東京都中央卸売市場でのウナギの取引実績。
平均価格は上昇傾向にあります。
こうした背景にあるのがウナギの国内供給量の減少です。
価格は上昇する一方で供給量は減少傾向にあります。
いまウナギを長く食べ続けられるようにするための取り組みが始まっています。
川豊本店
[blogcard url="http://www.unagi-kawatoyo.com/"]
成田山新勝寺の参道で100年以上営業を続けるウナギ専門店「川豊」。
店の一番人気はウナギ1尾を使った「上うな重・きも吸い(3,700円)」です。
脂っこくなくていくらでも入ってしまう。ふんわりしていて小骨が当たらない。
食事時は常に行列ができる人気店ですがウナギの価格高騰を受けここ数年で200円~500円ほど値上げに踏み切らざるを得なかったといいます。
伊藤小澄社長、
仕入れ値が非常に上がっている。10年前に比べて2倍以上になっているので価格高騰が一番の悩み。
この状況にお客様は…
「いくらまでなら値上げは我慢できる?」
1,000円とか1,500円くらいじゃないと庶民には手が出せない感じ。
頑張って働くしかない。
5,000円を超えたら食べないかな。我慢しちゃう。
そこでこちらの店では従業員を増やしお客様の待ち時間を減らすことで満足度を上げているといいます。
お客様の顔を見て、オーダーをもらってから焼くので一般的には40~50分待つこともあったが30分以内に抑えるようにしている。
しかし、こうした企業努力には限界があります。
イオン株式会社
[blogcard url="http://www.aeon.info/index.html"]
減り続けるウナギの数。
この問題を根本から解決しようとイオンが新たな取り組みを始めました。
三宅香執行役は、
ニホンウナギとこれから開発するインドネシアウナギの2種を中心に販売する。
イオンは絶滅が危惧されるニホンウナギの扱い量を減らしインドネシアウナギと呼ばれるビカーラ種を増やしていくと発表しました。
ビカーラ種の味はニホンウナギに近く肉厚で食べごたえがあるといわれています。
価格は1尾あたり4割ほど安いのが特徴です。
2023年までに100%トレース(追跡)できるウナギを販売したい。ニホンウナギもビカーラ種、どちらもトレーサビリティーを確立していきたい。
イオンはウナギのトレーサビリティー、つまり加工や養殖、さらに稚魚の捕獲まで遡って確認できるシステムを5年かけて確立します。
ビカーラ種も凖絶滅危惧種に指定されていて数は減っています。
全てが手遅れになる前にトレーサビリティーを確立し長く提供できるようにする狙いです。
今のうちに保全プログラムを確立し資源が枯渇しない漁業を確立する。なるべく継承したい、子どもたちにも孫たちにも。
エーゼロ株式会社
[blogcard url="https://www.a-zero.co.jp/"]
一方、規模が小さいながらもニホンウナギを食べながら守ることを目指すベンチャー企業があります。
エーゼロの岡野豊執行役員は、
食べながら量を増やすことはできる。量の管理ができれば絶対可能。
エーゼロは2年前から岡山県の廃校になった小学校の中でウナギを養殖しています。
エーゼロがこだわっているのは生産履歴のはっきりとしたウナギの稚魚、シラスウナギを仕入れること。
資源管理をする以上はどこから来たものか分かるようにしたい。
現在、出どころの分からないシラスウナギが多く流通しているといいます。
トレーサビリティーが機能すれば密漁など乱獲が減りシラスウナギの量が増えると考えられています。
これまで東南アジア産のビカーラ種を育てていましたが、3月からニホンウナギの稚魚も育て始めました。
仕入れた時点では体長は5センチ、体重はわずか0.2グラムほどでしたが、今では体長が2倍、体重は10倍に成長しました。
お客様が安心して食べられるように、まっとうなウナギであるとわかるようにできれば。
海部健三准教授
小売や養殖の現場で進むウナギを食べ続けるための取り組み。
専門家はこれまで十分な資源管理が行われてこなかったと指摘します。
中央大学の海部健三准教授。
資源管理、トレーサビリティーが確立されたウナギ、市場には出回っていない。
それだけにイオンやエーゼロが正面から問題に取り組むところが評価します。
将来もウナギを食べるためにウナギの選択が非常に重要。消費者に選択肢が示されたこと、非常に大きな意義。