18歳以下の子どもに10万円相当を給付する方法について。
政府は5万円分を子育て関連に使い道を限定し、原則クーポンで配ることにしていますが、実際に事務手続きをする自治体からは現金での給付を求める声が相次いでいます。

受給者も自治体も…現金希望に政府迷走
10万円の給付金を受け取るなら現金かクーポンか、街で聞くと…
現金です。
僕も現金の方がいいと思う。

クーポンにすることで何がいいのかはっきりしていれば納得できるけど。

現金の方がシンプルにすぐ使える。

現金がいい。

クーポンで期限を決められていると結局使わなかったり、欲しくもないものを買わなきゃいけなかったり。

必要な時に使える現金がいい。

実際に給付の手続きを担当する自治体からは…
神奈川県の黒岩知事。
それぞれの市町村がどう判断するかだが、これまでのところクーポンにしたいという所はどこも無い。

現金にしてほしいというところが圧倒的。今のところは全部。

クーポンにすることによって新たな事務負担が増えることはもちろん、新型コロナの3回目のワクチン接種などを早くに進める必要があり自治体には今その余裕はないといいます。

東京都の自治体からはこんな声も…

自治体職員。
区民から続々と「現金給付にしてくれ」と要望が来ている。

「クーポンがいい」という意見は来ていない。

クーポンやるならすぐにでも準備に入りたい。早く決めてほしい。

原則クーポンは崩していませんが、現金での給付の声が日に日に高まっていることもあり、山際経済再生担当大臣は地方自治体のやり方を極力認めるようにしたいとの意向を示しました。
「基本はクーポン」というのは政府の見解として示しているが、何か一つに決めてしまうのではなくて効果が最大になるように柔軟な制度設計をしたい。

政府は今年度の補正予算成立後の今月下旬にもその運用方法を示すとしています。

一方、野党では立憲民主党が自治体の事情に応じて自主的に支給の方法を判断できるようにする法案を国会に提出しました。

立憲民主党の泉代表。
やはり自治体の求めに応じて、自治体の希望に応じて、現金一括という選択ができるようにというのが国民の声。

クーポン経費は967億円!"偽造防止"の印刷コストは?
実際にクーポン券を配ることになれば自治体から製造を依頼されるのが印刷業界です。

富沢印刷の岡本俊夫専務。
これがサンプルです。

コロナ禍の経済対策として各自治体が販売する「プレミアム付き商品券」も受注するこちらの会社。

金券を製造する上で重要なのが偽造の防止です。

数字の下にマイクロ文字という目に見えないくらいの小さい文字がある。

肉眼で見は見えないマイクロ文字。

ルーペで見るとこの通り確かに書いてあります。これが偽造防止技術の一つです。

コピーを拡大してみると文字が潰れて読めません。

さらに印刷すると文字が浮かび上がる技術やホログラムという角度で見え方が変わる特殊な加工など偽造防止技術はさまざまです。

最低ひとつ入れれば抑止力は十分あるが、技術を合わせるとより効果が期待できる。

一般的にこうした偽造防止技術を採用した場合、1枚のコストは10円ほどになるといいます。

仮に1枚1,000円の券を5万円分作ると1人分の印刷費用は500円ほどに。

今回、クーポンでの給付金をめぐっては事務費用などを含めた経費が900億円以上もかかると見積もられ一気に反対の声が吹き荒れました。

しかし、新型コロナの影響で2割ほど売り上げが減ったというこの会社ではこうした受注には期待をせざるを得ないという本音を話します。

クーポン券が動けば印刷機が動くので非常にありがたいのが正直なところ。

印刷会社としては印刷代はわずかな費用になるという認識。

管理費や運営費に金がつぎ込まれ予算をとっていると思うので、うまく調整してもらえればありがたい。
