬、熊本県が運営する熊本県産業技術センターに泊伸一郎さんがやって来ました。
県外へも売ることができる新たな商品の試作にチャレンジするためです。
これはパン生地。
ベースとなる材料は阿蘇の小麦を発酵させたパン生地。普段使っているものと変わらないようですが、一体何を作ろというのでしょうか?
泊伸一郎さん、パン生地を練って丸めたものを特殊な機械を使って加工していきます。約5分間、高熱でプレス。焼きあがったのはせんべい。
パン屋ならではのパン生地を使ったせんべいを開発しようというのです。
水分を飛ばしているのでパンよりも日持ちがして販路が拡大できます。
材料の配合や味付けを変えながら8種類のせんべいを試作。
早速、食べてみます。
目指しているのは赤ちゃんからお年寄りまで食べられる軽い食感。
ところが、
ダメだ!食感が違う!おいしくない。
材料の配合が悪く、硬すぎたようです。
ほかのせんべいはどうでしょうか?
センターの職員にも食べてもらいます。
豆乳とおからが入っている。
これはスナックみたいな感じでいけると思います。
これ、いいかもしれない。
試食して美味しかったのは豆乳とおからを入れて味を仕立てたものと、フランスパンの味と香りをそのまま楽しめるものでした。
手応えを掴んだようです。
翌日、泊伸一郎さんがやってきたのは道の駅。
いけるんじゃないかというのはできたので。
道の駅 阿蘇の下城卓也マネージャーに販売のプロとしての意見を聞くためです。
これ(フランスパン味)が一番好き。よりパンに近くて小麦の味もしっかりしている。
さらに売れるためのアイデアも貰います。
例えば阿蘇山の形をしていると、お土産として買ってくれるかもしれない。高菜を入れるのもいいかも、そっちの方がきれいになる。
一日も早い商品化を目指すことに。
旅立ち
4月、カルデラの盆地に雲海が立ち込めていました。
この日は長男、優太君が出発する日。家族の元を離れ熊本市内の高校で寮生活を始めるのです。
真新しい制服。弟たちにはその姿が眩しいようです。
優太君はお父さんの仕事の手が空くのをじっと待ちます。家族揃って記念の写真を撮るためでした。
旅立ちの時です。
よっしゃ行こう!
ついに行ってしまいましたね。今日から寂しくなる。間違いなく。必ずいつかは道ができて、阿蘇も完全復活の時が来る。その時にがっかりさせないように、来たお客様が満足できるような阿蘇にする。頑張ってもっともっと良くしますよ。
泊伸一郎さんは家族のためにも、阿蘇のためにも、ここで踏ん張って仕事を続けるつもりです。
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