「CFO誕生」です。財務のトップが未来を語る。今回の企業は丸井グループです。
丸井グループといえば渋谷モディのリニューアルをマルイシティ渋谷からしたと思いますが、周りの建物とは一線を画す草に覆われている外壁が渋谷の中でも109と並んでシンボリックな建物です。
ファッションのイメージがあると思いますが、今はファッションの小売事業よりもクレジットカードなどの金融事業に力を入れていて、現在取扱額は3.1兆円、これを2026年3月期には5.3兆円に伸ばす計画です。
時代に合わせて事業内容を変化させている丸井グープ。小売と金融、そして新たに投資を交えた三位一体経営の狙いについてCFOに聞きました。
丸井グループの成長戦略
小売り・金融・投資 一体で
東京・中野。創業の地に本社を置く丸井グループ。
加藤浩嗣CFOが出迎えてくれた場所は本社の1階。ここでは会社の歴史や昔の広告などが展示されています。
丸井グループ
加藤浩嗣CFO

耐久消費財を買いたい人に分割払いの月賦商を始めた。
家具や家電など耐久消費財の月賦販売が始まり、その後、ファッションの丸井として一時代を築きました。
現在の主力事業はそうした小売事業ではなく、クレジットやキャッシングに使うエポスカードのフィンテック・金融事業。
今期、第1四半期の時点で売り上げは67%、利益にいたっては90%以上をフィンテック・金融事業が占めています。
塩田真弓キャスター
丸井グループは金融業になっていく?

丸井グループ
加藤浩嗣CFO

お客様と接してそこから得られるヒントをフィンテックに生かしていく。
小売りと金融の一体でやっていく。
小売り・金融、さらに両者に効果がある事業に投資。この三位一体で丸井グループを成長させていくといいます。
丸井グループはスタートアップ企業やファンドにこれまで累計で230億円を投資。
投資先の一つがオンラインショップのサイト作成サービスを行うBASE。そのBASEが丸井の店舗「渋谷モディ」に出店しています。
所狭しと商品が並んでいますが、SHIBUYABASEはBASEのネットサービスを利用しているオンラインショップが区画ごとにリアル店舗を期間限定で出店し、お客さんの反応を直に確かめる場になっているのです。
丸井グループ 共創チーム
河邊眞帆さん

さまざまなショップが出店することでマルイに来たことがないお客様が来店。
丸井の認知が上がったり、エポスカード会員増のメリットがある。
投資している企業が店舗を出店すればテナント料収入の増加やエポスカードの利用増加が見込まれます。
2026年3月期を最終年度とする中期経営計画では投資先の企業による営業利益の合計額を現在の10億円から55億円に引き上げたい考えです。
デジタル社債発行の狙い
その元手となる投資資金を確保するため今年、新しい資金調達の方法を国内の事業会社として初めて実施しました。それがデジタル社債です。
デジタル社債とは証券会社を通さずブロックチェーン技術を使って電子的に発行される債権で、従来の社債よりも柔軟な条件や金額で発行が可能になります。
丸井グループのデジタル社債は自社のクレジットカード、エポスカード会員に限って購入できるため最低購入金額は1万円。
調達した資金は投資先のスタートアップ企業を通じて途上国で低所得者に融資するマイクロファイナンスに活用されます。
投資期間は1年間で利率が1%と投資家にとってはかなり高い利回りの商品ですが、1%のうち0.7%分はポイントで付与されます。
6月と10月に発行したデジタル社債はそれぞれ20倍、15倍もの応募がありました。
需要の高さを受け第3回の発行も計画しています。
丸井グループ
加藤浩嗣CFO

半年に1回ではなく毎月やりたい。
"共創投資先"が結構あるので応援するメニューを作っていきたい。
この投資は2050年までの長期ビジョンの第一歩でもあると加藤さんはいいます。
シルバーの冊子「VISION BOOK 2050」が2050年に向けたビジョンブックです。
そこには丸井の約束「1,000万人以上の世界の人々に金融サービスを提供します」という宣言が。
全ての人が金融サービスにアクセスできるファイナンシャルインクルージョンの創業の精神で、世界に目を向けているのです。
丸井グループ
加藤浩嗣CFO

中計のKPI(重要業績評価指標)に「インパクト」という目標を作った。
「社会的インパクト」の目標として1,000万人に金融サービスを届ける。
中計の目標に向かってさらに拡大していきたい。