warmerwarmer
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東京都新宿区の伊勢丹新宿本店。
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地下1階のフレッシュマーケットの野菜売り場には珍しい伝統野菜が販売されていました。
800年前から栽培されている丸いかたちが特徴の平家大根や高度成長期を境に衰退した飛騨長人参など珍しい野菜ばかりです。
飛騨長人参を試食したお客様は
昔のニンジンを思い出して懐かしかった。すごくおいしかった。
仕掛けたのはウォームウォーマーの高橋一也代表。
ウォームウォーマーは伝統野菜を専門に扱う八百屋です。
なぜ活動をしているかというとおいしいから。食べたことがないので、どんな「おいしさ」があるか分からないと思うが食べてくれた人はみんなびっくりする。
木引かぶ
古くから海外との交流の拠点となってきた長崎県平戸市に高橋一也代表の姿がありました。
高橋一也代表は珍しい野菜を求めて全国の生産者を廻っています。
高橋一也代表が訪れたのは農家の西康二さんの畑です。
西康二さんだけが育てる珍しい野菜があります。
室町時代から栽培されている木引かぶです。
独特なカタチが敬遠され売り先が殆どないそうです。
伝統野菜
ブランド化された京野菜や加賀野菜などに人気が集まる一方、名の知れない伝統野菜が絶滅の危機にあります。
木引かぶは葉っぱが大きいので輸送する時に折れてしまったり、スーパーでは棚に並べにくいといいます。
葉っぱが大きいので輸送する時に折れてしまったり、スーパーにこういうカブを並べていても棚に入らない。流通も運びたくないなら、この野菜はどこにいったらいいのか。行き場がない。危機感がある。
高橋一也代表
高橋一也代表は元スーパーの野菜バイヤーでした。
サイズの揃った野菜を大量に仕入れるのが仕事でした。
しかし10年前に歴史ある平家大根に出会い、昔の野菜が途絶えそうになっていることを知りました。
「昔の種を守っていますか?」と聞いて回った。千葉の農家から「やめたよ」と言われた。「なぜですか?」と聞いたら「おまえが買わなかったから」と言われた。すいませんというか衝撃だった。
高橋一也代表が扱う伝統野菜は農家自ら種を実らせ採取します。
こうした種取りは手間がかかるため、買う人間がいなければ農家は辞めてしまいます。
同時にその野菜も途絶えることになります。
4月14日、高橋一也代表は吉祥寺の自宅で旬の野菜を求めて全国の農家に電話をしていました。
この時期は伝統野菜が出回らない端境期。
しかしGWに珍しい野菜を広めるためのイベントが控えていました。
イベントまで約2週間、高橋一也代表は追い詰められていました。
越前白茎ごぼう
絶滅の危機に瀕した日本伝統の野菜を取り扱う高橋一也代表。
百貨店で開かれるイベントに向けて動き出しました。
向かったのは福井県坂井市。
住宅街の一角に幻の野菜を作っている三上香代子さんがいました。
育てていたのはゴボウの原種といわれる「越前白茎ごぼう」です。
根の部分が小さいのが特徴です。
全部を食べられる。根っこから葉っぱまで上手に利用すれば、こんな利口な野菜はない。やわらかいし。
一説には縄文時代から日本人が食べていたといわれています。
しかし葉が萎れやすいこともあって流通されなくなりました。
作っているのは自分たちだけ。もうお手上げ。
越前白茎ごぼうはこの地域で三上香代子さん達だけしか作っていません。
風前の灯です。
三上香代子さんが食べ方を教えてくれました。
土を落として根と茎を切り分けます。
茎は食べやすい大きさにカットして茹で、ニンジンとベーコンを加えてキンピラにします。
生でも食べられる根っこの部分はかき揚げにします。
茎も葉も全て使います。
高橋一也代表は越前白茎ごぼうをイベントの目玉の一つにすること決めました。
越前白茎ごぼう
高橋一也代表は福井県と滋賀県の県境にある敦賀市の山の中に向かいます。
訪ねたのは農家の山口一夫さん。
山口一夫さんが作っているのは100年以上前からこの地にある「アカカンバ」というカブです。
しかし時期が早く本来なら野球ボールくらいの大きさになりますが、まだ小さく収穫できる状態ではありませんでした。
すると高橋一也代表は露地栽培されている山菜の「山ウド」を見つけます。
畑で露地栽培されることはあまりないといいます。
わたし達が普段食べているのは真っ白いウドです。
日光を当てないで育てるので白くなります。
山ウドを食べた高橋一也代表に山口一夫さんは
山ウドの味が広がるでしょう。天ぷらにしたり胡麻和えにしたり、湯がいたり、東京では絶対に食べられない。
農家の人が自分が食べる分だけ育てていた野菜。
高橋一也代表にとってはお宝です。
言葉にならない。それくらい珍しい。
こんなの売ると言われた時にえーと思う。価値が分かる人が来てくれるとありがたい。
東急百貨店吉祥寺店
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4月29日のイベント当日の東急百貨店吉祥寺店。
GW初日ということもあって百貨店の特設会場は若い家族連れが多く集まっていました。
高橋一也代表は端境期にもかかわらず全国から約20種類の伝統野菜を集めてきました。
注目を集めていたのは越前白茎ごぼう。
高橋一也代表はお客様を集めて食べ方を伝えます。
千切りにして2~3分茹でて、それから炒めると食べやすくなる。
見たことのない伝統野菜は置いてあるだけでは売れません。
試食も用意しています。三上香代子さん直伝のキンピラです。
小山杏花さん
イベント会場で福井の山口一夫さんが作った山ウドを購入した小山杏花さん。
ご主人も山ウドを見るのは初めてです。
何の植物か分からなくて説明されてやっと分かった。楽しみ。
作ったのは購入する時に勧められたお浸しです。
芯の部分は他の野菜と一緒に生サラダにしました。
剥いた皮の部分はキンピラに。
山ウドは捨てるところがありません。
ご主人は皮のキンピラが一番気に入りました。
この食感はなかなか味わえない。
今日はいつもと違う特別な食卓になりました。
忘れられない。山ウド食べたよって人に言いたくなる。山ウドってしってるって。
東急百貨店で2日間開かれた伝統野菜のイベントでは来場者は約1,800人。
途絶えそうだった伝統野菜が売れていく姿に高橋一也代表も大きな手応えを感じていました。
家庭で子供と一緒に1ヶ月に1回でいいから食べてもらいたい。回数を重ねながら一歩一歩前に進んでいきたい。
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