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[WBS] 西日本豪雨で被害の地域!「人口流出」懸念のワケ!

2018年8月20日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

7月、大きな被害をもたらした西日本豪雨ですが、その被災地の多くは元々人口の流出に悩んできた地域でした。

今回の被害が流出に拍車をかけるのではないかという懸念が広がっています。

愛媛県西予市野村地区

愛媛県西予市、のどかな山間に位置する野村地区。

現在の人口は8,000人あまりとここ10年で2割ほど減少。

少子高齢化を背景に過疎が進んでいます。

7月7日早朝、ダムの放流に伴う川の氾濫で多くの住宅が浸水被害を受けました。

今も100人近くが避難生活を強いられています。

豪雨から1ヶ月まあり、8月19日に地区の公民館で仮設住宅の抽選会が開かれました。

入居を希望する住民たちが当たった番号順に住みたい間取りの部屋を選んでいきます。

今回の抽選では建設予定の74戸のうち49戸の入居者が決まりました。

仮設住宅の入居者は、

一歩一歩前進している。割と早く建つので準備を進める。

地区の運動公園では仮設住宅の建設が急ピッチで進んでいます。

9月上旬には入居が始まる予定です。

しかし住むことが出来る期限は原則2年間。

その後の生活についてすでに住民からは不安の声が…

野村町の人口を減らさないためにも市や県に家を建てやすい環境をつくってほしい。

2年間でそういう活動をしてくれれば新たに家を建てようかと思えるが。

暮らしの礎となる住宅の再整備が遅れればさらに人口が流出する可能性も指摘されているのです。

過疎地域みたいになっていたのが、この水害で10年くらい先になるはずの状態に一気に進んだみたい。

出るのは簡単。家を壊すのは簡単。

寂しいけどそれぞれ家族の考え方が違うから。

移住促進事業

過疎が進んでしまうという不安の声が住民の方からもあがっていましたが、人口の減少に歯止めを掛けようと近年、愛媛県が力を入れてきたのが移住促進事業です。

空き家を活用して移住者に住まいを提供したり、地元企業と連携をして雇用を生み出したりとさまざまな取り組みが功を奏していて2017年度の移住者は1,000人余りでした。

ここ数年で一気に数を増やしていました。

しかし、ようやく軌道に乗り始めた移住促進事業に対しても今回の豪雨による影響が懸念されています。

豪雨が阻む「移住促進」!受け入れる地元の「悩み」!

東京から西予市に移住した遠藤光信さん(27歳)。

野村地区の農業法人で働いています。

都心の若者が地方で活動しながら活性化を図るというのに興味があった。

農業にも興味があったので若いうちに行ってみようかなと。

現在はネギの生産管理を担当。

すぐに働く場を見つけられたことが移住の決め手になったといいます。

限界集落と言われているところなので産業や農業を守る意味でも若い人が増えたらいい。

百姓百品株式会社

[blogcard url="https://www.100pingroup.com/"]

遠藤さんが勤めるのが百姓百品グループ。

移住者を多く受け入れてきましたが…

このあたりまで水が来た。

川から溢れ出た水が押し寄せ2階部分まで浸水してしまいました。

また所有する700ヘクタールの農地のうち15%ほどが浸水。

被害額は1,600万円に上る見込みです。

さらに運営する直売所も浸水被害で1ヶ月ほど営業を停止していましたが、7月31日にようやく再開にこぎつけました。

被災した時には野村町は立ち上がることができないと思ったがちょっとずつでも再開できるのは励みになる。

事業は徐々に再開しなんとか移住者への給料も支払い続けていますが新たな移住者の受け入れには大きな壁が残されているといいます。

和氣數男社長は、

移住する意欲を持って来た場合に住まいがあって生活できなくてはいけない。

来てすぐに家を見つけるのが難しい。

水害による住宅不足が移住の促進にとっても壁となっているのです。

無茶々園グループ

[blogcard url="http://www.muchachaen.jp/"]

一方、こちらは同じ西予市の明浜地区。

海を囲むように急斜面が広がります、

その斜面には愛媛の名産、ミカンの畑が。

近年は農家を目指して移住する若者が増え始めていたというこの地域でも…

橋本遼記者、

あちらの斜面はミカン畑ですが土砂崩れの影響でミカンの木がたくさんなぎ倒された状態になっています。

ミカン農家は

一帯にミカンの木があったが流された。

自分たちだけの力では再建はすぐには無理。

この地域で若者の受け皿となってきたのが無茶々園グループ。

従業員100人のうち2割ほどが移住者です。

移住促進事業を担当する村上尚樹さんは受け入れが続けられるか不安を感じています。

農地は地域の資源、その資源が失われて自分たちの事業や農業が苦しくなると移住者の受け皿としての機能が弱まるのではないかという危惧はある。

市の試算で明浜地区の農業被害は総額13億5,000万円。

再建が遅れれば移住者に働く場を提供する余裕がなくなる可能性があるというのです。

無茶々園で働く移住者は、

若い人が来てくれたらいいが自然はどうにもできない。

難しいと思う。

愛媛県

[blogcard url="https://www.pref.ehime.jp/"]

いま大きな壁に直面する移住促進事業。

今後も続けられるかは移住者を受け入れる集落そのものを維持できるかどうかにかかっているといいます。

愛媛県地域政策課の山本泰士課長は、

伝統行事や作業の担い手が減っているが、そういうことを防ぐためにも人口を維持して集落機能を図ることが大事。

集落で互いに情報を交換していいものを普及したい。

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