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[ガイアの夜明け] 密着!会社と闘う者たち!第2弾(2)

2017年7月26日

密着!会社と闘う者たち!第2弾

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株式会社引越社

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2017年2月、アリさんマークの引越社で働く小栗健さん(仮名・36歳)。

前回の放送から1年、未だシュレッダー係を続けていました。

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給料は営業だった頃の半分にまで減ったといいます。

小栗さんにとっては屈辱的な日々のはず…。

「なぜ会社を辞めないで残っている?」

これで私が折れてしまったら、もちろん折れる選択もあるが、残った人たちが私と同じ運命をたどる人が必ず出てくる。

変わってほしいとみんな思っている。そこを経営陣に分からせたい。

会社の改善を願う他の従業員たちの想いも背負って戦いを続けていました。

小栗健さん

そもそも小栗さんの会社への不信は2年前の2015年に遡ります。

結婚4年目、妻からのアドバイスがきっかけでした。

私はやっぱり異常だなと思っていました。本当に寝に帰ってくるだけの感じ。ご飯を食べながら椅子の上で寝る。起こしてベッドで寝かせにいく。

この先どうなるのかなと心配でした。

小栗さんが勤めているのはアリさんマークの引越社。

全国に70の支店を展開。従業員約4,000人の業界大手です。

小栗さんは6年前にIT業界から転職。引っ越しトラックのドライバーとして働き始めました。

しかし、待ち受けていたのは信じ難い労働環境だったのです。

これが給料明細。会社が総労働時間を打っている。月300時間は普通に超えていた。

最も働いた月は342.8時間。残業時間だけでも147時間。

これは国が基準とする過労死ラインの100時間を遥かに超えています。

これだけ働いても何故か手取りは27万円余り。

何分働いていくらもらっていたのか一切不透明で分からない。こちらとしても計算しようがない状況。

それでも必死に働いた小栗さん。

営業を任されるようになり成績も関東で1位になります。

しかし営業中に車両事故を起こすと会社から借金をするかたちで弁償金を負わされました。

請求額は48万円。実際の修理費用や会社が入っているはずの保険のことなどは教えてもらえませんでした。

借金がどんどん膨らんでいって辞められない状況になる。「アリ地獄」と呼ばれている。

労働組合プレカリアートユニオン

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会社に疑問を感じた小栗さんはある場所へ駆け込みます。

プレカリアートユニオン、運送業界で働くドライバーが数多く加入する労働組合です。

実はアリさんマークの引越社の元従業員40人以上が各地で同様の問題を訴え組合に加入していました。

そこに唯一の現役社員である小栗さんが加わり、共に戦うことになったのです。

井ノ口晃平副社長

彼らの訴えを会社はどう思っているのか?

番組は正式に取材を申し込みました。

応じてくれたのは井ノ口晃平副社長です。

「元従業員や現従業員の長時間労働の訴えについては?」

組合側が声を大にしている残業代の未払いや事故破損弁済についての法違反というのはないと思っている。

人的ミス、事務処理ミスがあれば即座に支払います。

それ意外は未払いは一切ない、という考えで主張しています。

小栗さんらの訴えにゼロ回答を宣言しました。

さらに、小栗さんに移動を命じたのです。

2015年6月、営業から行き着いた先はシュレッダー係。朝から晩までシュレッダーをかけ続ける仕事です。

社員で唯一人、オレンジ色の服を着させられました。

異動の理由は遅刻を2回したことだといいます。

そして、その1ヶ月半後、小栗さんは信じられない事態に…。

懲戒解雇処分。

なんとクビになったのです。

社内に張り出された紙。顔写真入りです。

黄色く囲まれた部分には罪状という名の解雇理由が列挙されていました。

  • 会社の業務上の機密事項及び不利益となる事項を他に漏らした。
  • 会社の職制を中傷又は誹謗し職制に反抗
  • 短期間において遅刻が複数回あった
  • 自己の権利を主張し、職責を果たしていない

業務上の機密事項を漏らしたなどなど…。

懲戒解雇って労働者としては「死刑」。そんなことしたかな、本当に分からなくて。

ひどい…。

その後、裁判所に訴えると懲戒解雇は撤回されました。

しかし再びオレンジ色の服を着てシュレッダー係をするように命じられたのです。

抗議活動

組合は会社の前で抗議活動を展開して後押しします。

すると会社の幹部たちが飛び出してきました。

何してはるの?

