有限会社山田工業所
神奈川県横浜市金沢区にある工業団地。
一体誰の名前が何について儲かっているのか?
なんだかゴチャゴチャした事務所です。
「こんにちわ」
はい、はい。
一人の男性を発見!
「お名前は?」
山田です。
「山田何さんですか?」
山田豊明です。
ということは、1つ目の名前がついて○○式ビジネス、それは、
山田式中華鍋です。
山田式中華鍋
山田式中華鍋は山田豊明社長が率いる山田工業所は昭和32年から中華鍋を専門に作っている会社です。
「名前がつくことに対してどう思われますか?」
山田式中華鍋はうちでつけた名前じゃないんです。お客様が自然とつけてくれた。お客様が他の中華鍋と差別化してくれた。悪い気はしないねぇ。
山田式と名付けたのは購入して使ってくれているユーザーの皆様でした。
なので自社で制作したパンフレットには山田式とは書いていません。
でも名前がつくからには他の鍋とは一線を画す何かがあるはず!
社長、教えてください!
山田式中華鍋は打ち出し式と言って平らな板から1枚ずつ叩いて湾曲を作る。
「叩いて作っている?」
そう、そうです。
叩いて作る。
一般的に中華鍋の製造で多いのは1枚の金属板を金型で押すプレス式。
山田式は叩いて仕上げます。なので鍋肌に跡がしっかりと残ります。
製造現場
山田式中華鍋の製造現場とは?
工場には巨大な機械がたくさん置かれています。
まずは鉄板を型でくり抜き、大きな台にセッティング。すると台が回り始めました。ハンマーのようなモノがトントントンと上下し鉄板を打ち付け始めました。
本当に叩いて作っています。しかもド迫力の機械です。
1枚あたり叩く回数は、社長の息子の山田憲治さん、
「何回叩く?」
叩く回数は4,000~5,000回。
40分間に約5,000回。
大量に麺を茹でる大型中華鍋になるとなんと叩く回数は1万回。
打ち続ける力加減や位置を職人が手作業で調節していきます。機械を使っているとはいえ繊細な作業です。
でもなんでわざわざ叩くのか?
叩くことで強度も保たれます。
コンコンコンと何回もハンマーで鉄を叩くことで鉄の中の空気が抜けて密度が凝縮されます。すると硬く強くなります。刀鍛冶のような世界です。
山田式中華鍋の重さ
強くなるので鉄の厚みも薄くて済みます。なので、
重さ、プレスの鍋より軽くなる。
その軽さも特徴なんだとか。
プレス式と山田式、仕上がりが同じ大きさのもので比較。すると山田式中華鍋の方が115gも軽い。
強いから長持ちする。薄いから火が通りやすい。軽いから鍋が振りやすい。
ガンガン叩いて作る山田式中華鍋は良いことがいっぱい!
景珍楼
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ということは料理人たちの間でも大人気!
横浜中華街のほとんどのお店で山田式中華鍋が使われているといいます。
景珍楼で使われる中華鍋は全て山田式中華鍋。
料理長の鈴木誠さんは、
中華料理屋さんは火との勝負。鍋が強くなく壊れるとお店の売り上げのロスが出る。
強い火力でササっと短い時間で仕上げる中華料理の現場では山田式中華鍋が欠かせません。
さらにこんな長所も、
打ち出し(叩き)なので油も均等にいく。
大きな機械で叩いてできる凹凸も重要。鍋に油をひくと凹凸に油が溜まって鍋全体に均等に広がるといいます。
オーダーメイド
そして山田工業所には自分だけの鍋を求めて料理人たちからオーダーが殺到!
油をサッと通す海鮮メニューが多い広東料理のシェフは浅め、香辛料を多く入れて煮込みが多い四川料理のシェフは深めとこだわりがあります。
そんな注文にもちゃんと応えてくれます。
一般用とプロ用合わせて毎日300個の中華鍋を製造。
社長によると叩いて中華鍋を作っているのは、おそらく全国でも山田工業所だけ。
ってことは、
「儲かってそうですが?」
さほど儲かんないですよ…
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