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[WBS] 割れない!?軽い!?「スマートフォン」が「有機EL」で激変!

2016年6月24日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

電子機器トータルソリューション展2016

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東京ビッグサイトで6月3日から行われていた電子機器の展示会「電子機器トータルソリューション展2016」。

会場には大勢の人が集まっている1画がありました。

有機ELの専門家の話を聞こうと様々な企業の方が詰めかけていたのです。

来年アップルが採用するかもしれない有機EL、ここに注目せざるを得ない。今年ある程度の調査を終えて準備に入らないと波になかなか乗れない可能性がある。

世界の有機EL市場は2020年に現在の約2倍、3兆円にまで急拡大する見通しです。

上田弘孝代表

セミナーで講演をしていたモトローラの元技術者、セミコンサルトの上田弘孝代表に話を聞きました。

液晶ディスプレイのスマートフォンと有機ELディスプレイのスマートフォンの大きな違いは?

液晶は基本的にガラスをベースにしたもの、有機ELになってプラスチック化されることで、だいぶ割れにくくなる。

液晶ディスプレイと有機ELディスプレイの違い

液晶ディスプレイのスマートフォンは表面からカバーガラス、カラーフィルター、ガラス基板、バックライトで構成されています。

有機ELはカバーガラス、発光材料、フィルム基盤(プラスチック)で構成されます。

有機ELになると全く違う部品が使われるようになります。

例えば従来の液晶の電子回路の基盤はガラスが使われていましたが、有機ELの基盤は軽くて柔らかいプラスチック製のフィルムになります。

金色のプラスチック製のフィルムを作っているのは日本企業です。

宇部興産株式会社

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化学メーカーの宇部興産株式会社。

スマートフォンが有機ELに変わることをチャンスと捉えていました。

ポリイミドフィルムです。

ポリイミドフィルムはプラスチックの一種で薄くても丈夫な性質を持っています。

その中でも宇部興産株式会社のフィルムには大きな特徴があります。

こちらが宇部興産のフィルム、こちらは他社のフィルムです。これを500度のオーブンで熱してみます。

一般的なポリイミドフィルムと宇部興産株式会社のポリイミドフィルムを500度の高熱で加熱すること10分。

一体、どのような違いが出たのか?

加熱した一般的なフィルムは握り締めると粉々になってしまいました。

一方。加熱した宇部興産株式会社のフィルムは握り締めるとクシャクシャにはなりますが割れませんでした。

電子回路を焼き付ける際、その温度は400度以上とされ通常のフィルムでは形状を保てませんが、宇部興産株式会社は500度を越す高熱に耐えるフィルムを開発したのです。

宇部興産株式会社はこのフィルムを30年以上も前から生産してきましたが、アップルがスマートフォンに有機ELを採用すると事業の大きな拡大に期待が持てるのです。

杉下秀幸専務は

アップルはスマホの業界でガリバーなわけです。そこが有機ELを採用する。フィルムの開発の意欲が急激に高まっている。やっと来たって感じです。

液晶ディスプレイと有機ELディスプレイの違い

液晶が有機ELに変わるとこんな違いもあります。

液晶ではバックライトが点灯することで映像が映し出されていました。

これが有機ELに変わるとフィルムに付着させた発光材料が自ら点灯し映像を映し出します。

出光電子材料韓国株式会社

その発光材料を製造しているのが出光電子材料韓国株式会社。出光興産株式会社の子会社です。

ソウル支局の和田高キャスターは

こちらは出荷前の有機ELの材料。薬品のような遮光ボトルの中に粉末が入っている。

光る理由

出光興産株式会社の電子材料研究センターで教えてもらいます。

発光材料を溶かした液体に紫外線を当てると光ります。

電子材料部の河村祐一郎さんは

紫外線を当てることによって発光材料にエネルギーを与えている。電気を流すことによってエネルギーを与えて光らすことができる。

電気を流すことで発光材料が自ら光ります。

従来に比べて消費電力を最大3分の1まで抑えられる可能性もあります。

出光興産株式会社は発光材料の生産能力をこれまでの2.5倍に引き上げます。

今後予想される需要の高まりをキャッチアップできるように社内の体制を整えている。

スマートフォンが有機ELに変わることを睨み、様々な日本企業が動き出しています。

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