抗議活動は法律で認められ許可も取っていますが中止を要求してきました。

取材中のジャーナリストに足を踏まれたと井ノ口副社長もヒートアップ。

話し合いによる和解は極めて困難な状況に陥っていたのです。

裁判

前回の放送から1年、小栗さんたちは未払賃金や弁償金の返還を求めて提訴。

この日はシュレッダー係への移動取り消しを求めた裁判が大きな山場を迎えていました。

会社から井ノ口副社長が初めて出廷。証人として尋問が行われます。

一体、何を答えるのか?

裁判資料を元に法廷内のやりとりを再現します。

【裁判官】それでは私から伺います。今回のシュレッダー係への配転というのは1ヶ月の間に遅刻が2回あったことを重く見たということですね。

【井ノ口副社長】はい。

【裁判官】例えば、あなたが明日からシュレッダー係へ行きなさいと言われたらどうですか?それって制裁に私から見ると見えるんだけど。

【井ノ口副社長】いや、そういうつもりではやっておりません。

【裁判官】今までもう1年半経っていますよね。

【井ノ口副社長】はい。

【裁判官】いつまでこれを続けるんですか?弁解する余地はあまりないように思いますけど。

裁判所は引越社を痛烈に批判したのです。

井ノ口副社長にインタビューを申し入れますが…、取材を断固拒否。足早に立ち去りました。

一方、小栗さん。

会社に対してあれだけ強い言葉でダメだぞと、この場で言ってもらえるのはすごく励みになった。誠意を会社がみせるかどうかに注目したいと思います。

何時になく笑顔尾を見せた小栗さん、裁判での戦いに希望を見出したようです。

すると2週間後、会社からある文章が送られてきました。

和解案を提案してきたのです。

しかし、これがとんでもない内容でした。

無理ですね。

和解提案書

2017年2月、アリさんマークの引越社でシュレッダー係として働く小栗健さん。

この日、労働組合の清水さんに呼ばれていました。

会社側から和解案が送られてきたのです。

平成29年3月1日より、世田谷支店の営業専任職として勤務する。

つまり、営業に復職させるというのです。

しかし、よく読んでみると、

勤務時間中の移動は、公共交通機関及び自転車を使用する。

と書かれていました。

どうやって電車とか自転車で段ボールを配るのか?

無理ですね。

引越し業者の営業は車でお客様の家に出向き、見積もりをしたり段ボールを届けたりします。

それを小栗さんには自転車や電車を使うように、というのです。

価値観が違うくらいの失望感がある。それだったら白黒はっきり、裁判所に公正な判断をしてもらった方が納得できる。

シュレッダー係を続けること1年半余り。

小栗さんは会社の和解案を拒否。

最後まで戦い抜くことを決意位しました。

ところが再び急展開。

大勝利といっていい和解をすることができました。

和解合意書

会社と2年間に渡り戦ってきた小栗さん。

2017年5月、裁判所からの勧めもあり一部和解が成立しました。

その内容が書かれた和解合意書。

会社は小栗さんをシュレッダー係に配置転換したことについて社会的相当性を欠くものだったと認め謝罪。

営業専任職として復職させる上、問題だった車の使用も求められました。

営業職

6月1日、2年ぶりに営業に戻ることになった小栗さん。

すごくワクワクしています、ようやく戻れる。お客様と早く会って話したい。

長い戦いの末、ようやく元の職場に戻ることができました。

昔の同僚とも久々の再会。

しかし、残業代や未払賃金、弁償金の問題などは残されたまま。

裁判も引き続き行われます。

いつか会社が変わってくれることを信じて…。

まだ戦いは終わっていない。全部終わってから、「よっしゃ」と雄叫びをあげたい。

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